ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2006年03月31日

「花隠密」まじめ隠密・加藤剛が花の秘密を探索!真野響子の妖艶な誘惑に勝てるのか?

(はなおんみつ) 1983年

掲載2006年03月31日

先日、「大岡越前スペシャル」で久しぶりに元気なお奉行様姿を見せた加藤剛。
 本作の加藤剛は、伊達藩の若手藩士・田吹弥十郎。父が生涯をかけて育てた自慢の“白菖蒲”が将軍家の「花合戦」に出品されることになる。しかし、ライバル細川家の肥後菖蒲と並べられた白菖蒲に対して、大御所徳川家斉は鼻であしらう冷たい反応。なにしろ、この将軍様、現役時代は超色好みで側室が四十人!引退してからは花に興味を移して、その機嫌を取り結ぶための「花合戦」なのである。よって、家斉のご機嫌が合戦の結果をすべて左右する。伊達の白菖蒲はあっさり敗退。弥十郎の父は切腹してしまう。
「花が人を殺すのか…」
 父の葬儀に現れ、ライバル肥後菖蒲の秘密をにおわせるなぞの美女(真野響子)。彼女の残した「父上を殺したのは私」とう言葉を追って、弥十郎は、肥後に潜入するが、そこで美女そっくりの妖艶な女に誘惑されて、花どころではなくなり…。
 「花」を通して武士の世界の矛盾に迫る異色作。弥十郎の父役の辰巳柳太郎の枯れた存在感、真野響子が珍しく見せるねっとりしたラブシーン(これでは弥十郎が骨抜きにされるのも無理はない)、ベテラン悪役田口計のサディスティックな演技など、みどころも多い長編。

掲載2006年03月16日

「必殺仕事人 第48話 表技 魔の鬼面割り」 名医で評判の男の裏の顔とは。5000人の署名を集めた秀の活躍にも注目。

(ひっさつしごとにん) 1979年

掲載2006年03月16日

ある日、中村主水(藤田まこと)は、医師の日下玄朴(城所英夫)を人殺しと訴える若い女おゆき(吉本真由美)に出会う。しかし、町で名医と評判の玄朴のことを本気で調べる役人はいない。しかし、主水の同僚で地味・まじめ・手柄なしの三拍子揃った同心土田(織本順吉)だけは、玄朴にからんだ訴えに耳を傾け、ふとしたことから玄朴から袖の下を受け取ってしまう。うしろめたさに悩む土田だが、やがて玄朴の裏の顔が…。
 お互いダメ同心同士、主水と土田。「正直に生きるって、難しいですねえ」と居酒屋で語り合うシーンには、哀愁が漂う。
 当時、必殺には、主水ら宮仕えの悲哀に共感を覚えるサラリーマン層と、仕事人秀(三田村邦彦)を応援する女性層とふたつのファン層があったといわれる。番組中、突然始まる挿入歌「いま走れいま生きる」(作詞・三田村邦彦、作曲・小坂明子)も、女性層に人気。「秀が番組降板」のうわさが流れたときには、5000人分もの署名が集められたという。
 ちなみにこの挿入歌は、三田村人気に応えようと、番組プロデューサーが突然本人に「作詞して」と依頼。「えっ」と驚くまもなく「じゃ、この日までに」と締め切りを提案されていたとか。そう考えると「いま走れ、いま生きる」の歌詞には、撮影と締め切りに追われる心境が出ている気がしないでもない。

掲載2006年03月09日

「春姿ふたり鼠小僧」 杉良太郎がお得意のお茶目な二役!新五と鼠小僧、ふたりがうりふたつで大混乱。

(はるすがたふたりねずみこぞう) 1982年

掲載2006年03月09日

駒方の新五親分は、若く正義感いっぱいの“熱い男”。江戸の人々を守るため、日夜走り回っている。そんな中、町では金持ちから金を盗んでは貧乏人にばらまくという義賊鼠小僧のうわさでもちきりだった。そんなとき、新五は、自分とうりふたつの男・弥平次に出会う。ひょうきんなわりにどこか影のある弥平次に、新五は何かを感じるが…。
 駒方の新五といえば、もちろん、杉良太郎の当たり役。今回は長編でお得意の二役を軽やかに演じてみせる。新五の下っ引き銀次(岡本信人)、同心の吉井(玉川伊佐男)、新五のライバル清吉(鈴木ヤスシ)、面倒見のいいお品(一谷伸江)らレギュラー陣に加え、一本筋の通ったパワフルな芸者お駒(名取裕子)が華やかな雰囲気を出している。
 杉良太郎は、時に本当に悪役俳優をぶん投げるほど真剣な立ち回りを見せる半面、独特のとぼけたユーモアが持ち味で、それは長年座長公演などでも活かされてきた。舞台でのMCはすべてアドリブで、本音も炸裂。毎回観客をおおいに笑わせていたのである。本作でも、鼠小僧が忍び込んだ屋根裏に、やっぱり泥棒装束の新五が待っていて、本職(?)が新五に「ほっかむりに柄物はいけません」などと真顔でレクチャーするシーンなど、杉良太郎の「とぼけ」へのこだわりが見え隠れする。まさに杉さまらしい娯楽長編。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。