ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2006年09月08日

『蛇姫様』川口松太郎の見せ場いっぱい時代劇。いよいよ大詰めで、敵討ちと恋の行方は

(へびひめさま) 1972年

掲載2006年09月08日

野州烏山藩では、お家騒動が勃発。藩主の長女・琴姫(高田美和)を排除して、お家を乗っ取ろうとする国家老が暗躍していたのだ。
一方、旅回り一座のお島(三浦布美子)と城下で茶屋を営む千太郎(田村高廣)は、お互いを思いあう仲だが、千太郎には、敵討ちという悲願がある。いよいよ争いは一触即発の状況に。旅先の宿に陰謀の証拠ありと睨んだ琴姫だが、その動きは監視されていて…。姫方と国家老一派に、幕府の隠密までからんで、烏山藩には危機が迫る。
「きのうは東、今日は西。蛇姫剣法、悪を斬る」と、ナレーションで名調子を聞かせるのは、芥川隆行。川口松太郎の小説を、ナショナル劇場版「水戸黄門」第一シリーズをてがけた宮川一郎が脚本に参加。幕府方の忍者によるアクションなどは、テレビオリジナルの展開になっている。
 光るのは、俳優たちの存在感。近年は、妖艶な魅力も見せる高田美和は、当時、美貌のお姫様女優として実力発揮。自ら、悪の本拠地に乗り込んで、きりりとした言葉で悪を断罪する。また、三浦布美子は、美人画に出てきそうな色っぽさ。近年もバリバリ舞台で活躍しているが、若さは当時と不変! 
 そして、なんといっても田村高廣の立ち回り。ジャンブ、ステップ、跳ね回り、画面いっぱいに動き回る。高廣剣法もお見逃しなく。

掲載2006年06月29日

「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」映画「ブレイブストーリー」でも注目!GONZOが描く山田風太郎の超忍術世界

(ばじりすく こうがにんぽうちょう) 2005年

掲載2006年06月29日

400年も続く深い深い宿怨を持ち、決して受け入れあうことのできない甲賀と伊賀。しかし、甲賀の弦之介と伊賀の朧は、一族の対立とは裏腹に密かに愛し合っていた。そんな折、徳川家では、三代将軍の座を巡って、二代将軍・徳川秀忠の長男・竹千代派と、次男の国千代派が激しく対立。その状況を解決するために、大御所・家康は、竹千代派を伊賀、国千代派を甲賀として、代理戦争で決着をつけようと考える。先代・服部半蔵によって決められた「不戦の約定」は破られ、伊賀と甲賀は、秘術の限りを尽くして殺しあうことに。弦之介と朧の運命は…。
「愛する者は死に候え」
山田風太郎の「甲賀忍法帖」を、せがわまさきが漫画化。その原作をフルデジタルアニメーションの先駆者的存在で、この夏公開される映画「ブレイブストーリー」でも注目されるアニメスタジオGONZOがアニメ化した作品。とにかく始まりから終わりまで、そのスピード感はただごとじゃない。超粘着ツバで相手をからめとる者、女の髪を寄り合わせたピアノ線を操る者、初回から異形の忍者たちの死闘が続く。ちなみに大御所様もまるで怪物。この緊張感の中で、忍者界のロミオとジュリエットはどんな運命をたどるのか。内海賢二、大平透、小林清志らベテラン声優が次々登場するのもうれしい。おとなのアニメ。

掲載2006年06月08日

『不熟につき…藤堂家城代家老の日誌より』サラリーマン武士の世渡り、陰謀、友情…小林薫主演。CS初登場の隠れた名作

(ふじゅくにつき) 1990年

掲載2006年06月08日

伊賀上野城主・藤堂高敏が36歳で急死し、城内は対応に大わらわ。家督相続のお許しが出なければ、お家の一大事と筆頭家老の藤堂采女(中村梅之助)は、老中への手土産など持参して、江戸へと出発する。藤堂家に祐筆(書記・記録係)として勤務する佐次右衛門(小林薫)は、婿養子で姑に「いつまでも婿養子気分で」と嫌味を言われつつも、のんきに暮らしていた。そんなところに旧友・小澤(三浦浩一)が尋ねてくる。藩内でくすぶる独立運動を心配する小澤を、佐次は「そんな弱気でどうする」となじるが、事態は思わぬ展開に。陰謀の扇動者として小澤が捕らえられたという…。
「三十六歳か…俺も今のうちにやりたいことをやっておこ」と、何をするのかと思えば、義父が持たせた采女への餞別をくすねてみたり、次の家老候補に「身をお忘れなく」とごまをすってみたり。サラリーマン人生は、いつの時代も楽じゃない? 一方で、無実の罪に問われた友を、救えるか、立場を捨てられるか、飄々と生きていた男の必死の思いが胸を打つ。「佐次右衛門、長生きをしろよ、長生きを!!」まじめ人間小澤の絶叫が耳に残る。
 管理職の悲哀を出す中村梅之助、妻のやさしさを出す坂口良子、ダメ息子から非情な家老になっていく黒田アーサーなど、意外なキャストの魅力も発見できる隠れた名作。南風洋子の物柔らかなナレーションも秀逸。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。