ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2006年03月02日

「はやと」 里見浩太朗の「浩太郎」時代の主演作。はやとの必殺技“はやぶさ三段斬り”とは?

(はやと) 1969年

掲載2006年03月02日

先日、地上波の「水戸黄門」で“黄門役出演100回”を達成した時代劇の大ベテラン里見浩太朗。東映のニューフェイスでデビュー、その芸名の由来は、映画会社東映が「里見八犬伝」の大ヒットにより、大きく成長したことで縁起がいいということによったという。その「里見浩太朗」もはじめは「浩太郎」であった。この「はやと」は、その「浩太郎時代」の貴重な作品。 
「はやと、これは、この世のあらゆる悪を企む影の組織“まぼろし”と戦う正義の剣士の世を忍ぶ仮の名前である。その人の名は誰も知らない」
 昔は本名を名乗らない正義の味方が多かったようだが、もちろんはやともそのひとり。その必殺技はすごい。「一番!」「二番!」「三番!」と最後は空中に舞いながら同時に三人を仕留めるというマネのできない“はやぶさ三段斬り”なのである。一方、ちょっと失敗しただけで、手下に順番にグラスの液体をあおらせ、誰かひとりが毒で殺されるというルシアンルーレット式恐怖支配組織まぼろしも、はやとを狙って必死の策に出る。第一話では、数多くの時代劇で悪役を演じてきた五味龍太郎が、まほろしの左源太として登場。はやとの親友の妹を誘拐して、はやとを追い詰める。
 里見はやとが歌う♪はしーれーはやとーという主題歌も耳に残る30分時代劇。

掲載2006年01月26日

「半七捕物帳」正統派の名親分、仏の半七鬼になる!懐かしい彼女も時代劇で熱演してます!

(はんしちとりものちょう) 1992年

掲載2006年01月26日

五ヶ月連続里見浩太朗特集。意外にも庶民の役初挑戦だったというのが、この三河町の半七親分だった。
 岡本綺堂の原作では、明治維新後に老人になった半七が若い記者に江戸で起こった怪事件を語るという形式だが、本作では、正統派名親分として、登場。設定は原作から離れて、女房を亡くし、年頃の娘お初とふたり暮らし。近所の料理屋の女将(片平なぎさ)とは結構いい雰囲気だったりする。事件となれば、手下(西山浩司)やライバルの長次(山城新伍)らと多人数の悪党と大格闘。もちろん、里見時代劇には欠かせないきめゼリフもアリ。普段、滅多なことで怒らない半七が、いよいよ悪を追い詰めると、「仏の半七、今日こそ鬼になるぜ!!」と鬼宣言をするのであった。(本人が自分を“仏”と自覚しているんですね)なお、ロング十手で立ち回りを見せる山城新伍とは、東映のニューフェイスとして昭和30年代の駆け出し時代には大先輩である片岡千恵蔵らとともに、同じ舞台公演にも出演したふたりだが、本格的な共演はなんと30年ぶり!ふたりとも実に楽しそうである。
 また、ゲストに坂上忍、いとうまいこ、山下規介ら当時の若手が多数出演しているのも特長のひとつ。戸川京子も、岡っ引きの父(工藤堅太良)に反発する不良娘を熱演しているのにも注目したい。

掲載2005年09月29日

「必殺仕置人」 中村主水が初登場した記念すべき「必殺」 日本はオイルショックに揺れた時代でした

(ひっさつしおきにん) 1973年

掲載2005年09月29日

池波正太郎原作の「必殺仕掛人」のあとを受け、いよいよオリジナルの「必殺シリーズ」を確立したのが、この「必殺仕置人」。
 特筆すべきは、藤田まことの「中村主水」が初登場。奉行所では“昼行灯”として、同僚からも軽んじられるヒラ同心、家では「婿殿」と出世と跡取りを催促される婿養子。そんな主水の裏の顔は凄腕の「仕置人」だ。
 当時は、日本の高度成長期。とにかく遮二無二仕事をして当たり前。てきとーに仕事をして、裏で得た金をしっかりへそくる(書物の中を楕円形にくりぬいて小判を収納)主水の姿は、サラリーマン層にも熱い支持を受けた。その一方で、オイルショックがあり、トイレットペーハーがなくなるを買占める主婦がスーパーに殺到するなど、庶民生活は不安な雲に包まれていた。勧善懲悪とはひと味違うダークな時代劇が人気を呼んだというのもうなづける気がする。
 「仕置人」には、主水のほか、念仏の鉄(山崎努)や棺桶の錠(沖雅也)、鉄砲玉のおきん(野川由美子)ら、シリーズの名物ともいえる顔ぶれや、ゲストにも佐野厚子、三島ゆり子ら、後にレギュラー入りするメンバーも多数出演。シリーズ初期ならではのギラギラした雰囲気が新鮮。伊丹十三、伊藤雄之助、川口常らユニークなゲストにも注目したい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。