ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2005年04月26日

「盤嶽の一生」盤嶽が騙される、怒る、ほえる! 地上波未放送二話もお楽しみに

(ばんがくのいっしょう) 2002年

掲載2005年04月26日

剣は一流、嘘が大嫌いでまっすぐすぎるほどまっすぐな性格の浪人・阿地川盤嶽(役所広司)は、天涯孤独な浪人。金はなくとも、自分の信念に生きている。その宝物であり、たったひとつの心の支えは、恩師から授かった名刀・日置光平(へきみつひら)。しかし、名刀を持っているばっかりに、人に騙され、裏切られることもしばしば。そのたびに「世の中、どうにも嘘ばっかり!!」と怒るのだが、またしばらくすると、人に騙されて…。
 第一話では、旧知の人物(石倉三郎)から、いい話を持ちかけられて、にこにこしていた盤嶽。が、やっぱりそこには名刀収集家の陰謀が潜んでいたりする。
 この物語の面白さは、驚くほどわかりやすく、かえって新鮮に見える主人公の盤嶽と、彼と対極にある裏表いっぱいの騙し役の演技のぶつかりあいにある。
 現代劇でもやたら叫ぶ役が多い肺活量俳優の役所広司に負けない存在感を示すゲストたち。石倉三郎、上條恒彦(こちらも肺活量ではかなり)、ベンガル、宇崎竜童などクセ者がそろう。さらに女優陣も豪華。鈴木京香、浅野ゆう子、安達祐実、渡辺典子などなど。浅野・安達のコンビは後に「大奥」でも激突しているので、興味深い組み合わせだ。
 地上波では未放送の二作品では、どんな「一生」が描かれるか。お楽しみに。

掲載2005年04月13日

「ふんどし医者」森繁久弥がユニークな人情医者に。伝説の美女・原節子がお上品に博打を?

(ふんどしいしゃ) 1960年

掲載2005年04月13日

将軍様の御典医になれるほどの腕を持った小山慶斎(森繁久弥)だが、たまたま旅の途中で庶民に疫病が蔓延しているのを目撃。上様よりも下々のために働こうと決心した彼は、そのまま宿場にいついてしまう。以来、15年。名医として慕われる慶斎は、貧しい者からは、「どぶろくいっぱい持って来い」で集金終了。そんな彼の楽しみは、なんと美人妻(原節子)の趣味「博打」につきあうことだった。妻が負けると、身ぐるみはがされ、ついたあだ名が「ふんどし医者」。でも、時代は幕末から明治になり、自分の技術が時代遅れになっていることに気づかされる…。
 あの伝説の美女が、博打場で「半でございます」「あなた、負けてしまいました…」などと不思議なテンションで博打を打つ姿は、なかなかの見もの。また、ただの喜劇かと思ったら大間違いで、時代についていけなくなった男の悲しみ、無知な庶民のパニックの恐ろしさなど、社会性も存分に織り込まれている。明治の世になると、「裸で歩いては困ります」と警官に注意までされ、トレードマークのふんどしの存在も危うし!慶斎の親友でエリート医師の山村聡、ヤクザから医師に転身する夏木陽介、彼の恋人・江利チエミ、親分役の志村喬もいい味だしてます。もちろん、最後の最後まで美人妻の動きにもどうぞ注目を!

掲載2005年03月16日

「必殺仕置人」 中村主水初登場の記念すべき作品。藤田まことと主水の出会いとは!?

(ひっさつしおきにん) 1973年

掲載2005年03月16日

二十年にもわたって放送された必殺シリーズの中でも、「必殺仕置人」は、いろいろな意味で重要な作品だった。
 まず、必殺シリーズ第一弾「必殺仕掛人」には原作・池波正太郎の名があり、基本的な設定も原作に準ずる部分が多かったが、「仕置人」からは、まったくのオリジナルになったこと。ここから、必殺シリーズの自由な発想が次々生まれていくことになる。その驚きの一発目が、仕置人・念仏の鉄(山崎努)によるレントゲン実況骨はずし、だろう。
 そして、なんといっても、藤田まことの「中村主水」が初登場。うだつの上がらない奉行所の同心である主水は、婿養子に入った中村家でも、厳しい姑と嫁にダメ男扱いされている。しかし、剣の腕は確かで、裏では凄腕の「仕置人」として活動しているのである。
 藤田まことご本人は、当時、「てなもんや」シリーズが終了し、各地で営業活動をする日々だったという。広島のキャバレーで仕事中に京都から「必殺出演」の依頼電話を受けたご本人。その一週間後にはクランクインするというあわただしさだったという。それゆえ、「主水の役は、いろんな人に断られた結果、僕のところに来たんだよ」とおっしゃるが、周囲を取材しても、そのような話は出てこない。藤田まことあっての中村主水だったのは、間違いないのだ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。