ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年11月01日

「鞍馬天狗 御用盗異変」チャンバラスター大集合!!「七剣聖と呼ばれた男たち」の幻の名作をご覧あれ。

(くらまてんぐ) 1956年

掲載2002年11月01日

 嵐寛寿郎、市川右太衛門、大河内伝次郎、片岡千恵蔵、月形龍之介、長谷川一夫、阪東妻三郎。日本映画黄金期に大暴れした七人のスターを、世の人々は「七剣聖」と呼び、親しんだ。最近では名画座でもなかなか全員集合ということは難しかった七人の作品を、今月は一挙公開というお楽しみ企画。
 まず、五十音順で一番始めのスターは、嵐寛寿郎。アラカンの十八番といえば、やっぱり「鞍馬天狗」だ。
 幕末奉還を表明した後も、徳川幕軍と薩摩軍勢は対立していた。薩摩側は、密かに「御用盗」なる集団を作り、江戸で暗躍。庶民の徳川不信の情を煽ろうと画策した。御用盗たちは、強盗はやるわ、誘拐はするわの悪行三昧。鞍馬天狗は、同じ勤皇の士として薩摩に悪行をやめるよう説得するが、無視され、単身江戸に乗り込む!天狗を慕って江戸までやってきた杉作少年(松島トモ子)とともに、鞍馬天狗は、御用盗を成敗できるか?
 それにしても、顔は隠れてないし、白昼ではかえって目立つ覆面姿の天狗さま。「覆面」についていろいろ考えさせられる作品だが、コスプレできる覆面だったからこそのヒットだったのかもしれない。共演には現役大臣の扇千景ほか、神代錦、雅章子ら華やかな面々も登場。

掲載2002年10月25日

「木枯し紋次郎」原作者・笹沢左保さん逝く!作者が最期まで大切にした主人公の生き方が胸に染みる。

(こがらしもんじろう) 1972年

掲載2002年10月25日

 10月21日、「木枯し紋次郎」の作者・笹沢左保氏が、肝細胞ガンで亡くなった。60年に「招かれざる客」で江戸川乱歩賞次席でデビュー以来、四十年余りの作家生活。ガンがわかっても通院しながら執筆を続けるという、紋次郎の産みの親らしい、強い意思の人であった。享年71歳。
 生前、紋次郎シリーズの執筆風景が紹介されたが、そのこだわりぶりはすごがった。まず、街道の地図を詳細に調べ、その風景や気候を考える。紋次郎の足の速さと、街道の道のりを計算して、一日にどれほど進み、どこでどんな人と出会うかを想像していく。ペンより先にその手にあるのは、地図にあてて図る物差しである。緻密な構成と丁寧な描写は、この辺りからきているのであった。
 テレビ画面でも笹沢原作の通り、中村敦夫の紋次郎は、ぼろ雑巾のような旅装束の渡世人で無口で無愛想。ただし、原作でもテレビでも路銀を落として、飢えた挙げ句、預かり金で博打をするなど、ストイックというよりは、時には失敗もする人間臭い一面を見せたりする。そして、元俳優志望の作者も、一度だけ自ら「紋次郎」に出演。選んだ役は国定中治だったという。ガンと戦ったタフな作家というようりは、シャイでお茶目な人だったのかもしれない。新作が出ないのはさびしいが、せめて画面で紋次郎に会おう。合掌。

掲載2002年09月27日

「くノ一忍法帖自来也秘抄」中島美智代&大西結花主演のセクシー時代劇二連発。究極忍法“清水波”って何!?

(くのいちにんぽうちょう じらいやひしょう) 1995年

掲載2002年09月27日

時代劇のセクシー路線では、「大奥」「くノ一」が二大テーマだが、今回は、「くノ一」ものの傑作、山田風太郎原作の「自来忍法帖」「忍者月影抄」を、豪華キャストで制作した劇場版の二連発。
 その1「くノ一忍法帖自来也秘抄」は、子だくさんで有名な11代将軍家斉の33番目の男子徳川石五郎が婿に来る。乱れた藩内には、さまざまな陰謀が渦巻く。水面下では、伊賀くノ一と甲賀忍者の死闘が繰り広げられる...。お姫様役にアイドル歌手の中島美智代。速水典子らが繰り広げる女の戦いにプロレスラー藤原嘉明、伊藤敏八、遠藤太津朗らが、どうからむ?見どころは多いが、注目したいのは、くノ一らの必殺技。くノ一忍法精水波とは!?・・・とてもここには書けません。他にも「乱蛇体」「爪火舞」「火災乳」など、想像を絶する技の数々。荒唐無稽な山田風太郎の世界を映像化したパワーはすごい。第二弾「くノ一忍法帖忍者月影抄」は、元スケ番刑事・大西結花主演。こちらにも南蛮妖術「母如礼縫亡」(ボジョレーヌーボーって読めました?)が登場。ああ、どこまでいくのか、くノ一たちよ。
 日曜深夜。おとなのみなさん、セクシーなくノ一たちのすごい技をたっぷりお楽しみ!

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。