ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2019年11月22日

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖」
弥次さん喜多さんがアルバイトする歌舞伎座で連続殺人事件発生!?
市川染五郎(現・松本幸四郎)×市川猿之助はじめ豪華キャストと歌舞伎楽屋ネタもお楽しみ

(とうかいどうちゅうひざくりげ こびきちょうなぞときばなし ) 出演者:市川染五郎(現・松本幸四郎)/市川猿之助/中村勘九郎/中村七之助/松本金太郎(現・市川染五郎) ほか  2018年

掲載2019年11月22日

東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖
「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖 」
©松竹株式会社 ©写真:齋藤芳弘/©松竹株式会社

 お伊勢参りから無事?というか、天から舞い降りて帰ってきた弥次郎兵衛(松本幸四郎)と喜多八(市川猿之助)は、当然のごとく無一文。そこで歌舞伎座でアルバイトを始めると、なんと殺人事件に遭遇。犯人かと疑われた二人は事件の真相に迫る...って、大丈夫なのか? 今回「STAFF」先頭に名前がある原作者の十返舎一九先生もびっくり仰天のはず。

 面白いのは、作品全体が「歌舞伎のバックステージもの」になっていること。劇中劇「義経千本桜」の「四の切」。しとやかな静御前(坂東巳之助)がダミ声とガニ股でのしのし出てくるわ、狐忠信が床下や欄間からどう抜け出てくるのか「断面図」実物大セットまで作ってすっかり見せてしまうわ。忠信役者はあんな高い欄間から頭から滑り出てきてるのね。そんなことまでわかる仕組みだ。役を譲った、奪った、羨望もあれば嫉妬もある人間模様はかなりリアル。座元は言う。「楽屋は話が回るのが早いね」。おとなたちの横でいつも冷静な少年コンビ梵太郎(松本金太郎[現・市川染五郎])と政之助(市川團子)は、「まことのことはいつもひとつ!」と、あの少年探偵みたいに鋭い推理を展開。意外な犯人の姿にも「さすが歌舞伎」と納得できる。常に歌舞伎に斬新なアイデアを吹き込む主役ふたり(猿之助は脚本・演出も担当)をはじめ、売れっ子豪華キャストが体当たりで見せるお楽しみ芝居。

掲載2019年11月15日

「ふたがしら2」
松山ケンイチ×早乙女太一の新感覚盗賊ストーリー再び!
大森南朋の不気味な蔵蔵、成宮寛貴の宿敵、菜々緒の悪女も入り乱れてのお宝争奪戦

(ふたがしら2 ) 出演者:松山ケンイチ/早乙女太一/成宮寛貴/菜々緒/田口浩正/芦名星/渋川清彦/吉倉あおい/大森南朋 ほか  2016年

掲載2019年11月15日

ふたがしら2
「ふたがしら2 」
©オノ・ナツメ/小学館 ©2016 WOWOW/ホリプロ

 「脅さず殺さず、汚ねえ金を根こそぎいただく」掟を守る熱血盗賊・弁蔵(松山ケンイチ)とクールな宗次(早乙女太一)は、宿敵・赤目一味の甚三郎(成宮寛貴)と対決。新たに盗賊集団「壱師」を結成して、大胆な盗みを成功させてきた。パート2ではいよいよ「俺達は江戸のてっぺんをとる!」と弁蔵が張り切るが、最凶の敵・火付盗賊改方の蔵人(くらんど・大森南朋)が現れる。「この世はしょせん色と欲」という蔵人は、ふだんは町人・蔵蔵(くらぞう)として賭場などに出入りし、裏社会の人間たちの間に紛れこむ。お調子者の弁蔵は「蔵蔵とは面白れぇ」と意気投合。そこにに白ヘビのごとくするすると甚三郎が近づく。一方、前の赤目の頭の妻でみんなに「姐さん」と呼ばれていたおこん(菜々緒)は、頭が存命中から甚三郎と深い仲に。続編でも入浴シーンはバッチリ。その上、吉原の売れっ子太夫として、堂々の花魁道中をしている!続編初回では、悪い遊女屋の店主に監禁されて、海外に売られそうな遊女を「盗んでおくれ」と壱師に依頼したおこん姐さん。行動が謎めいてる...。二話では、鬼蜘蛛の羽織を着たあやしい男・政吉(北村有起哉)が持ち込んだ「七仏の謎」を巡っての攻防が始まる。果たして七つの仏は見つかるのか。

 脚本は劇団☆新感線の座付作家でもある中島かずき、監督は「ジョーカー・ゲーム」などを手がけた入江悠。最終話では悲劇的な出来事も勃発。盗人同士の熾烈な戦いの結末とは?

掲載2019年11月08日

「壬生義士伝」
愛する家族を貧困から救うため戦い続けた新選組隊士を中井貴一が熱演
斎藤一の佐藤浩市、沖田総司の堺雅人らが激動の時代を駆け抜ける。

(みぶぎしでん ) 出演者:中井貴一/佐藤浩市/中谷美紀/夏川結衣/三宅裕司/村田雄浩/塩見三省/堺雅人 ほか  2003年

掲載2019年11月08日

壬生義士伝
「壬生義士伝 」
©2003 松竹/テレビ東京・テレビ大阪/電通/松竹ブロードキャスティング/カルチュア・パブリッシャーズ/IBC岩手放送

 明治32年。高熱の孫を大野医院に運び込んだ老人・斎藤一(佐藤浩市)は、そこで吉村貫一郎(中井貴一)の写真を見つけ、新選組隊士として吉村と戦った日々を回想する。東北・南部出身の吉村は、朴訥な人柄ながら、剣の達人。京の人々から「壬生狼」と恐れられる新選組で、斬首や人斬りも積極的に引き受け、報奨金を受け取ることから「守銭奴」と隊内でもさげすまれる。特に斎藤一(佐藤浩市)は彼を軽蔑し、ある雨の夜、突然に襲い掛かる。死に場所を探す斉藤に対して、「わすは違います。死にたくないから人を斬ります」と言う吉村。彼は故郷で飢える家族を養うため脱藩したのだった。やがて新選組は、池田屋騒動で名をあげる。だが、鳥羽伏見の戦の最前線に立たされ、敗走を続ける。そんな中で斎藤は吉村に「お前は死んではならん」と逃がそうとするが...。

