ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2005年06月29日

「傘次郎・新子捕物日記 夫婦十手」町でうわさの暴れん坊夫婦が大活躍。勝気でかわいく色っぽい美枝子に注目。

(かさじろうしんことりものにっき めおとじって) 

掲載2005年06月29日

北町奉行所定町廻り同心・坂根傘次郎(渡瀬恒彦)は、ちょっと風変わりな女を女房にした。その女・新子(原田美枝子)は、死罪になった名うての盗賊の娘で、背中一面には大きな河童の入れ墨をしている。こんな女にほれたのだからと、傘次郎は、なんと同じ入れ墨を自分も入れてしまうのだった。
 ぶつかりながらもラブラブなふたりだが、世間の目は冷たい。新子が湯屋に入ろうとすると、ひそひそうわさをされ、傘次郎も奉行所では変わり者と決め付けられてしまった…。
 強気&勝気なところが似たもの夫婦。それを芸能界一けんかが強い(?)とも言われる渡瀬と、一本筋の通った女優として知られる原田が真っ向勝負で演じるのだから、威勢がいい。奉行所に顔を出した新子に「亭主の仕事場に顔を出すとは何事だ!!」と傘次郎が怒れば、「女房が心配してきてやってるのに、なんだい、その言い草は!!」そのとばっちりは、傘次郎の後輩同心(江藤潤)がくらうはめに。
 原田美枝子は行水で入れ墨入りのきれいな背中を見せるなど、色っぽさも抜群。さらには事件解決に一役かって、ついには新子にも十手が授けられるという粋な展開。「子連れ狼」などでも知られる原作の小池一夫の持論は、「一番大事なのは主人公のキャラクター」。その持論どおりのユニークなキャラクターが疾走する捕物シリーズとなった。

掲載2005年06月23日

『御家人斬九郎5』最終回「最後の死闘」 「バットマン」でも評判!渡辺謙監督作品

(ごけにんざんくろう) 2001年

掲載2005年06月23日

「ラストサムライ」に続いて、「バットマンビギンズ」でも、強烈な存在感を示し、いまや堂々のハリウッド俳優となった渡辺謙。米国では、眉間にしわを寄せたシビアな顔のイメージになりつつあるが、その内に秘めたコメディセンスが光った出演作といえば、ご存知「御家人斬九郎」シリーズであった。
 名門の家柄だが、無役で微禄の最下級の御家人・松平残九郎(渡辺)。九男で跡取りなのに、ひまを持て余していつもフラフラ。大食漢の母(岸田今日子)に「ええい、成敗してくれる!」となぎなたを振り回されて、仕方なく片手業(バイト)に精を出す。そのバイトとは、罪人の斬首なのだった。そんなバイトの金を「ほほほ」と笑いつつ、すっかり巻き上げる母上。すさまじい親子である。
 その人気シリーズも28日でいよいよ最終回。残九郎の兄、姉らは大奥や他家に養子に行ったりしているが、そのうちのひとりが理不尽な事件に巻き込まれた。斬九郎は、負けを承知で単身、敵集団に斬りこんでいく。さすがの母も「死ぬには順番がある。私が先じゃ」と深刻な表情。雪の中、斬九郎を案じて、美人芸者、蔦吉(若村麻由美)が走る…。
 渡辺謙自らが監督した最終回。映像懲りすぎ!音楽泣かせすぎ!監督のこのシリーズへの思いがすべて込められた濃厚なひとときをお楽しみに。

掲載2005年05月06日

「かあちゃん」市原悦子のケチケチかあちゃん。山本周五郎原作の人情時代劇。

(かあちゃん) 1987年

掲載2005年05月06日

江戸の裏長屋に暮らす、お勝(市原悦子)と、五人のこどもたち。この一家は、粗末な衣服を身につけ、全員がなにかかしらで稼いでいた。親密な近所づきあいが当たり前の長屋生活だが、お勝一家だけは、つきあいが悪い。おかげで、「けちんぼ家族」と陰口をたたかれている。 ある日、お勝が小金をためていると聞いて、盗みに入った勇吉(堤大二郎)。しかし、しっかり者のお勝から、必死に金をためている理由を聞かされ、心が変わるのだった。
 サスペンスドラマの家政婦など、クセのある役の多い市原悦子。意外に肝っ玉かあちゃんの役は珍しい。が、そこはただののんびりかあちゃんではない。こどもたちを叱咤激励。こそ泥青年を吹き飛ばす勢いだ。人からなんと言われようと、自分の義理を貫くかあちゃんとそのこどもたちのタフな生き方が心地いい。また、彼らをとりまくのが、殿山泰司、コント山口君と竹田君、芦屋小雁、あき竹城など、長屋時代劇にはぴったりの面々であるというのも楽しい。山本周五郎の原作にはファンが多く、後にこの作品を市川崑監督が岸恵子主演で映画化。同じ「かあちゃん」でも、パワフルな悦子かあちゃんと、ちらりと視線で威圧する恵子かあちゃん、味が違うのが面白い。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。