ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2019年01月18日

「曽我兄弟 富士の夜襲」
日本三大仇討のヒーローを中村錦之助と東千代之介が颯爽と演じた快作
北大路欣也、大川橋蔵らも出演の東映若手オールスター時代劇

(そがきょうだい ふじのやしゅう ) 出演者:東千代之介/中村錦之助/高千穂ひづる/大川橋蔵/北大路欣也/大友柳太朗/月形龍之介/片岡千恵蔵 1956年

掲載2019年01月18日

曽我兄弟 富士の夜襲
「曽我兄弟 富士の夜襲」
©東映

 曽我兄弟の仇討は荒木又右衛門の「鍵屋の辻」と「忠臣蔵」と合わせて史実に残る「三大仇討」。1193年の曽我兄弟の事件が一番時代的には古く「元祖仇討物語」ともいえる。1193年といえば、「いいくにつくろう鎌倉幕府」ともいう鎌倉幕府成立(現在は1185年が定説とされる)1192年の翌年。源頼朝は権力を握ったとはいえ、まだ不穏な時代であった。

 物語は頼朝(片岡千恵蔵)の寵臣・工藤祐経(月形龍之介)により、河津三郎祐泰(中野市女蔵)が逆臣の汚名を着せられて殺されたことから始まる。祐泰の幼い息子・一万と箱王の兄弟は、母(花柳小菊)とともに鎌倉を追われ、曽我太郎祐信(中村時蔵)の家族となったが、工藤祐経の讒言により処刑されそうになる。幕府重臣の畠山重忠(大友柳太朗)により救われた兄弟は、十郎祐成(東千代之介)・五郎時政(中村錦之助)と名を変えて、父の仇討に挑む。史実では富士に狩猟にきていた祐経が遊女と寝ているところを襲撃されたともいわれるが、映画では弟を助ける化粧坂少将(三笠博子)、兄を慕う美しい遊女・大磯の虎(高千穂ひずる)が出てきたり、仇討の現場が富士山麓の狩場だったり、何より12年の時を経て二枚目兄弟が再会するといったドラマチックな場面満載。源頼家に北大路欣也、梶原景時に大川橋蔵など、当時の新星が顔を揃える若手オールスター活劇に仕上がっている。

掲載2019年01月11日

「雲霧仁左衛門3」
中井貴一主演雲霧は原作を踏襲しつつオリジナルの展開に!
一党の新たな顔と春風亭小朝&板尾創路の悪役コンビに注目。

(くもきりにざえもん3 ) 出演者:中井貴一/國村隼/内山理名/手塚とおる/渡辺哲/村田雄浩/板尾創路/近藤芳正/春風亭小朝 ほか  2017年

掲載2019年01月11日

雲霧仁左衛門3
「雲霧仁左衛門3」
©NHK/松竹

 人を傷つけず、雲か霧のごとく大規模な盗み仕事をしてのける雲霧仁左衛門(中井貴一)一党と、彼らを執拗に追い続ける火付盗賊改方・安部式部(國村隼)らの攻防を描くシリーズ。第三弾の本シリーズは、池波正太郎の原作世界を踏襲しつつ、オリジナルのストーリーを展開。雲霧が武士の身分を捨てることになったいきさつと彼にとっての敵との対決が軸となる。

 物語の始まりは前シリーズ最終回の一年後の江戸。一党を解散した雲霧は行方不明となっていたが、そのころ、江戸には雲霧を名乗る盗賊が残虐な押し込みを続けていた。その偽雲霧を陰で操っていたのが、雲霧とは因縁の深い藤堂家の江戸家老・磯部主膳(春風亭小朝)だった。磯部は平然と人殺しをする剣客関口(板尾創路)を使い、火盗に接近。偽雲霧を追うため集まった一党だが、七化けのお千代(内山理名)が捕まってしまった。ウソありワナあり、仕掛けあり。一党にとって危機が続くが、雲霧はその危機までも逆手にとって、磯部をぎゃふんと言わせる襲撃を計画。雲霧と火盗に藤堂家も加わる三つ巴の戦いから目が離せない。注目したいのはのっぺりフェイスで冷酷な計画を練る小朝と板尾の悪役コンビ。また、今シリーズから新たな一党の顔となる小頭・三坪の伝次郎(近藤芳正)、大工小僧七松(大東駿介)らの得意技も見逃せない。

掲載2019年01月04日

「眠狂四郎女妖剣」
大奥に怪しい影が忍び寄り、巻き込まれる狂四郎に女たちが迫りくる
根岸明美、久保菜穂子、藤村志保、春川ますみの妖しさと冴える「円月殺法」に注目

(ねむりきょうしろうじょようけん ) 出演者:市川雷蔵/藤村志保/久保菜穂子/根岸明美/春川ますみ/城健三朗 ほか  1964年

掲載2019年01月04日

眠狂四郎女妖剣
「眠狂四郎女妖剣」
©KADOKAWA 1964

 2019年に没後50年となる市川雷蔵の当たり役「眠狂四郎」。第四作の本作は、池広一夫監督肝入りの「ストロボ撮影」によって狂四郎の必殺技「円月殺法」の映像美が表現され、評判となった。また狂四郎の出生の秘密も明かされ、その虚無な生き方がより鮮明に描かれる。

