ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2003年08月01日

「風」栗塚旭の隠れ名作!ウルトラシリーズでおなじみの実相寺昭雄らのスタッフも名人揃い。

(かぜ) 1967年

掲載2003年08月01日

 剣の腕は一流で、しかもニヒルないい男。風の新十郎(栗塚旭)は、どこかつかみどころのない風来坊のようだが、悪い奴は容赦しない。ひそかに彼を思うくノ一かがり(土田早苗)とともに、世の中の悪と戦うのだ。
 そんな彼らに関わりを持つのが、天文学者の福内鬼外先生(志村喬・こんなお茶目な名前の人物をこの人がやってたのが愉快)と、孫娘の早苗(東山明美)など。
 黒の着流しを着せたら、天下一品の栗塚旭。和製ルパンと呼ばれるほど、イカす男である。しかも、事件の展開は通常の時代劇とはひと味違う。密室事件や本格推理もの、冒険、秘密、特撮も駆使。もちろん、栗塚得意の立ち回りアクションも含め、斬新でスピーディ。
 実はその演出陣は時代劇映画の松田定次はじめ、ウルトラシリーズで知られる実相寺昭雄、飯島敏宏など、こだわりの面々なのだ。ちなみに、新十郎のしっぽをつかまえようと躍起になる同心・相川左近に、初代「ウルトラマン」で科学特捜査隊のムラマツキャップこと小林昭二が扮している。
 放映当時、TBSが投じた破格の制作費と、人気番組「銭形平次」と真っ向勝負の時間帯で視聴率20パーセント強の記録で話題になった伝説の名作。29日と8月3日の最終回には、先日亡くなった小松方正がゲスト出演。ぜひ、お見逃しなく!

掲載2003年07月18日

子連れ狼 第一シリーズ 萬屋錦之介が劇画の世界を体現して大ブームに!バーブ佐竹の主題歌も切ない名作。

(こづれおおかみ だいいちしりーず) 1973年

掲載2003年07月18日

 「公儀介錯人」の地位をねらう柳生一族の卑劣な陰謀によって、一家を惨殺された拝一刀。徳川に楯突く反逆人の汚名まで着せられた一刀は、妻の機転でただひとり襲撃を免れた一子大五郎を連れて、諸国を歩く。その仕事は、「一殺五百両」の刺客。その目的は、柳生一族への復讐だった。
 大五郎を箱車に乗せて、ゴロゴロと道を行く一刀の姿は、このドラマならでは。小池一雄と小島剛夕原作の劇画の世界を、名優・萬屋錦之介が体現。眉毛を塗りつぶし、常に険しい顔で、錦之介の新しい魅力となった。
 主人公が非情な刺客、それも子連れ、という斬新な設定と、出るわ出るわ、個性的な柳生の刺客たち。剣の名門「柳生」に「裏柳生」なる恐ろしい一団がいるというのも、興味深い。それを迎え撃つ一刀も、箱車に手槍、手裏剣、機関銃(?)など、奇抜な仕掛けをして撃退する。こんな時代劇、見たこともなかった。第一話の太地喜和子はじめ、石橋蓮司、名古屋章、江守徹ら、タダ者でないゲストが続く。彼らは善か悪か?一刀に仕事を依頼する面々も一筋縄ではいかない者ばかり。一刀親子は、信じる者は自分だけ。冥府魔道の裏街道をゴロゴロと突き進む。
 小池一雄作詞、渡辺岳夫作曲の主題歌「ててご橋」も隠れ名曲として味わい深い。バーブ佐竹の声にシビれます!

掲載2003年05月09日

「五人の野武士」合戦シーンは映画と同時撮影!三船敏郎とすごいやつらが大集合した、伝説の名番組。

(ごにんののぶし) 1968

掲載2003年05月09日

 戦国の世は力次第で誰でも一国一城の主になるチャンス!そんな時代の風を受け、五人の野武士がそれぞれの野心を胸に旅に出る。リーダー格は、剣豪・船山次郎義景(三船敏郎)だが、五人がひとまとまりになるということは、ほとんどない。旅先でさまざまな事件とぶつかりながら、反骨精神いっぱいの五人の野武士が自由に生きていくのだ。
 まず、注目したいのは、迫力の合戦シーン。実はこれは、三船敏郎主演で69年に公開された「風林火山」(当チャンネルで17日他放送)で撮影されたもの。映画の予算をしっかり活用。これでテレビ番組としては並外れた迫力シーンが可能になったというわけ。
 また、出演者も三船以下、宝田明、中山仁、高橋俊行、松山省二、人見明、高橋幸治の姿も!この時期(68年)の田村正和はまだまだお坊ちゃんな感じであった。
 脚本に岡本喜八、宮川一郎、監督に内出好吉、萩原遼、監修には「無法松の一生」でヴェネチア映画祭グランプリ、「風林火山」の監督でもあった稲垣浩、殺陣師には次々の黒澤作品で三船敏郎に名シーンを創りあげた久世竜。メンバーを聞いただけでもわくわくする。三船敏郎のテレビ初主演作にして、なかなか見られなかった伝説のテレビシリーズ。じっくり堪能したい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。