ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2019年05月17日

「桂ちづる診察日録」
蘭方の女医・桂千鶴が牢医師として町医者として人々を救う
殺人事件、復顔、父の仇、シーボルトにからむ事件にまで向き合う彼女の生き方に涙

(かつらちづるしんさつにちろく ) 出演者:市川由衣/高嶋政伸/三宅裕司/戸田恵子/遠藤憲一/キムラ緑子 ほか 2010年

掲載2019年05月17日

桂ちづる診察日録
「桂ちづる診察日録 」
©NHK

 幼いころ、父・桂東湖(遠藤憲一)の医術を見て、「私、お医者様になります」と宣言した千鶴(市川由衣)は、大坂と長崎で蘭方を学び、江戸で治療所を開く。父の親友・酔楽(三宅裕司)の紹介で、牢医師となった千鶴は、ハエとねずみだらけの牢で、同心たちから「女の医師など初めて見た」などと冷やかされながらも懸命に働く。そんな中で、彼女の前に傷ついた弥次郎(石垣佑磨)が。この男は亡き父の仇。悩みながらも千鶴は弥次郎の手術をする。そして、父の死には、かつて父が破門した悪医師がからんでいることを知る...。

 殺人事件や赤ん坊の父親捜し、記憶喪失の回復など、毎回の事件は、とても現代的。驚くのは第10話「もの言わぬ叫び」で、発掘された人骨の身元を探すため、千鶴が「復顔」に挑むこと。まるで科捜研!初時代劇にして連続ドラマ初主演の市川由衣は、清潔感あふれる演技で、哀しみを抱えた娘を演じ、泣かせる。また、「男だろ、泣くんじゃないよ!」と大男も黙らせる桂診療所の女中(鬼婦長?)のキムラ緑子、血を見ると気絶するため医師をあきらめた能天気な兄陽太郎の高嶋政伸、子殺しの罪を背負った牢名主の戸田恵子、「おべっかはいいよ!」と啖呵を切る劇作家南北先生の江原真二郎らが初々しい主役を盛り立てるのも気持ちいい。最終話はシーボルトもからむ大事件に。敵に立ち向かう千鶴に注目。

掲載2019年05月10日

「幕末グルメ ブシメシ!2」
単身赴任の若い武士・伴四郎が殿の密命で他藩に潜入。
エゲレス公使を満足させる料理を作れるのか?陰謀にどう立ち向かう?

(ばくまつぐるめ ぶしめし!2 ) 出演者:瀬戸康史/酒井若菜/桐山漣/三吉彩花/笠原秀幸/草刈麻有/戸田恵子/徳井優/国広富之/平田満/草刈正雄 ほか  2018年

掲載2019年05月10日

幕末グルメ ブシメシ!2
「幕末グルメ ブシメシ!2 」
©NHK・テレパック

 酒田伴四郎(瀬戸康史)は高野藩主(草刈正雄)の衣紋方藩士。参勤交代で愛妻すず(三吉彩花)を故郷に残して単身赴任中だ。彼はふとしたことから料理によってさまざまな難題を解決。シリーズ1では、茶粥ひとつにも四苦八苦した伴四郎だが、料理の技が評判になってすっかり自信過剰に。エゲレス公使(厚切りジェイソン)をもてなす料理で大失敗してしまう。おかげで伴四郎は南海藩に"売られる"はめに。肉体労働を強制される。だが、その裏にはある密書の奪還という殿の密命があった。

 時代劇で「密命」といえば、剣豪が引き受けるのがお約束(?)だが、伴四郎は腕っぷしはからきしで、やる気も中途半端。しかし、密書は高野藩の将来を揺るがす重要なものだった。思い上がりを反省した伴四郎は、幼少期に養子となった高野藩の若様に故郷の胡麻和えを作ったり、栄養不足の南海藩士に味噌の握り飯をふるまったりと、心をこめた料理を作る。瀬戸康史は、ひ弱で少々お調子者の伴四郎らしさをよく出している。また、草刈正雄は、殿なのに中間に変装して伴四郎を追いまわし、徳井優は高野藩の賄頭・菊池庄兵衛と南海藩の女中頭・お徳と二役で大いに笑わせる。最終回では、なぜかすずが洋装になって危機一髪。伴四郎は陰謀にどう立ち向かうのか!? 料理コメディという異色作ながら、時代劇の楽しみを詰め込んだ軽快なシリーズ。

掲載2019年05月03日

「孤剣は折れず 月影一刀流」
暗殺!大奥!柳生!怪盗!エンタメ要素たっぷりの柴田錬三郎小説の映像化
憂いをまとう剣豪を鶴田浩二、お転婆姫の美空ひばり夢の競演作

(こけんはおれず つきかげいっとうりゅう ) 出演者:鶴田浩二/美空ひばり/桜町弘子/月形龍之介/黒川弥太郎/加賀邦男 ほか  1960年

掲載2019年05月03日

孤剣は折れず 月影一刀流
「孤剣は折れず 月影一刀流 」
©東映

 兵法修業の旅の途中であった剣士・神子上(みこがみ)源四郎(鶴田浩二)は、恩師・小野忠明暗殺の報を聞き、江戸に帰還。孤児であった彼を育ててくれた恩人・松平伊豆守(黒川弥太郎)の屋敷で、恩師暗殺の裏に柳生但馬守(月形龍之介)と大奥の春日局(毛利菊枝)が絡んでいることを知る。恩師の仇討を誓った源四郎は、将軍の狩場で小野道場を裏切った四天王と対決、その後、謎めいた姉妹や怪盗・卍の黒兵衛(徳大寺伸)らと関わる。そして、偶然、馬を乱暴に走らせる若衆を見つけるが、それは将軍の妹・加寿姫(美空ひばり)であった。やがて、春日局の動向をつかんだ源四郎だが、囚われの身となってしまう。そこである男から吉原の紅葉太夫(花園ひろみ)に託されたのは、禁断の品だった! なんとしても脱出したい源四郎を救ったのは、黒兵衛だったが、恐ろしい敵が現れる。

