ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2019年03月22日

「風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~」
史上初の西洋医学書の和訳に挑んだ「解体新書」の立役者たちの熱血人生
原作・みなもと太郎×脚本・三谷幸喜×主演・片岡愛之助の話題作

(ふううんじたち~らんがくれぼりゅうしへん~ ) 出演者:片岡愛之助/新納慎也/村上新悟/迫田孝也/草刈正雄/山本耕史/中川大志/遠藤憲一/小日向文世ほか 2018年

掲載2019年03月22日

風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~
「風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~ 」
©NHK

 江戸時代、日本の医学に大きな影響を与えた医学書「解体新書」。その刊行に挑んだ男たちの物語。みなもと太郎の歴史ギャグマンガを原作に三谷幸喜が脚本を担当した話題作。

 ある夜、囚人の腑分け(解剖)を検分した医師で蘭学者の前野良沢(片岡愛之助)と杉田玄白(新納慎也)は、人体の真の姿を伝えるため、蘭方医・中川淳庵(村上新悟)とともに、西洋医学書「ターヘル・アナトミア」の翻訳を始めた。だが、辞書もなく、「鼻」という言葉ひとつを発見するのに何日もかかる事態に。締め切りは迫るわ、発禁になりそうになるわと危機が続く。熱中する良沢は最愛の家族まで亡くすことになってしまう。なんとか形ができると、今度は完璧翻訳主義の良沢と「多少の間違いは後世の人々が正す」という玄白が対立。良沢の名がない「解体新書」が発売されてしまう。

 愛之助、新納、村上に加え、「日本中で売れる本を作れ」と言い放つ老中田沼意次に草刈正雄、平賀源内に山本耕史、林子平に高木渉、計算高い版元に遠藤憲一、良沢の妻に長野里美など三谷作の大河ドラマ「真田丸」の顔ぶれが集結した。キャラの面白さ、不逞浪人をカッコよくやっつけた後、ひょうたんに足をとられて転んで笑わせる場面などは、まさに三谷ワールド。やがて年月を経て、老いた良沢と玄白は再会する。言葉がなくてもわかりあう「同士」の姿には、現代人にも共通する哀感が漂う。

掲載2019年03月15日

「若さま侍捕物帖 紅鶴屋敷」
大川橋蔵の当たり役、若さまがいわくつきの屋敷の事件に挑む
月形龍之介、進藤英太郎、桜町弘子、花園ひろみら黄金期スターが勢ぞろい

(わかさまざむらいとりものちょう べにつるやしき ) 出演者:大川橋蔵/月形龍之介/進藤英太郎/沢村宗之助/桜町弘子/花園ひろみ ほか  1958年

掲載2019年03月15日

若さま侍捕物帖 紅鶴屋敷
「若さま侍捕物帖 紅鶴屋敷」
(C)東映

 テレビ時代劇では「銭形平次」で人気を博した名優・大川橋蔵の映画全盛期の当たり役のひとつが「若さま侍」シリーズ全10作。二枚目だが茶目っ気もある若さま(大川橋蔵)が、謎の事件に挑む。その第七作「紅鶴屋敷」は、美空ひばり出演作など東映娯楽時代劇で知られる名匠・沢島忠。事件の舞台は、若さまが居候する舟宿・喜仙の寮の近くの「紅鶴屋敷」。ここには、昔、三国一の婿を望んだ姫がいて、千羽のツルを織り上げた頃、帆に紅鶴を染めた舟に乗った若殿が現れたという伝説があった。ところが、喜仙の娘おいと(花園ひろみ)と若さまが楽しみにしている舟祭りが近づく最中、この屋敷を買い取ったばかりの豪商・越後屋の勘当息子・清吉のやくざな仲間、さらに伯父清左衛門(原健策)が殺されて発見される。若さまはさっそく探索に乗り出す。屋敷の女中・お千代(桜町弘子)は何か隠しているようだが、なかなか事件の真相に近づけない。そんな中、さらに殺人が...。紅鶴の帆の舟とは何なのか。屋敷の煙の秘密とは。

 橋蔵は当たり役をのびのびと演じ、軽やか。可憐な花園、愛らしい桜町とともに網元・茂兵衛(進藤英太郎)、ワケ知りの覚全和尚(月形龍之介)など、東映の映画全盛期の名優たちが次々登場。クライマックスの若さまの殺陣も、必殺剣「一文字崩し」をはじめ、華麗な舞のようで娯楽時代劇の王道を感じさせる。

掲載2019年03月08日

「山本周五郎時代劇 武士の魂」
時代小説の名作家・山本周五郎が描いた武士の心と家族の姿を一話完結で。
予想外の展開に涙あり笑いあり。片岡鶴太郎の語りもじんわりとくる。

(やまもとしゅうごろうじだいげき ぶしのたましい) 出演者:石黒賢/笛木優子/大迫一平/仁科貴/螢雪次朗 2017年

掲載2019年03月08日

山本周五郎時代劇 武士の魂
「山本周五郎時代劇 武士の魂 」
©BSテレ東/ドラマデザイン社

 山本周五郎の小説は、大河ドラマ「樅ノ木は残った」、貧しい人々の暮らしと医療をテーマにした黒澤明監督の映画「赤ひげ」などの原作で知られるが、短編にも味わい深い作品が多い。「武士の魂」は、武士の心とその家族を描いた短編を一話完結にしたシリーズだ。