 物語の発端は狂四郎がある朝、全裸の美女ふたりの死体を目撃したこと。ふたりが大奥の女中であることを告げた男鳥蔵(小林勝彦)は、妹の小鈴(藤村志保)と捕らえられた。大奥には豪商の悪だくみでアヘンが蔓延し、残忍な姫が暗躍しているらしい。鳥蔵に自分と血のつながりがある尼僧が浜松にいると聞いた狂四郎はその姿を確かめに行くが、途中、鳥追い女に酒を飲まされ、目が見えなくなる。なんとか刺客を撃退し、浜松にたどり着いた狂四郎は、隠れ切支丹たちと出会う。彼らとともにいたのは、美しい切支丹の尼僧びるぜん志摩(久保菜穂子)だった。だが、そこには驚愕の秘密が...。

 大奥、アヘン、隠れ切支丹と眠狂四郎ワールドのキーワードが詰め込まれた内容で、狂四郎は巫女の根岸明美、鳥追いの春川ますみら美女に迫られる。そして「久しぶりだな」と現れたのは、城健三朗(若山富三郎)演じる刺客・孫陳!「俺に地獄に堕ちろというならもう遅い。俺はとっくに墜ちている」という狂四郎の美しくも虚しい生き方が雷蔵によく似合う。

掲載2018年12月28日

「小河ドラマ 龍馬がくる」
細川徹脚本・監督の"非"本格時代劇!
龍馬ファン武田鉄矢と本物龍馬三宅弘城、確かにどっちも海援隊?

(しょうがどらま りょうまがくる) 出演者:三宅弘城/武田鉄矢/箭内夢菜 ほか  2018年

掲載2018年12月28日

小河ドラマ 龍馬がくる
「小河ドラマ 龍馬がくる」
©時代劇専門チャンネル/カンテレ

 大河じゃないよ、小河だよ!を合言葉にユニークにして笑える作風で知られる細川徹が脚本と監督を担当。パロディと芸能界あるあるシーン満載の、"非"本格オリジナル時代劇の第二弾。

 主人公はドラマで久々に坂本龍馬を演じることになって張り切る武田鉄矢。しかし、恋人おりょう役の箭内夢菜に「タカダさん」と呼ばれ、彼女が「龍馬」を「リュウマ」と読んだりしてイライラの連続だ。そんなとき突然、タイムスリップしてきた本物の坂本龍馬(三宅弘城)と遭遇。自他ともに認める龍馬ファンの武田は本物龍馬に「ダクションどこ?」と聞いて「海援隊ぜよ」と言われると「海援隊はオレがやってんだよ!!」と怒り出す。剣豪のはずがたいしたことなかったり、新選組におびえてただの蕎麦屋のおじさんを張り倒したり、本物が語る実像はカッコ悪くてがっかり。逸話が史実に則っているところもミソ。一方で、本物龍馬はスタジオの隅で立ちションし、武田のピンクのジャケットに袴という珍妙な恰好で、コンビニでバイトを開始。スマホを使いこなし、バイト仲間と合コン。ふんどし姿でナイトプールに飛び込み、ビキニ美女に囲まれて、「男は海よりナイトプールぜよ!!」と現代の文化にご満悦。やるねー龍馬。地上波の約2割という超低予算で大いに笑わせる新感覚ドラマ。本当に龍馬に見せたいぜよ!

掲載2018年12月21日

「織田信長」
高橋英樹にしかできない堂々の織田信長が戦国を疾走する!
津川雅彦の斉藤道三、風間杜夫の徳川家康、意外な木下藤吉郎にも注目

(おだのぶなが ) 出演者:高橋英樹/涼風真世/長門裕之/津川雅彦/戸田菜穂/小山明子/京本政樹/高島礼子/三田村邦彦/風間杜夫 1994年

掲載2018年12月21日

織田信長
「織田信長」
©東映

 織田信長(高橋英樹)は、尾張の戦国大名・織田信秀(神山繁)の次男として生まれたが、その奔放さで家臣たちも手を焼いていた。やがて斉藤道三(津川雅彦)の娘お濃(涼風真世)と結婚、桶狭間の戦いなど激戦を経て、ついには将軍足利義昭(京本政樹)を担ぎ出して天下を治めるべく快進撃を続けるが...。有名なエピソードを豪華キャストで描いたワイドドラマ。高橋英樹は時代劇スターの貫禄たっぷりで、時に過激に時に男の色気を感じさせつつ、カリスマ武将を堂々と演じている。凛としたお濃、浅井長政(堤大二郎)との別れを経験するお市(中村あずさ)など美女の存在も光る。

病死とされる武田信玄(南原宏治)が信長の密命で暗殺された!?など名場面はたくさんあるが、「長篠の戦」では、城の窮状を知らせた鳥居強右衛門(船越英一郎)が武田軍に捕縛され、見せしめに磔にされたことを怒り、鉄砲を繰り出して武田騎馬軍を撃退。多くの馬が迫り、次々落馬する兵。迫力の合戦シーンになっている。同時に「世の中を驚かせるために生まれてきたお方...」という言葉に「大きな借りができた」と不安げな徳川家康(風間杜夫)。その後、信長に恨みを抱く明智光秀(小野寺昭)など複雑な人間関係も展開。御屋形様をひたすら慕うお調子者の木下藤吉郎(秀吉)を三田村邦彦が演じているのも面白い。主題歌は吉田拓郎と加藤和彦の「純情」。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。