ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2001年01月02日

映画「旗本退屈男 江戸城罷り通る」

(はたもとたいくつおとこ えどじょうまかりとおる) 1952年

掲載2001年01月02日

 額には天下御免の向こう傷。自称、退屈男の旗本、早乙女主水之介は、退屈の虫が騒ぐままに難事件の解決に乗り出す。
 本作では、将軍御落胤を名乗る謎の男の正体を暴くべく、八面六臂の大活躍。場面ごとに衣装替えをしている(本当の話!)といわれたほど、豪華絢爛な衣装は見もの。また、主演の市川右太衛門自ら考案したという、華麗な諸羽流青眼崩しの剣技におおらかな時代劇の魅力が溢れる。
 主水之介のトレードマーク、額の向こう傷は、浅草で長州の暴れ者七人と渡り合ってできたものといわれ、キメのセリフは
“はがして飲めばオコリの妙薬。これひとつあれば江戸八百八町提灯がいらない”
三日月傷だという。傷をはがして薬にしたり、提灯がわりになるという発想がすごい。テレビでは右太衛門の息子、北大路欣也が演じているが、やはり華やかさでは父の勝ち。なんたって一本の作品でおめしになった豪華衣装が最高14、15着。その衣装代は、共演者全員分と同じだったという伝説が残っているほどなのだ。

掲載2000年11月20日

必殺シリーズ 工藤栄一監督追悼特集

(ひっさつシリーズ くどうえいいちついとうとくしゅう) 1976年

掲載2000年11月20日

 スピード感と陰影ある演出で、時代劇にも傑作の多い工藤栄一。
必殺シリーズの工藤作品一挙放送(11月23日)の大企画から紹介するのは、山田五十鈴、芦屋雁之助、緒形拳、森田健作らの殺し屋が登場する「必殺からくり人」。
 ペリーのオススメは原泉の鬼母が迫力の「息子には花嫁をどうぞ」、垂水悟郎の悪人ぶりが光る「私にも父親をどうぞ」など、どれもこれもお見逃しなく!
 終日の追悼特集では、早朝と深夜に「助け人走る」で田村高廣を暴れさせ、午後には「必殺必中仕事屋稼業」でギャンブルと殺しの技を見せる。ほかにも「翔べ!必殺うらごろし」、「必殺からくり人血風編」、藤田まことの映画版「必殺!�V裏か表か」も登場。とくに午後12時40分からの「必殺からくり人」最終回、午後18時30分からの「必殺必中仕事屋稼業」最終回は、ファンならずとも涙無くしては見られない展開。
 もっともっといい時代劇を見せて欲しかった、工藤監督!合掌。

掲載2000年11月15日

必殺からくり人血風編

(ひっさつからくりにんけっぷうへん) 1976年

掲載2000年11月15日

 幕末、維新に揺れる品川宿に人知れず悪を葬るからくり人が集う。旅籠の女将で元締めの草笛光子、謎の男で実は薩摩の密偵という山崎努、怪力の女衒、浜畑賢吉、妖艶な小姓のピーター、情報屋の女中、吉田日出子。
 本作は、必殺シリーズの中でも設定もキャストもかなり異色。チャールズ・ブロンソン風の口ヒゲをたくわえ、銃を操る山崎努にご注目を!
 中村主水はじめ、必殺ファンにはたいてい“好きなキャラクター”がいるもので、山崎努ファンもかなりの数にのぼるはず。本作では“土左衛門”というふざけた名前だったが、山崎努の「必殺シリーズ」における代表的な役は「必殺仕置人」の坊主くずれの骨接ぎ師“念仏の鉄”である。鉄の技は、指三本で相手の骨をはずしてしまうというもの。その映像表現にレントゲンを使うという、空前絶後のアイデアもまたスタッフの必殺技だった。レントゲン映像はあまりに好評で、後のシリーズではご丁寧に心電図入りで登場したほどだ。
 因みに、鉄は必殺骨はずしを駆使して、後の「新・必殺仕置人」で復活をはたす。しかし、最終回で手を焼かれてまさかの絶命。ファンを嘆かせた。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。