ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2010年02月12日

『草燃える』
時代劇チャンネルがきっかけで全話放送実現
北条政子と源頼朝の恋から波乱の鎌倉を描く

(くさもえる) 1979年

掲載2010年02月12日

豪族の娘・北条政子(岩下志麻)は、伊豆に流されていた源氏の御曹司・源頼朝(石坂浩二)と出会い、惹かれあう。しかし、政子には、親(金田龍之介)が決めた許婚がいた。婚礼が迫り、政子は思い切った行動に出る。自分に思いを寄せる伊東好之(滝田栄)に自分をさらわせ、頼朝のところに脱出しようとしたのだ。純粋だった好之は、だまされたと知って、復讐を誓い、あらゆる場面で妨害行為に出る。
平家を打ち破り鎌倉に幕府を開いた源頼朝と、頼家、実朝の三代に渡る栄華とその裏の骨肉の争い。近年は、ドロドロ路線の昼ドラマでも活躍する脚本家・中島丈博の濃厚で、現代口調のセリフは当時から話題に。原作者の永井路子は、「原作を越えた」とドラマを絶賛したという。顔に斜めの大きな傷を負う好之の滝田栄は、大河ドラマデビュー作。プロデューサーから「顔にもうひとつ傷をつけてバッテンにしたい」といわれて驚いたとか。好之は、ラストシーンまで、存分の活躍を見せる。
なお、この作品のオリジナルVTRは、NHKにも保存されていなかったが、当チャンネルの「大河ドラマ・アーカイブス」をきっかけに、一般視聴者の方からの映像提供を受け、さらに関係者のテープも合わせて、全話の放送が実現することに。多くの人たちに愛された作品の醍醐味をゆっくり堪能してください。

掲載2010年01月29日

『帰って来た木枯し紋次郎』
市川崑監督、中村敦夫主演で15年ぶり長編
堅気の紋次郎に、再び、過酷な運命が。

(かえってきたこがらしもんじろう) 1994年

掲載2010年01月29日

始まりは峠の小さな茶屋。そのおやじ(日下武史)が「紋次郎という渡世人は…」五年前に死んだと語りだす。しかし、紋次郎は木曽で木こりとなり、生きていた。少しずつ腕前を上げて、頭の伝吉(加藤武)からも認められ、堅気として日々を送っていたのだ。そんなとき、仕事を嫌って飛び出した頭の息子・小平次(金山一彦)が、貸元・木崎の五郎蔵(岸部一徳)の身内になって、悪事に加担しそうであるとわかる。頭への恩義に報いるため、紋次郎は、小平次を連れ戻すため、再び、渡世人の世界に足を踏み入れることになった。
15年ぶりに市川・中村の顔合わせが実現。原作者・笹沢佐保が書き下ろしたストーリーは、年月を重ねた中村敦夫の渋みをそのまま活かし、「あっしはどうやら、堅気になれない定めのようで…」という紋次郎の切なさを表現している。
粋がってはいるが、紋次郎の貫禄の前には歯が立たない小平次を金山一彦がやんちゃに演じ、彼を心配する鈴木京香もやわらかい女らしさをよく出している。ポーカーフェイスの岸部、腹黒い八州廻り石橋蓮司、紋次郎を恨む女おまち(坂口良子)も、独特の水占いをしながら、「あたしには見えるんです。紋次郎の姿が」と、独特の雰囲気をかもし出す。懐かしい主題歌を歌う上篠恒彦が、老いた浪人で登場するのも、ファンには楽しい。

掲載2010年01月08日

『風光る剣−八嶽党秘聞−』
中井貴一が剣に生きるカッコイイ男に!
原作・藤沢周平。謎の「八嶽党」の正体とは

(かぜひかるけん−はちがくとうひぶん−) 1997年

掲載2010年01月08日

元御家人の跡取りだった鶴見源次郎(中井貴一)は、無限流免許皆伝の腕前だが、今は弟に家督を譲り、筆耕仕事で細々と暮らしていた。偶然、公儀隠密と謎の集団の戦いに出くわし、密書を預かったことから、彼の運命は大きく変わる。親友で五百石とりの旗本ながら浮世絵を描く変わり者の細田(渡辺徹)とともに源次郎は、徳川に遺恨のある八嶽党と戦うことになる。
原作は藤沢周平の「闇の傀儡師」。地味な生きる剣の達人が戦いに直面したり、彼がなぜ家督を譲ったのかなどは、藤沢作品らしい味。「草燃える」「八代将軍吉宗」など多くの大河ドラマを手がけた演出の大原誠は「剣が強くて女にベタベタしない。お金に汚くなく、ガツガツとものを食わない。カッコイイ男を再現したかった」と語っている。源次郎は、まさにそのカッコイイ男に仕上がっている。
脚本は大野靖子、音楽は富田勲。キャストも豪華で、津川雅彦、丹波哲郎、里見浩太朗、八千草薫、田村高廣らベテランは、貫禄たっぷり。中でも、江守徹は、老練な剣士に扮して、源次郎を翻弄する。宿敵となる羽賀研二の悪辣ぶりも見物のひとつ。また、源次郎と深く関わることになるお芳(高岡早紀)の妖艶さにも注目したい。「ベタベタしない男」源次郎もさすがにお芳の色香には…。どうする、源次郎?八嶽党との決着ととものお楽しみ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。