ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2001年08月31日

ついに登場!中村主水「暗闇仕留人」

(くらやみしとめにん) 

掲載2001年08月31日

 テレビ時代劇の中でも最も熱いファンを持つシリーズといえば、なんといっても「必殺。」そのシリーズ「顔」ともいえるのが、藤田まこと演ずる「中村主水」
 必殺シリーズ第一弾の「必殺仕掛人」は、池波正太郎の原作「仕掛人梅安」に準じていたが、第二弾「必殺仕置人」は、テレビオリジナル。そこに飄々と登場したのが、中村主水であった。北町奉行所の同心で、職場では役にたたない昼行灯と呼ばれ、家では跡取りも作れない婿養子。嫁姑にへこへこした情けない男だが、実は、剣の達人。正義のためでなく、金のために許せない悪人を殺す、裏の顔を持っていた。
 喜劇で知られた藤田まことが殺し屋?とスタート当時は驚かれたが、番組が始まってすぐに、その俗っぽさ、世の中の裏表を知った皮肉っぽさ、何より「よく見ると怖い顔」が評判になった。ちなみに「中村主水」の名前は、「007」ジェームス・ボンドの語感から命名されたという。
 シリーズ第4弾「暗闇仕留人」は、ある事情により、番組名に「必殺」の文字が使われていない時期(74年)の放送で、中村主水、三味線のバチや仕込みの矢立てで相手を仕留める蘭学者の糸井貢(石坂浩二)、怪力で相手の心臓を握りつぶすというすごい技の持ち主・大吉(近藤洋介)が、闇の仕事をする。大吉の愛人・妙心尼(三島ゆり子)の色っぽいセリフ「なりませぬ」が流行語になった。

掲載2001年08月24日

「怪談シリーズ」残り少ない夏を、じっくり怖く楽しもう

(かいだんしりーず) 

掲載2001年08月24日

 時代劇の怪談は、単に気持ち悪かったり、残酷だったりするのではなく、人間の弱さや欲の深さ、哀れさが出ていて、時には笑ってしまうようなオチもあったりする。
 実は、そこが時代劇のよいところ。ほとんどCGも使わず、特殊メイクもまだまだの時代の番組が、今も多くの人の心に残っているのは、「きっとここで出るな」というポイントで幽霊が出てくる妙な安心感が、楽しかったせいもあると思う。
 そこで今週の恐怖のラインナップ。
 「怪談大奥あかずの間」は、生類憐れみの令で悪評ふんぷんの将軍綱吉に殺された女が夜毎、大奥で鼓を打つというお話。主演は勝呂誉、共演は、現大臣の扇千景。
 続く「新撰組呪いの血しぶき」。隊の掟や暗殺などによって、新鮮組土方らに殺された者の怨霊に襲われる隊士たちの恐怖。こちらも今は国会で活躍する中村敦夫の主演。
「怪談雪女」は、遊女おゆきを捨てて、名主の娘と結婚した男が、雪女と遭遇。有馬稲子と高橋悦史で送る。
 30日からは、新シリーズ「日本怪談劇場」がスタート。佐藤慶の「怪談蚊喰鳥」、田村亮の「怪談牡丹燈籠」など、名作が登場。
 こどもの頃、あんなに怖かった映像が、おとなになってみると...やっぱり怖いかも!
 残り少ない夏を、怪談でじっくりお楽しみください。

掲載2001年08月17日

「怪談シリーズ」名作怪談で残暑お見舞い申し上げます。

(かいだんしりーず) 

掲載2001年08月17日

 毎夜恐怖の45日間と銘打って、お送りしている「日本の怪談」特集。
 今週も豪華ゲストによる、名作が勢ぞろい。18日は、名作中の名作「四谷怪談」を、かつて映画で大評判をとった天知茂の主演でテレビ化。円山理映子の熱演と、ミスター三文役者こと殿山泰司が、人間の醜さ、浅ましさをドロドロと見せる。見どころ満載の一本。
四谷怪談が鶴屋南北の傑作なら、20日は三遊亭円朝の悲しくも怖いお話。「怪談牡丹灯篭」は、若い浪人に恋焦がれて死んだ娘が夜な夜な恋人を尋ねてくる。高田美和の美しい幽霊っぷりに注目したい。翌21日には、田村三兄弟の兄・田村萬広主演で、金に目が眩んで人殺しをした男の破滅を描く「怪談蚊喰鳥」が登場。長門裕之の迫真の演技が怖い。
雨、古い、沼、と怪談の三拍子揃ったのが22日の「怪談雨の古沼」栄達のために妻を売り飛ばした男と、その妻、妻を慕う弟子がからむ因縁話。原作は阿竹黙阿弥。中村扇雀、岡田茉莉子、神田隆ら芸達者の共演作。
 このほか、操を守った娘が殺され、怪猫となってあらわれる「怪談まだら猫」(林与一、武原英子主演)や非業の死をとげた男の怨霊が犯人とそのこどもにまで呪いをかける「怪談累ヶ渕」(三遊亭円朝原作、伊吹吾郎、加賀ちか子主演)など、日本の怪談は女優がみんなきれいで、余計に怖いのが特長。一度見たら忘れられない、一度見たのにまた見たい。不思議な怪談の魅力に浸って下さい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。