ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2019年07月12日

「燃ゆる風―軍師・竹中半兵衛」('17年星組 宝塚バウホール・千秋楽)
「生きるのだ」「信じよ」宝塚歌劇が描く、熱き戦国ロマン。
未来を見据えた竹中半兵衛の誠実な生き方を七海ひろきが魅せる

(もゆるかぜ-ぐんし・たけなかはんべえ-('17ねんほしぐみ たからづかばうほーる・せんしゅうらく) ) 出演者:七海ひろき/真彩希帆 ほか  2017年

掲載2019年07月12日

燃ゆる風-軍師・竹中半兵衛-('17年星組 宝塚バウホール・千秋楽)
「燃ゆる風-軍師・竹中半兵衛-('17年星組 宝塚バウホール・千秋楽) 」
©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ

 戦国乱世、武将・竹中半兵衛(七海ひろき)は、正室のいね(真彩希帆)とひっそり暮らしていたが、敵方の織田信長から勧誘される。しかし、知恵と度胸と愛嬌の三拍子そろった秀吉を「この人こそ、天下人」と見込んで、出仕を決意。急襲された城の味方を救ったり、敵の武将の調略に成功したりと大活躍する。天正六年(1578)、播磨の荒木村重の謀反が起き、信長は激怒。織田を裏切ったと誤解された黒田官兵衛の子松寿丸を、「殺せ」と命じる。半兵衛は「自分が首をはねる」と名乗り出たが、その胸には、命がけで松寿丸を匿おうという固い決意があった。そして、重い病を抱えながら官兵衛を助けるための戦いに挑む。「命の使いみち」を考え続けた半兵衛が「生きるのだ」「信じよ」と松寿丸に託したものとは...。

 「太陽が見えるのだ」と太平の世を夢見た知的な半兵衛の七海(単独初主演)、「大名になったぞ~」とはしゃぐ人間味たっぷりの秀吉(悠真倫)、半兵衛に諭され軍師として目覚める官兵衛(天寿光希)、魅力的なキャラクターが乱世を疾走する。男たちを支えるいねと信長の正室で齋藤道三の娘濃姫(音波みのり)との意外な事実など、ドラマチックな設定も目が離せない。謀反で真っ赤になる舞台、互いの思いを歌い上げる半兵衛といね、宝塚歌劇らしい演出で胸が熱くなる戦国ロマン。出演者の舞台上でのあいさつもお見逃しなく!

掲載2019年07月05日

「若き日の唄は忘れじ-藤沢周平 作「蟬しぐれ」(文春文庫刊)より-('13年雪組 中日劇場)」
藤沢周平の「蟬しぐれ」を原作にした宝塚ミュージカル・ロマンス!
互いに思いあったふたりに降りかかる過酷な運命、忘れ得ぬ唄とは

(わかきひのうたはわすれじ-ふじさわしゅうへい さく「せみしぐれ」(ぶんしゅんぶんこかん)より-('13ねんゆきぐみ ちゅうにちげきじょう) ) 出演者:壮一帆/愛加あゆ/早霧せいな 他 2013年

掲載2019年07月05日

若き日の唄は忘れじ-藤沢周平 作「蝉しぐれ」(文春文庫刊)より-('13年雪組 中日劇場)
「若き日の唄は忘れじ-藤沢周平 作「蝉しぐれ」(文春文庫刊)より-('13年雪組 中日劇場) 」
©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ -藤沢周平作「蝉しぐれ」(文春文庫刊)より-

 東北の小藩・海坂藩下士の義父母の家で育った牧文四郎(壮一帆)は、十六歳。一本気な性格で、若いながら石栗道場でも一目置かれる剣の腕も持っていた。文四郎は、小和田逸平(早霧せいな)と島崎与之助(沙央くらま)という親友とともに学び、笑いあう日々を送るが、一方で隣家のおさななじみの娘ふく(愛加あゆ)の存在も気になっていた。七夕祭りの夜、ふくと出かけた文四郎は、将来を誓いあう。ところが、文四郎の義父が反逆の罪で切腹することになる。「罪人の子」と蔑まれ、長屋を出て貧しい暮らしを強いられる文四郎を支えようとするふくと二人の友。しかし、ふくは江戸藩邸勤めが決まり、やがて殿に見染められて寵愛を受けたというウワサが届く。

 原作は藤沢周平。初恋のふたりに降りかかる過酷な運命、友情...切ない心情を宝塚作品らしく、ミュージカル・ロマンスとして豊かな表現で描いた。まだ前髪の文四郎が、愛らしい着物のふくと笹舟に乗って互いの心を確かめるシーン。歌うふたりはさながら織姫と彦星。はにかんだり、幼さも見せる愛加を少年ながらリードする壮はりりしく男らしい。りっぱな若侍となった文四郎は、側室「おふく様」になったふくと再会することができるのか...。藩を乱し、文四郎を敵視する悪役たちの動きも際立つ。2013年、雪組作品。

掲載2019年06月28日

「大魔神」
大映スタッフ渾身の技術と美術による"日本初の本格特撮時代劇"と称えられる名作
大魔神は可憐な高田美和の涙で蘇る!そのリアルな動きに注目

(だいまじん ) 出演者:高田美和/青山良彦/藤巻潤/五味龍太郎/島田竜三/遠藤辰雄/伊達三郎/出口静宏 ほか  1966年

掲載2019年06月28日

大魔神
「大魔神 」
©KADOKAWA 1966

 戦国時代、武人によって崖に封じられた魔神伝説がある丹波の村で、城主花房家の家臣・大館左馬之助(五味龍太郎)による謀反が勃発。城主花房忠清夫妻は殺され、嫡男・忠文(青山良彦)と妹の小笹(高田美和)らは、忠臣・猿丸小源太(藤巻潤)とともに山中で成長した。だが、左馬之助の悪家臣により、忠文と小源太が捕まってしまう。磔にされることが決まった兄と小源太を思う小笹は、魔神のところに行き、「この身をお捧げしたら...」と泣きながら、助けを請う。地響きがして...