 映画全盛期の東映で、鶴田×ひばり二大スターの競演で話題になった娯楽作。公開当時のキャッチフレーズに「風寒き荒野を彩る恋と剣! 邪心を斬って冴え渡る月影一刀流!!」とあるように、鶴田は明朗快活というより、荒涼とした中に憂いをおびた総髪の美剣士になっている。憂いの美男は原作者・柴田錬三郎のキャラクター造形の得意としたところ。共演には、月形龍之介、黒川弥太郎、桜町弘子ら東映時代劇には欠かせない顔ぶれがそろい、宿敵・竜馬役に平幹二朗が登場していることも見逃せない。

掲載2019年04月26日

大河ドラマ「秀吉」
竹中直人が泥臭い秀吉を演じた、堺屋太一原作の大河ドラマ
渡哲也の信長、沢口靖子のおね、母なかを市原悦子が演じた強烈秀吉の一代記

(ひでよし) 出演者:竹中直人/沢口靖子/渡哲也/高嶋政伸/市原悦子/村上弘明/赤井英和/野際陽子/仲代達矢ほか 1996年

掲載2019年04月26日

秀吉
「秀吉」
©NHK

 戦国乱世、尾張中村の日吉(竹中直人)は、貧農の暮らしの中で自分の道を探っていた。そこに現れたカリスマ的武将織田信長(渡哲也)。日吉は信長の足軽となり、一国一城の主を目指す。やがて明智光秀(村上弘明)による本能寺の変が勃発。秀吉は天下人へと上り詰めた。だが、彼を支え続けた愛妻おね(沢口靖子)の心配をよそに秀吉は次々と側室を作り、茶々(松たか子)との間には子も生まれる。一方で千利休(仲代達矢)との確執、無謀とも思える朝鮮出兵など、反感を買うことも...。

 堺屋太一の『秀吉~夢を超えた男~』などを原作に、脚本の竹中洋が織田の勤め人秀吉が頭角を現す現代的な解釈やファミリードラマ的な側面を打ち出した大河ドラマ。ふんどし姿で走り、なんでも「心配ご無用!!」と言い放つ秀吉に、人の道をはずれるなとびしっと叱る母なかを演じた市原悦子の存在感も素晴らしい。ちなみに少年時代の石田三成を演じたのが、小栗旬。竹中直人自身は、秀吉の生き方についてどこまでも貪欲で、宴会では率先して大騒ぎをしたりして、人の心に入り込む明るさを出しながら、実はコンプレックスのかたまりだったと解釈している。確かにドラマの中でも「悔しいのう!」と何度も言い、独占欲や嫉妬心も強く出ている。泥臭い秀吉の一代記は、「欲望のない若者」と言われる世代に新鮮に映るはずだ。

掲載2019年04月19日

「次郎長三国志 甲州路殴り込み」
鶴田浩二の二枚目次郎長に新参・小政の里見浩太郎など味のある子分が大集合
愛妻お蝶の最期のシーンは涙なくしては見られない!

(じろちょうさんごくし こうしゅうじなぐりこみ ) 出演者:鶴田浩二/大木実/山城新伍/長門裕之/品川隆二/里見浩太郎/佐久間良子/南田洋子ほか 1965年

掲載2019年04月19日

次郎長三国志 甲州路殴り込み
「次郎長三国志 甲州路殴り込み 」
©東映

 清水港の次郎長(鶴田浩二)一家の痛快な活躍を描くマキノ雅弘監督の人気シリーズ全四部の最終作。次郎長のところに小政(里見浩太郎)と名乗る渡世人が、投げ節お仲が猿屋の勘助一家の人質になっていると知らせに来る。お仲は次郎長のため、勘助を探ろうと一家の賭場で小政に見とがめられ、捕まった。小政は次郎長と勘助との因縁を知らず、勘助のやり方に立腹し、次郎長に知らせたのだ。次郎長は勘助に殴り込みをかけ、お仲を救い出すが、結局、愛妻お蝶(佐久間良子)を連れての兇状旅に出ることに。途中、元関取の久六が一家を親切に迎え入れるが、それは賞金目当ての悪だくみ。お蝶は病となり、石松の幼なじみの七五郎の女房お園(南田洋子)の看病もむなしく世を去る。次郎長はお蝶の敵討ちを誓う!

 しゅっとした二枚目の親分を慕う、大政(大木実)、愛嬌たっぷりの石松(長門裕之)、新たに加わった小政など愛すべき子分たちが活躍するが、ここでいい味を出すのが、名古屋弁の桶屋の鬼吉(山城新伍)と法印大五郎(田中春男)。鬼吉は渡世人になったことを嘆く親と再会。肉親の思いを知る。また、死期を悟ったお蝶に「あたしが死んだらお経を」と言われた大五郎は、「あかんあかん、わてはお経を忘れた坊主だす」と必死に訴える。男たちの哀しみが胸を打つ名シーン。シリアスな対決、コミカルなやりとりなど娯楽要素満載の次郎長映画。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。