ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2005年10月20日

「御金蔵破り 佐渡の金山を狙え」若山先生お得意のアクション連発!救援を望めない佐渡で、どう戦う?

(ごきんぞうやぶり さどのきんざんをねらえ) 1983年

掲載2005年10月20日

若山富三郎のヒットシリーズ「御金蔵破り」の中でも、外部から孤立した島を舞台に決死の作戦に出たのが、本作。
 元隠密頭の吉兵衛(若山)は、静かな暮らしを望んでも、実現はなかなかできない。佐渡をめぐる不穏な動きに、外国をも巻き込んだ陰謀が隠されているのではと、懇願され、選び抜いた三人の手下(清水綋治、加納竜、岡田奈々)らとさっそく潜入をはかる。しかし、相手は強敵。情報を探ろうとした奈々は逆に毒がにかかりそうに。
 なにしろ敵は大勢。こうなったら、若山先生得意の火薬&銃器作戦の開始だ。敵の火薬庫から火薬を調達し、竹筒でダイナマイト?をつくり、がんがん吹き飛ばす。連発銃で攻撃すれば、敵は大砲で応戦…いつのまにか、佐渡は荒野のようになっているし、この展開は、ほとんど戦争映画なみだが、ときおり吉兵衛が見せる剣さばきのスピードはさすが。また、貫禄がある体形ながら、実は非常に身が軽いという若山独特のアクションにも注目を。ちなみに若山富三郎は、市川雷蔵の「眠狂四郎」シリーズ第一作ではカンフー(?)を披露。アクションは得意なのだ。
 それにしても、腹を切ったはずの仕事の依頼人は生きていたのか? その後、金山は平和だったのか? どうやって島から帰ってきたのか? 突込みどころもいろいろの長編。

掲載2005年09月08日

「幻之介世直し帖」宙を飛び交う“はやぶさ”小林旭!刀とは一味違う立ち回りで悪を斬る。

(げんのすけよなおしちょう) 1981年

掲載2005年09月08日

幕政を真剣に考える目付けの父(島田正吾)の息子・幻之介(小林旭)は、堅物の父とは違い、「ちょいと散策に」と毎日町に出ては盛り場でも「若殿!」とちやほやされる遊び人。しかし、裏では悪人たちの行状を調べ上げ、成敗する正義の志士「はやぶさ」としての活動を続けているのである。
 もとの奉公人でいまは料理屋を開いている伊平次(長門裕之)、お秀(松尾嘉代)と協力して事件を探索。いよいよ証拠がかたまると、幻之介は、鳥の覆面を被り、両手には鋭い爪のような独自の武器を装着。愛馬にまたがり、颯爽と悪人の屋敷に乗り込むのであった!江戸の町中の屋敷へ行くのになぜか森林を疾走するはやぶさ。なんだか遠回りでは?などと思ってはいけない。この登場シーンは、どこか「バットマン」にも通じる気がする。
 さらに特筆すべきは、旭はやぶさの戦いぶり。右に左に華麗に宙を舞いとび、敵を翻弄。テレビ時代劇の出演作が多くはないスターだが、「空を飛ぶ小林旭」というだけで、十分に話題になる作品といっていい。
 脇には、はやぶさをしつこく追う同心・神崎唐十郎に長門勇、その娘に初々しい芦川よしみ、最近では掃除の達人としても注目される松居一代も町娘で出演している。主題歌「思いやり」も聞かせる。

掲載2005年09月01日

「剣客商売」ロケの意外な敵はセミ?ここまでこだわる「剣客」撮影現場

(けんかくしょうばい) 2004年

掲載2005年09月01日

先月、東京はお台場で行われた当チャンネルのファン感謝イベント。「剣客商売スペシャル」の新作試写やゲームなど、大変なごやかなひとときとなった。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
 そこで、私は「剣客商売」シリーズや「鬼平犯科帳」シリーズのプロデューサーで、当チャンネルでも活躍中の能村庸一さんとトークをさせていただいた。
 その能村さんの話で驚いたのは、「夏のロケの大敵はセミ」という話。これは私も撮影現場取材するとよく感じることだが、ロケ中は、電車や車の通過音、飛行機の音も避けなければならない。これらは通り過ぎればいいが、セミだけは完全に追い払うこともままならず、難しい。さらに「京都で江戸を撮っているわけですから、鳴いているセミの種類が違うので、そこにも注意します」とのこと。必要なら、後から江戸のセミの声をかぶせることもあるという。そこまでこだわりますか!
 そんなこだわりの結晶ともいえる「剣客」シリーズの第五シリーズは、秋山小兵衛(藤田まこと)、おはる(小林綾子)に孫小太郎ができて、ますます家族の物語がやわらかくなっていく。大治郎(山口馬木也)と三冬(寺島しのぶ)の夫婦もしっくり。何気ないシーンのこだわりにも耳をすましてみては。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。