ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2011年03月04日

『影の軍団Ⅳ』
幕末の混乱の最中、影の軍団が走る!
最終回「大老暗殺」くノ一集団と対決

(かげのぐんだん4) 1985年

掲載2011年03月04日

黒船来航以後、混乱が続く幕府上層部。中でも開国派と攘夷派との対立は日に日に激しさを増す。そんな最中、勝麟太郎(真田広之)が命を狙われた。彼を助けたのは、「影の軍団」のひとり、さつき(池上季実子)。これをきっかけに勝は、軍団の頭領で15代服部半蔵(千葉真一、現・JJサニー千葉)と交流を深めることになる。勝を狙ったのは、井伊直弼(成田三樹夫)の一派。それは決して表ざたにはならない日本の未来を賭けた戦いに発展していく。
多くの「演技派忍者」が誕生した「影の軍団」シリーズ。中でも、このシリーズⅣには、今も人気が高いお蓮(志穂美悦子)、あやめ(美保純)、お蝶(MIE)と美人どころが揃う。また、瓢斉(橋爪功)や善九(伊原剛志)に加え、後に「愛と平成の色男」に出演する石田純一も一員に。女にモテる軍団員というのが、彼の将来を暗示しているようだった。
最終回は、万延元年3月3日。とくれば、井伊直弼暗殺の当日! 朝から不穏な空気が流れる中、大名行列に従う腰元の歩き方を見ただけで「むっ、くノ一」と見破る半蔵はすごすぎる。島津斉彬(西沢利明)も抹殺され、いよいよ過激な一味と戦うことになる軍団。薩摩武士の妻女で敵討ちを志す女(野際陽子)を助けた半蔵は、決死の作戦を。当時夫婦だった千葉・野際の息のあった演技も見物。

掲載2011年01月28日

『風と雲と砦』
勝新太郎が戦国を駆け抜ける熱い雑兵に。
水谷良重の「おだまり!!」強気お姫様も魅力

(かぜとくもととりで) 1961年

掲載2011年01月28日

世は戦国乱世。武田軍におしつぶされそうになった三河徳川軍に、左近八郎(勝新太郎)、山名鬼頭太(小林勝彦)、俵三蔵(三田村元)の三人の若き雑兵がいた。彼ら三人のマドンナ的存在の腰元みゆき(近藤美恵子)は、なんとか城を脱出。自軍の危機に、最後まで抵抗した八郎だったが、武田軍に捕まり、危機一髪。しかし、彼は、怪しい雰囲気の安良里姫(水谷良重、現・八重子)に助けられた。一方、農民出身の三蔵は、落城前に脱出。彼は野生的な野武士集団の首領の情婦ひめ(江波杏子)に助けられ、「野武士になるのもいいだろう」と、首領を倒し、自ら集団を率いることになる。そして、鬼頭太は、みゆきが八郎を慕っていることを知るが、八郎は安良里姫に命令されるまま、隠密行動をすることになった。その裏には、意外な事実が。
原作は、井上靖。戦国では武将が主人公になるケースが多いが、本作では明日をもしれない若き雑兵たちの生き様をいきいきと描いている。光っているのは、それぞれのキャラクター。中でも、水谷演じる安良里姫は、何かといえば「おだまり!!」「あたしのために働くんだね」「得なほうをおとり」などと、強気発言炸裂で強い印象を残す。現在では、ベテラン女優の江波杏子は、時代劇初出演。男たちの本音と、女たちの愛がからみあい、戦国の人間模様が心を打つ。

掲載2011年01月14日

『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』
佐伯泰英のベストセラーに山本耕史が主演
心に傷を負う剣士が江戸の長屋で生き直す

(かげろうのつじ いねむりいわね えどぞうし) 2007年

掲載2011年01月14日

九州豊後関前藩の中老・坂崎正睦(平泉成)の長男・坂崎磐音(山本耕史)は、誠実で穏やかな青年だが、剣の腕は師匠(榎木孝明)も一目置く存在。力を抜き、静かに剣を構えた様は、「春先の縁側で年寄り猫が居眠りをしているよう」と「居眠り剣法」と呼ばれている。その磐音が、上意で親友を斬ってしまう。許婚奈緒(笛木優子)とも別れ、ひとり江戸へ。傷心の磐音は、深川の両替商今津屋に勤める町娘おこん(中越典子)と知り合ったことから、おこんの父(小松政夫)が大家をする長屋に暮らし、市井のさまざまな事件と関わる。
原作は、佐伯泰英の累計1200万部という大ベストセラー。映画「最後の忠臣蔵」はじめ、時代劇で大きな存在感を示す山本耕史は、物静かな青年剣士をまっすぐに演じる。磐音は、鰻をさばく仕事を得、剣士だけに包丁さばきもよく、職人たちに感心され、今津屋の用心棒になれば、頼りにされる。傷ついた磐音が生き直す様が伝わってくる。おこんは、一途に彼を思うようになるが、彼の心にある奈緒の存在が気になって仕方ない。そんな娘を思う父、小松政夫の名演技には泣ける。
ペリーは、佐伯先生宅でインタビューをしたが、先生自身、長くスペインの長屋のようなところで生活し、人情に触れたという。闘牛を撮る写真家だった先生にちなんで?ドラマのギター音楽もスペインの香りがする。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。