ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2005年08月11日

「必殺スペシャル 大老殺し」中村主水、ジョン万次郎と野球する。ゲストの寺田農に惚れ直す?スペシャル。

(ひっさつすぺしゃる たいろうごろし) 1987年

掲載2005年08月11日

日米通商条約をめぐり、幕府が騒然となる中、江戸の奉行所では「伊豆下田に長期出張できる人材」を選定中。なんと選ばれたのは中村主水(藤田まこと)。選ばれた理由というのが、“不在でも奉行所が困らず、家族も悲しまない”ということだった。
 もとより仕事にも口うるさい家の女にも執着のない主水にとっては、悪い話ではなかったが、姑と嫁は「伊豆といえば温泉」などと自分たちも長期出張の構え。その上、条約調印の時間稼ぎのため、日米対抗ベースボール大会を開催することになる。とりあえず集めた日本チームのメンバーには、主水の仲間の加代(鮎川いずみ)はじめ、アメリカ総領事の命を狙う「仕事人」もいる。しかも、佐渡島の殺し屋集団もからんで、事件は思わぬ方向に…。
 ベースボールの指導者は、ジョン万次郎。演じたのは江夏豊だった。この万次郎、野球のシーンはむちゃくちゃ動きがいいが、セリフなどはとっても初々しいのであった。また、唐人お吉(坂口良子)、安藤広重(池田満寿夫)ら歴史上の人物も登場。しかし、なんといっても、強烈だったのは、殺人集団の切り札、寺田農だ! これまで数多くの必殺技を開発してきたシリーズだが、寺田の放つ「ロケットパンチ」は今も語り草のひとつ。どんな荒技にもひるまない寺田農に惚れ直すはず。

掲載2005年07月28日

「はやぶさ新八御用帳 大奥の恋人」愛を貫く妻と夫を中井貴一が追う!あのセレブマダムのおっとり妻ぶりも見もの。

(はやぶさしんぱちごようちょう おおおくのこいびと) 1990年

掲載2005年07月28日

名奉行・根岸肥前守(田村高廣)の懐刀といわれる隼新八郎(中井貴一)は、ある殺人事件にかかわる。町人同士の争いかと思われた事件だが、そこには大奥がからんだ複雑な事情が。しかし、大奥は男子禁制。さすがに新八郎も自分で探索にもいけず、思案の末、長年、自分の家に奉公していた娘・お鯉(古村比呂)を潜入させる。すると、お鯉は驚くべき事実をつかみ、自らも事件の中心にかかわることになっていく…。
 原作は平岩弓枝の人気シリーズ。事件の中に男女の情愛を織り込んだ作風は、作者の得意とするところ。ここでは愛を貫く若い夫婦と彼らを助けようと必死になる人々の強い心が描かれる。
 かつてテレビシリーズでは高嶋政宏も新八郎を演じたが、高嶋の豪快な新八郎に対して、この中井新八郎は、繊細なイメージ。何気なく変装などしているのも面白い。
 ほかのキャスティングは奉行の田村はじめ、大奥お局様の中島ゆたか、人柄のいい新八郎の同僚の香川照之など、充実した顔ぶれ。中でも新八郎の超おっとり型妻を演ずる吉川十和子がなかなか。「渡る世間は鬼ばかり」でおなじみの野村昭子と不思議な掛け合いで笑わせる。現在はセレブミセスとして注目される十和子さまのおっとりぶりは演技なのか地なのか? そのあたりもチェックを。

掲載2005年05月25日

「風神の門」忍者たちのリアルな技が炸裂!クリスタルキングの高音主題歌にも感動。

(ふうじんのもん) 1980年

掲載2005年05月25日

関が原の戦いから十余年。世の中に不穏な空気が広がる中、今こそ、自分たちの出番だと張り切る若者たちがいた。その中のひとり、伊賀の霧隠才蔵(三浦浩一)は、京にのぼり、さっそく徳川方からスカウトされる。しかし、仕留めるはずの相手・豊臣方の真田幸村(竹脇無我)の人柄を知ると、彼のもとで打倒徳川を志すことに。しかし、そこには徳川方で、才蔵を終生のライバルとみなして挑戦してくる獅子王院(磯部勉)ら、強力な敵が立ちふさがる。
 「忠義、義理などというものは、手に技のない侍の言う念仏だ」と、自分たちの生き方を貫き、ひたすら技を駆使してはたらく若い才蔵はとにかく元気がいい。その明るさに対して、白塗り顔で目の下にくまを作った獅子王院のキャラクターがまた光る。私も含め、獅子王院が次に何を仕掛けてくるか、楽しみで仕方ないファンも多いと思う。また、りりしい武将の竹脇無我、才蔵への恋心に悩む、切れ長の瞳女忍びお国の小野みゆき、いまではすっかり建物探訪家になってしまった渡辺篤史の軽妙な猿飛佐助など、キャスティングがいい。
 忍者の技も人間のできうる限界を考慮し、リアルさを追及。疾走感あふれる高音が耳に響く、クリスタルキングの主題歌も一度聞いたら忘れられない。若き忍者たちの青春群像劇。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。