ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2010年12月17日

『影の軍団Ⅲ』
打倒、紀州!!千葉・真田・志穂美ら影の軍団。
石橋蓮司も女装の刺客で登場。

(かげのぐんだん) 1982年

掲載2010年12月17日

殺陣、潜入、火薬、馬術、あらゆるアクションを駆使し、時には、どう見ても現代のスキーじゃん!と突っ込みたくなるような、サービス満点の画面作りでファンを楽しませてきた「影の軍団」シリーズ。パートⅢは、リーダーの多羅尾半蔵(千葉真一)以下、志穂美悦子、役の真田広之など、軍団メンバーも充実。
時は、四代将軍家綱のころ。裏では、紀州大納言徳川光貞(小沢栄太郎)が、わが子を将軍にと画策していた。三代将軍家光の正室だった本理院孝子(岸田今日子)は、尼となっていたが、光貞の陰謀を阻止するため、半蔵を雇う。かつて徳川に使い捨てにされた伊賀の忍者の怨みは消えていなかったが、半蔵と仲間たちは、打倒紀州に向けて、動き出す。
ゲストには、若山富三郎、天知茂ら大物が登場。懐妊した家綱の側室を暗殺するために、大奥に潜入した巫女姿の刺客を女装した石橋蓮司が怪演しているのも見逃せない。眉毛を細く、声は女性が葺き替え「女とばかり思っていた」とみんなが驚くのだが…やっぱり顔は石橋蓮司です。終盤、下帯一枚で戦う巫女刺客。監督には、松尾昭典、関本郁夫、小野田嘉幹ら、時代劇を知り尽くした面々が参加。半蔵の仕事場が風呂屋で女湯シーンも。湯屋ののんびりムードと、敵に向って「我が身すでに鉄なり。我が心すでに空なり。天魔覆滅!!」と決めセリフを言う半蔵のギャップが見事。

掲載2010年11月05日

『快刀!夢一座七変化』
庶民を泣かせるやつは許さない!
世直し旅芸人一座の七変化。女装も当然!?

(かいとう!ゆめいちざしちへんげ) 1996年

掲載2010年11月05日

花村夢十郎(宇津井健)が率いる「花村一座」は、勧善懲悪、拍手喝采で人気の旅芸人の一座。その花形は花村夢之丞(三田村邦彦)。彼を守り立てるのは、元大工で悪役の月見龍之介(地井武男)、元女スリの女役者雪村揚羽(池上季実子)、追っかけから一座に加わった花村小町(山口香緒里)、元火消しで威勢のいい花村申太郎(渡辺裕之)。一座の会計係でマネージャーの遁兵衛(城後光義)も欠かせないメンバーだ。
彼らは各地で華やかな舞台を見せる一方、裏では人の道=倫理にはずれた悪を成敗する世直しチームの顔も持っていた。たとえば「秀吉の埋蔵金の謎」では、悪役に嫌気がさした龍之介が、美女に頼まれ、「小判のニオイがする!!」と奇怪なおばばに変装して悪に挑む。もちろん、主役の夢之丞は、旗本、高僧、さらには毘沙門天(ちなみに一座全員が七福神になって登場)にまで変幻自在。地井武男も別の女装で援護する…って、いくらなんでもバレてるでしょ!! 突っ込みどころも爽快感も満載の痛快時代劇。
「手のリンドウに事寄せて 花のからくり七変化 浮世に咲いた悪の花 人喰い花を切花に…」と続く名セリフも覚えると楽しい。
小椋桂の主題歌「夢芝居」はしっとりおとなの雰囲気。

掲載2010年10月15日

『喧嘩屋右近』
超ラブラブな夫婦が江戸の騒動を斬る。
杉良太郎が企画から参加!裏話もいろいろ

(けんかやうこん) 1992年

掲載2010年10月15日

「よろず喧嘩買入れ申候」と看板を掲げる茨右近(杉良太郎)は、恋女房お弦(萬田久子)とともに、もめごととなれば、いの一番で駆けつける陽気な男。しかし、ひとたび悪人を前にすれば、恐ろしい顔で剣を抜く。
「顔のない依頼人」の回では、蕎麦屋伊之松(下川辰平)の娘おはつ(立原麻衣)が、二万七千石の藤林家の殿様に見初められて、奉公に召し上げられる。右近は「めでてえ!」と喜ぶが、身分違いを両親は心配する。その心配は的中し、殿の縁談の邪魔になるおはつに、悲劇が。おはつを思う亀吉(赤塚真人)の純情が悲しい。怒った右近は「おめえは、身分が高いから、斬ったときには黄金の血が流れるんだろうな…」と敵に迫る。
夫婦喧嘩の仲裁から、大名家のもめごとまで、幅広く仕事を引き受ける割には、なぜか金が手元に残らないこの夫婦。それでも、超ラブラブで、仲がいい。「自分は喜劇俳優」と実はコメディが得意の杉良太郎が、でれでれした三枚目の顔を見せるのも楽しい。
杉良太郎は、林不忘の「魔像」に登場する脇役の右近を主人公にと考え企画段階から参加。予算が限られていたため、エキストラの手配から、弁当の予算まで、自らきっちり管理し、赤字を一切出さなかったという。プロデューサー、経営者、さらには監督もこなした杉良太郎の意欲作なのだ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。