ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2003年10月10日

「八幡鳩九郎」華麗すぎてまぶしいほどの美剣士・鳩九郎。松平健のひとり三役&二刀流に注目!

(はちまんはとくろう) 1981年

掲載2003年10月10日

 白い鳩とともにどこからともなく現れる謎の剣士・八幡鳩九郎(松平健)。純白の着流しに二刀流を操るという華麗な鳩九郎こそ、実は彦根の若殿様、現藩主の井伊直忠その人だった。「そなたには双子の兄が・・・」今際の際に母が言い残した言葉に衝撃を受けた直忠は、江戸に赴き、密かに兄の行方を追っていた。そんなある日、富が岡八幡の境内で、娘を助ける鳩九郎。その娘お久が、凶悪集団「紫組」に十手持ちの父を殺されたと知った鳩九郎は、紫組の頭領・紫公方と対決することに。その紫公方の正体とは?
 かの「桃太郎侍」を生み出した山手樹一郎原作だけに、その華麗さはピカイチの美剣士・鳩九郎。八幡と鳩に縁があるからとはいえねそのまんまのネーミングというところも、印象的。背後に白鳩が飛んでも絵になるなんて、少女マンガの世界にも通じるほどのまぶしいキャラクターだが、それをサラリと演じられる人といえば、やっぱり松平健だけ。しかも、ひとり三役をこなし、二刀流で活躍するという奮闘ぶり。いつもの「上様」とは一味違う若さまぶりが楽しめる。
 共演は、色っぽい朝丘雪路、可憐な吉沢京子、「暴れん坊将軍」では吉宗の母を演ずる中村玉緒など。時代劇の世界らしい颯爽とした正統派ヒーローの活躍で、スカッとできる長編。

掲載2003年05月16日

「旗本退屈男」若き高橋英樹の「退屈男」。美人の妹の恋人(片岡仁左衛門)と、悪を斬りまくる!

(はたもとたいくつおとこ) 1970

掲載2003年05月16日

直参旗本・早乙女主水介は、剣は諸羽流青眼崩し、体術に軍学までマスター武芸者だが、太平の世では無役の身。よって、自ら「退屈男」と名乗り、町をプラプラ。事件となると、「退屈の虫が騒いだ!」とばかりに走りだし、悪人たちを追い詰める。「ブアッハッハッハ」と高笑いする退屈男が指すのは、額にくっきりついた三日月形の“天下御免の向こう傷”。実は将軍様のピンチを救った時にできた傷で、これがあれば、どこへでも出入り自由、世直し自由なのだ。暇でいいところのお坊ちゃんとなると、今も昔も趣味はファッションとなるようで、この退屈男もかなりの衣装道楽。それも派手柄が好みらしく、「密かに探索」ったって、目立ちすぎ!美人の妹・菊路(柏木由起子)はそんな兄を慕っているが、なんと自分の恋人・霧島京弥(片岡仁左衛門)までもが兄とともに世直しに行ってしまう。
色っぽいおねえさんに「退屈のおとのさまぁ〜」と迫られてもサラリとかわすあたり、かなりの貫禄だが、当時、英樹は二十代半ば。それでも「派手な衣服が似合う」「額が広くて傷がくっきり見える」「豪快さがある」と「退屈男の三条件」をしっかり満たした役者であった。ちょくちょく出てくる藤原釜足や艶っぽい水野久美の存在感、颯爽とした仁左衛門もいい。まさに痛快時代劇。

掲載2003年01月17日

「姫将軍大あばれ」一度見たら、姫将軍様の虜!忘れられない「巨大葵のご紋付袈裟」の昂奮をぜひ。

(ひめしょうぐんおおあばれ) 1995年

掲載2003年01月17日

  大坂夏の陣で破れ、壮絶な最期を遂げた豊臣秀頼の、娘・秀姫。後に家康の孫娘・千姫の養女となり、仏門に帰依し、「天秀尼」となった・・・・というだけなら、地味なお話だが、ここからがタダ者ではない。なんと、仏門だけでなく、“本場”柳生の里で武芸や忍術の修行を11年も積んだのである。
  身分があって、武芸も達者。こうなったら、もう世直しするしかない。というわけで、天秀尼は、世直しの旅に出るのであった。出発にあたって、「身分証明」として渡されたのが、「葵のご紋付袈裟」。それもおなかいっぱいにご紋が縫い付けられているという超特製品だ。私もこれまで印籠や刀やいろんな「葵のご紋」を見てきたが、直径30センチはあろうかというでかい「ご紋」は初めて。これなら、どんなに遠くの悪人にも、ご紋がはっきり見えるというものだ。
  主演は、日光江戸村が育てた女優・本倉さつき。主題歌「花しぐれ」も彼女の熱唱だ。
  初放送が月曜昼2時と、見たくても見られなかった人も多いはず。私は作家・町田康氏とこの番組の「奥深さ」について語り合ったことがあるが、とにかく一度見たら、もう姫将軍様の虜である。当時の宣伝文句は、「悪を斬る!世直し尼将軍参上!東海道五十三次に柳生新陰流の剣が舞う。」
  尼将軍・・・これだけでもたまらない言葉だ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。