ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年12月13日

「白虎隊」幕末。会津の若き志士たちの悲劇。堀内孝雄のあの名曲にもぐぐっとくる長編。

(びゃっこたい) 1986年

掲載2002年12月13日

 幕末。そろそろ幕府の力が衰退してきた時期に、「京都守護職」を拝命したのは、会津の名君・松平容保だった。尊皇攘夷を唱える勢力が過激に行動する中、幕府方の先頭に立つことになった会津藩は、新撰組を配下に置き、薩摩とも手を結ぶ。有名な池田屋事件など、新撰組の容赦ない取締りもあり、いったんは有利となるが、時代は会津に味方しなかった・・・。そんな中、慶応4年、15歳から17歳までの最年少の会津藩士で「白虎隊」が結成される。攘夷派との決戦の中で、彼らは悲劇に向かって走りはじめた。
  幕末に関わる物語の中でも、ひときわ悲劇性が高いのが、この「白虎隊」。散っていく若い命のはかなさに、堀内孝雄の名曲「愛しき日々」(作詞・小椋桂)が流れると、もう、落涙スイッチオンだ。
  配役は、反戦主義なのに仕方なく戦いに巻き込まれ、苦悩する家老・西郷頼母に里見浩太朗。名君・松平容保に「忠臣蔵」の浅野内匠頭に続いて、“悲劇の殿様役パート2”となる風間杜夫、。宮川一郎太、坂上忍らの初々しい武者ぶりにも注目。
  なお、主役の里見浩太朗は、白虎隊役の若者たちのオーディションに参加。現地・会津で彼らの立ち回りの特訓にもつきあったという。そのチームワークのよさ、信頼関係が画面にもあふれ、よけいに泣ける。

掲載2002年11月29日

「八丁堀捕物ばなしⅠ」リーダーいかりや長介の下、個性派同心が全員集合。遠山の金さんも言い味出してます。

(はっちょうぼりとりものばなしわん) 1993年

掲載2002年11月29日

 狩屋新八郎(役所広司)は、下馬廻り同心だったが、同心殺人事件で手腕を見せ、定町廻り同心に抜擢される。定町廻りといえば、八丁堀の花形。同僚にはリーダー格の老練同心(いかりや長介)や、町の情報にたけた先輩(火野正平)、美人妻をいつも自慢している先輩(渡辺哲)、まじめな若手(田中実)ら、個性派で揃っていた。彼らを支えるのが、岡っ引き(三ツ木清隆)や密偵(田中邦衛)たち。そして、彼らを率いるお奉行様こそ、かの遠山の金さん(古谷一行)なのだ!
難事件の集団捜査の面白さと同時に、同心たちの私生活をも克明に描いているのも、本シリーズの大きな特徴。特に、女性たちとのやりとりが楽しい。大の甘党の夫とは対照的に、事件解決の後にはおもむろに「では」と自ら大酒を飲むいかりやリーダーの妻・野際陽子。「どーせ、お前はおれより狩屋の方が大事なんだろう」という兄(火野正平)に、「そんなことは」と言いつつも態度で見え見えの(渡辺梓)。「いやー、愚妻が言うので」と夫(渡辺哲)に愚妻扱いされてるが、実権は握っている美人妻(森口瑶子)ら。命懸けで働く男を支える女たちはか弱そうだが、芯が強いのであった。
 スーパーヒーローでない役所広司の人間味あふ活躍も小気味いい。根津甚八もカッコいいので、お見逃しなく!

掲載2002年09月13日

「八幡鳩九郎」“お血筋もの”をやらせたら、天下一品!松平健のひとり三役と華麗な二刀流に注目。

(はちまんはとくろう) 1981年

掲載2002年09月13日

 彦根藩主・井伊直忠の母は、いまわの際に直忠に双子の兄がいることを告白する。
 兄を探す決心をした直忠は、素浪人・八幡鳩九郎となって、江戸へ出発。市井に暮らしながら、兄を探すのだった。
 当時、江戸では謎の「紫公方」率いる紫組が無法の限りを尽くしていた。大物商人や幕府要人まで抱き込んだ紫公方には、誰も逆らえない。鳩九郎は、紫組に十手持ちの父を殺された娘・お久を救ったことから、紫公方に壮絶な戦いを挑むことになる...。
 主演は松平健。ご存じ「暴れん坊将軍」でも、天下の将軍様を演じているだけに、「素浪人に見えるが実は身分の高いお方が活躍」という、“お血筋もの”時代劇をやらせたら天下一品。鳩九郎も、浪人のはずなのにそこはかとなく漂う品格と、どこで購入しているのかわからない純白のきらびやかな着物がポイントだ。
 白い鳩とともにどこからともなく現れるから「鳩九郎」というネーミングもナイスだし(原作は「桃太郎侍」の山手樹一郎)、健さんには珍しい二刀流のゴージャスな剣さばきも期待大。
 さらにこの番組では、松平健が「ひとり三役」に挑戦!なんの役かは時代劇通のみなさんなら、だいたい見当がつくとは思うが、意外などんでん返しもあるかもしれないので、お楽しみに。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。