 原作は浅田次郎。監督・滝田洋二郎。脚本はドラマ「壬生の恋歌」でも無名隊士を描いた中島丈博、男の友情、対立、別れなどの切ない場面が次々と出てきて観る者を飽きさせないのは、さすが。隊士の斬首をしたあと、「お疲れ代金」だけでなく、刃こぼれした刀代金まで要求する吉村に「たいしたもんだね、吉村君は」と苦笑する沖田総司の堺雅人、吉村を心から愛する妻・しづに夏川結衣、吉村の友人・大野千秋の父に三宅裕司と味のある配役にも注目。吉村の愛の深さと誇り高き決断に胸打たれる。

掲載2019年11月01日

「動天 -DOHTEN-」
実在の幕末大商人・中居屋重兵衛の熱い志を北大路欣也が力強く演じる
大規模セット、海外ロケも敢行した破格のスケールと豪華キャスト出演の大作

(どうてん -どうてん- ) 出演者:北大路欣也/黒木瞳/島田陽子/西郷輝彦/江守徹/平泉成/内藤剛志 ほか  1991年

掲載2019年11月01日

動天 -DOHTEN-
「動天 -DOHTEN-」
©東映

 上野国吾妻郡中居村(現在の群馬県嬬恋村)の名主の息子、のちの中居屋重兵衛(北大路欣也)は、佐久間象山の門に学び、勝海舟(西郷輝彦)からも一目置かれる才人だった。安政五年(1858)、徳川幕府が日米修好通商条約を結び、横浜開港が決まると、重兵衛は日本橋の店をたたんで横浜に進出。その商才で商売を拡大させた重兵衛は、外国商館に引けを取らない邸宅を建設。豪華な銅葺きの屋根の輝きから「銅御殿」と称される。また妻のおその(黒木瞳)を横浜の娼館の女将おらん(島田陽子)に預け、社交と商売を学ばせる。それはすべて将来を見据え、世界を相手に貿易をしたいという願いからだった。しかし、重兵衛を助けていた外国奉行の岩瀬肥後守(高橋悦史)が失脚。重兵衛も贅沢な銅葺きをとがめられる。やがて大老となった井伊直弼(江守徹)による「安政の大獄」が激化。横浜商人への弾圧も強まる。

 原作はなかにし礼。監督・舛田利雄。重兵衛は実在で生糸の貿易で大利を得たが、わずか数年で表舞台から消えたという。しかし、その志は熱く、「桜田門外の変」へとつながっていく。巨大なオープンセットで横浜を再現、サンフランシスコロケも敢行し、破格のスケールの映像を作り出した大作。夢を語りながら炎の中でピストルを構える北大路、赤いドレスの黒木瞳も美しい。谷村新司の主題歌、池辺晋一郎の音楽も高く評価された。

掲載2019年10月25日

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛〈やじきた〉」
幸四郎(当時・染五郎)と猿之助が飛ぶわ、転ぶわ、騙されるわの珍道中
弥次喜多ついにラスベガス進出!? 大笑いで大入り満員の人気歌舞伎をシネマで魅せる

(とうかいどうちゅうひざくりげ〈やじきた〉 ) 出演者:市川染五郎(現・松本幸四郎)/市川猿之助/市川右團次/市川笑也/松本金太郎(現・市川染五郎) ほか  2017年

掲載2019年10月25日

東海道中膝栗毛〈やじきた〉
「東海道中膝栗毛〈やじきた〉」
©松竹株式会社 ©写真:加藤孝/©松竹株式会社

 酒と女が大好きな弥次郎兵衛(松本幸四郎・当時は市川染五郎)は、眉毛も端っこがピョンピョンはねて、いかにも落ち着きがない男。一方、博打好きの喜多八(市川猿之助)の眉毛もでれっと下がって締まりがない。そんな二人がひょんなことから金を手にして「それを手ずるに」とお気楽な伊勢参りの旅に出る。だが、さっそく怪しげな連中と関わることに。茶屋女にして実は女盗賊のお新(坂東新悟)やら、闇金利太郎(片岡亀蔵)、白黒しましま模様の眉毛をした盗賊の頭・白井髭左衛門(市川右團次)。なんと、物の怪関係の十六夜(中村壱太郎)まで現れる。そんな中、親の病気平癒を願う殊勝な少年、梵太郎・政之助のため、彼らを引き連れた侍になりすます弥次喜多。なのにすっかり宴会で酔っ払い、とんでもないことに。さらには、ラスベガスにまで行っちゃうって、どういうこと!? 詳しくは読売屋文春(市川弘太郎)に聞け!

 颯爽とした二枚目や大暴れヒーローもいいけれど、とにかく楽しい作品も歌舞伎にするべし!と意気投合した幸四郎と猿之助が、大暴れ。花火で飛ばされて宙乗りし、くじらの背中で噴射を受け、ついには本水も浴びまくり。連日満員御礼となった人気演目をシネマ用に細かいカット割りをして見やすく編集。アップも多用して、役者の表情がバッチリ見えるのもミソだ。歌舞伎の可能性はどこまで広がるのかとわくわくする珍道中。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。