  "日本初の本格特撮時代劇"と今も称えられる「大魔神」は、数多くの名作時代劇を生み出した大映京都のスタッフによる精巧なセット(瓦まで魔神の縮尺に合わせて作られた)とブルーバックなど精密な技術を駆使して製作された。大魔神のリアルな動きは、元プロ野球選手の俳優・橋本力がスーツアクターとして熱演を見せたことによる。ペリーも無表情な大魔神の顔が怒り顔に変化する瞬間をこども時代に見て衝撃だったが、改めて驚くのは場面がかなりシビアなこと。忠文らを救出にきた花房家の残党を、左馬之助らは残酷にも鉄砲や槍で平然と射殺す。こども向けの明るい特撮映画とは一味違う雰囲気もこのシリーズならでは。なお、当時の撮影所があった京都太秦「大映通り」のスーパー前には、大きな大魔神像があり、なかなかの迫力。大魔神は今も愛されているのだ。

掲載2019年06月21日

「アシガール」
脚力だけが取り柄の女子高生がタイムスリップして大名家の若君に一目ぼれ!
黒島結菜と伊藤健太郎の顔合わせで大反響の時代劇ラブコメ

(あしがーる ) 出演者:黒島結菜/健太郎(現・伊藤健太郎)/松下優也/ともさかりえ/川栄李奈/石黒賢/イッセー尾形ほか 2017年

掲載2019年06月21日

アシガール
「アシガール 」
©NHK 原作:森本梢子「アシガール」

 足が速いだけが取り柄のさえない女子高生唯(黒島結菜)は、ある日、「僕をいじめたやつを戦国時代に送り込んでやる」と嫌な目的で弟が作り上げたタイムマシーンを誤って稼働させ、戦場にタイムスリップしてしまう。「足軽の唯之助」と名乗った唯は、羽木家の若君・忠清(健太郎・現、伊藤健太郎)に出会い、一目ぼれ。猛アタックを開始する。戦場では忠清の馬を追跡、城では門番に追い払われても侵入を試みる。寝言でも「若君...」とつぶやく唯。その心が通じたのか、羽木家に仕える天野家の隠居(イッセー尾形)に「かけくらべに出て勝てば家臣にするかも」と言われ、彼に会いたい一心で力走し、見事勝利!...ということは、「アシガール」は、足軽の女の子というダジャレだけではなく、「私には速いアシガアル」という二重ダジャレ?考えすぎですか?

 キラキラの若君に馬に乗せてもらったり、転んだ拍子に抱きとめられたり、現代にわたった忠清が高校生姿で壁ドンまでする!? ラブコメお約束の胸キュンシーンも満載だ。彼の許嫁の阿湖を川栄李奈が演じているのも面白い。黒島、健太郎、川栄のチャーミングな演技と彼らを支える唯の母(中島ひろ子)、父(古舘寛治)や忠清の父(石黒賢)、唯を助けた母親代わり(ともさかりえ)らおとな世代の思いにもホロリとする。SNSでも大反響を呼んだ時代劇ラブコメ。一度見るとおとな世代もハマります!

掲載2019年06月14日

「ひばり十八番 弁天小僧」
心に傷を負った菊之助が、盗賊・弁天小僧になって大暴れ!
白波五人男の名乗りなど、名場面に次ぐ名場面の74分。

(ひばりじゅうはちばん べんてんこぞう ) 出演者:美空ひばり/里見浩太郎(現:里見浩太朗)/花房錦一/黒川弥太郎/若山富三郎/山形勲ほか 1960年

掲載2019年06月14日

ひばり十八番 弁天小僧
「ひばり十八番 弁天小僧」
©東映

 寺小姓の菊之助(美空ひばり)は、江の島・弁財天ご開帳の日、金に目がくらんだ院主の悪だくみで殺人の罪を着せられ、追われる身に。仕方なく実母を頼ったが、あろうことか母は懸賞金目当てに菊之助のことを密告する。絶望した菊之助は、「すっぱり心を入れ替えて、太く短く生きる」と親子の縁を切った。盗賊となった菊之助は得意の女装で呉服屋浜松屋に乗り込むが、あと一歩のところで正体を見破られた。そこに現れた浜松屋の用心棒は...。

 22歳のひばりは、美少年から義賊への変化、身軽な旅姿、艶やかな振袖、威勢のいい祭り半纏、大立ち回り、「もう化けちゃいられねえ」「どなたさまもまっぴらごめんなせえよ」そして「知らざあ言ってきかせやしょう」と小気味いいセリフを連発。さらにいい貫禄の義賊・日本左衛門(黒川弥太郎)、翳りと粋を兼ね備えた南郷力丸(若山富三郎)、明るく勢いのある赤星十三(花房錦一)、不適な二枚目・忠信利平(里見浩太朗)とともに不正な塩の買い占めを行う浜松屋(山形勲)の一万両を狙う! クライマックスは芝居小屋での白波五人の名乗りシーンから続く大立ち回り。大人数の捕り方の提灯がまぶしく光る。もちろん、ひばりの歌も満載。山道を歩きながら、小舟を漕ぎながら、いいのどを聞かせる。ひばり人気で当時の「近代映画」はこの映画の別冊を出したほど。昭和映画全盛期の楽しさがあふれる74分。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。