 第一話「大将首」は、浪人暮らしの貧しさから黒髪を金に換えて夫の客のもてなしをする妻(笛木優子)、その事実を知り、彼女に隠れて足軽に身を落として糧を得る夫(石黒賢)。仲間を助けるため、藩の剣術指南役を斬った夫に意外な運命が待ち受ける。この他、第二話「晩秋」、第三話「菊月夜」、第四話「山だち問答」、第五話「山茶花帖」、第六話「五十三右衛門」、第七話「風車」、第八話「茶摘は八十八夜から始まる」、第九話「野分」、第十話「砦山の十七日」、第十一話「金作行状記」、第十二話「失蝶記」と続く。ほろ苦い結末も多いが、ユニークなのは第四話。藩主の密命で彦根に急いでいた大垣藩士の馬廻役・郡玄一郎(的場浩司)が、山賊(山だち)に身ぐるみはぐと言われるが、密命を果たした後にしてくれと頼み、本気で実行する。だが、そのことが「臆病」と批判され、玄一郎は縁談も破棄される。そんな玄一郎の前に以前、助けた娘が現れ、彼の運命は大きく変わる...。的場VS山賊の永澤俊矢。強面対決もみもの。片岡鶴太郎の語りもじんわりくる。

掲載2019年03月01日

「幕末グルメ ブシメシ!」
瀬戸康史が初心者料理侍になって人々を救う!ライバルは田中圭?
草刈正雄の殿様との珍妙なやりとりや家族愛にもホロリとするコメディ

(ばくまつぐるめ ぶしめし ) 出演者:瀬戸康史/田中圭/酒井若菜/三吉彩花/草刈麻有/戸田恵子/徳井優/平田満/草刈正雄 ほか  2017年

掲載2019年03月01日

幕末グルメ ブシメシ!
「幕末グルメ ブシメシ!」
©NHK・テレパック

 高野藩藩主(草刈正雄)の衣服を整える衣紋方の若き藩士・酒田伴四郎(瀬戸康史)は、殿の参勤交代に従い、愛する妻や娘と離れ、江戸で暮らすことに。ところが、同役でぼんやりした叔父が献上した魚の干物が騒動を巻き起こし、伴四郎はまったく経験のなかった料理をすることになってしまう。不安でいっぱいの伴四郎を助けたのは、愛妻すずの指南書だった。第一話、なんとか茶粥を作った伴四郎は、第二話では心を閉ざした高野藩藩主の正室・千代(戸田恵子)を励ます料理を作ることに。そんな伴四郎の近くでいろいろ文句を言っている謎の中間の顔をよく見たら、なんと殿の変装!?

 ハマグリ、タケノコ、こんにゃく、唐揚げ...料理に向き合う伴四郎の姿を通じて見えてくるのは、幕末の味も豊かだったということ。瀬戸康史はEテレ「グレーテルのかまど」では毎回スイーツづくりをしているが、ここでは当時の道具を使い、手作りの味を再現してみせる。そして、「真田丸」などでユニークな殿様を演じて評判になった草刈は、ここでもボケたり、怒ったり、巧みに笑わせる。第五話では殿に隠し子発覚!?の大騒動、また最終回ではすずに二枚目侍(田中圭)が近寄っている?さらに密偵も?と伴四郎はドキドキの展開になった。軽やかな中にホームドラマの泣き笑いを込めた楽しいシリーズ。ロケは江戸ワンダーランド日光江戸村で行われている。

掲載2019年02月22日

「忍びの国」
一万人VS一人!大野智が天下無敵の忍者・無門になって大暴れ
織田軍と死闘を繰り広げる伊賀の忍びたちの運命と無門の願いは!?

(しのびのくに) 出演者:大野智/石原さとみ/伊勢谷友介/鈴木亮平/知念侑李/立川談春/國村隼 2017年

掲載2019年02月22日

忍びの国
「忍びの国」
©2017 映画『忍びの国』製作委員会 ©2008 和田竜/新潮社

 舞台は、戦国時代の伊賀。織田信長でさえも攻め入ることができなかった、主を持たぬ国だ。そこについに織田軍の脅威が迫る。戦いの中で、次々と斃れていく伊賀の住人。しかし、それは日常茶飯事でいちいち気に留めることもない。大事なのは、自分たちに誰が銭を払ってくれるか。主人公の無門(大野智)に至っては、他人の生死どころか、目の前の戦いそのものにも関心がない。天下無敵と言われる彼が働くのはリッチ志向の美人妻お国(石原さとみ)に気に入られたい一心から。彼らには、忠義も人情もない。まさしく、「人でなし」。これがこの物語の新しさだ。

 面白いのは、無門らに指示を出す、十二家評定衆の顔ぶれだ。への字口で感じが悪い百地三太夫(立川談春)、言動が適当な音羽の半六(きたろう)、ぼんやりしたおじさん・森田浄雲(上田耕一)、下山家の当主で平兵衛(鈴木亮平)と次郎兵衛(満島真之介)の父で腹黒そうな下山甲斐(でんでん)など、ベテラン俳優の人でなしの演技もみもののひとつ。歌って踊れる大野智が、「後先考えて無茶できるか!!」と、短剣やクナイなど、忍者の武器を巧みに操り、走って斬って跳べる男無門になって見せるアクションは激しい。が、当人は涼しい顔で、これも大野智らしい。監督は「殿、利息でござる!」の中村義洋。一筋縄ではいかない和田竜原作を自由にのびやかに映像化してみせた。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。