ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2005年04月21日

「木枯し紋次郎」テレビ時代劇の歴史に欠かせない主人公 実は、撮影開始直後に一大危機が!

(こがらしもんじろう) 1972年

掲載2005年04月21日

上州新田郡三日月村の貧しい農家に生まれた紋次郎は、口減らしのために生まれた直後、捨てられそうになった暗い過去を持っている。姉の機転で命を救われたものの、その後、一家は離散。天涯孤独の渡世人としてあてのない急ぎ旅を続けている。憂いをおびた顔には古い傷、そして口には長い楊枝。その楊枝が風に鳴り、木枯らしのように聞こえる…。
 伝統的な股旅時代劇の明るいイメージとは正反対のニヒルな主人公の孤独な戦いのさまは、多くのファンを魅了。一大ブームになった人気作品。番組を見たことがない方でも、名前だけは知っているというくらい有名だ。
 しかし、撮影開始当初は、製作を担当していた大映が突然の倒産。セットに入ることもできないという騒然とした環境だった。しかも、当時、「土曜日午後10時半」の放送時間は、「深夜枠」。誰もこれほどヒットするとは思わず、あの印象的な主題歌も、歌い手が見つからなかったという。
 市川監督はじめ、スタッフが力を結集した作品は、斬新でスタイリッシュ。ところが、放送開始が正月だったため、「ちょっと話が暗い」とも言われた。そこで急遽、第一話と第二話を差し替え。その理由は、「第二話のゲストが小川真由美で、『女ねずみ小僧』の女優なら話も明るいのでは」と判断されたとか。かなりアバウトな判断な気もしますね…。

掲載2005年04月07日

「怪談津の国屋 半七捕物帳」時代劇界屈指の名探偵が怪事件に挑む!主役に渋い味の露口茂登場。

(かいだんつのくにや はんしちとりものちょう) 1981年

掲載2005年04月07日

神田三河町の半七といえば、人気作家・岡本綺堂によって大正6年(1917年)に発表された江戸の名探偵。
 原作の設定では、幕末に活躍し、明治の世の中になってから、昔語りとして事件の話をするという展開になっている。少年時代に父を失った半七は、神田の岡引・吉五郎に弟子入りし、みっちり修行を積んだ後、独立。その推理力は、高く評価されていたらしい。
 テレビでは、平幹二朗、尾上菊五郎、里見浩太朗、真田広之ら、さまざまな半七が登場したが、今回の主役は、「太陽にほえろ!」のヤマさんでもおなじみの露口茂。
 今回のストーリーは、半七の妹・お房(岡江久美子)が、死んだはずの娘の幽霊を目撃するところから話が始まる。
江戸でも知られた油問屋・津の国屋の娘・お安は七年前に水死したはず。なぜ、今になって幽霊になって姿を現したのか…。そこに津の国屋に怨恨を持つ人物が浮かび上がってくる。娘の水死と、大きな黒い影。話は複雑に絡み合ってくる。
 沈思黙考、推理している顔色からも渋さが漂う半七親分と、彼を取り巻くなぞの女たち。今回は、松尾嘉代、水野久美、黒田福美ら、色香漂う女優陣が半七に接近する。次々起こる奇怪な事件を半七はどう裁くか。じっくり見たい長編。

掲載2004年09月17日

「五稜郭」里見浩太朗の幕末時代劇長編シリーズ完結編。土方歳三を熱演する渡哲也にも注目!

(ごりょうかく) 1988年

掲載2004年09月17日

慶応3年。幕府の最新軍艦・開陽丸で留学先から帰国したのは、榎本武揚だった。才能を高く評価されていた榎本は、海軍副総裁に任命されるが、大政奉還で、幕府そのものが消滅。一転して「官軍」と戦うことになってしまう。幕府艦隊を率いて、五稜郭に入城した榎本らは、新選組の土方歳三らと出会い、勇敢に戦う。しかし、戦局がどんどん悪化して、ついには蝦夷討伐隊と全面的に戦うことに…。世が世なら幕府の超エリートとして一生を送ることもできた人物が、同じ日本の政府に敵と見なされる。まさに幕末の激動を感じさせる榎本武揚。勝海舟や新選組とはひと味違う幕末模様が見られる。
 脚本は今年急逝した杉山義法。主演は里見浩太朗。若い隊士の悲劇を描いた「白虎隊」、西郷隆盛の恰幅を出すために工夫を凝らし、ふだんの倍近い貫禄になって話題になった「田原坂」に続く幕末三部作の完結編だ。そのまじめな人柄そのものに、まっすぐに生きる武揚を好演する。妻に浅野ゆう子。妻の祖父で医学者の佐藤泰然に、このシリーズに欠かせない森繁久彌。箱館で壮絶な最期をとげる土方歳三を渡哲也が熱演しているのも注目。後年、渡はテレビ朝日系で近藤勇役。近藤、土方両役を演じた俳優は意外に少ない。隠れた幕末俳優といえる?さだまさしの歌う主題歌「夢の吹く頃」にも泣ける長編。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。