ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2001年02月08日

御家人斬九郎

(ごけにんざんくろう) 1995年

掲載2001年02月08日

 若い世代からもリクエストが殺到する人気シリーズを独占放送!
 名家ながら超貧乏な御家人の斬九郎こと松平残九郎(渡辺謙)は、剣豪だけど名うての遊び人。だけど食い道楽の猛母、麻佐女(岸田今日子)には頭が上がらない。仕方なく母の食い扶持を稼ぐために罪人の介錯を副業にしている。
 ストーリー展開は、八丁堀の友人(益岡徹)と難事件に巻き込まれたり、美人芸者、蔦吉(若村麻由美)と相思相愛になったりと忙しい斬九郎だが、豪快な太刀さばきは文句ナシのカッコよさ。
 柴田錬三郎の原作。松平家の見栄に振り回される武家の情けなさと、深川で遊んで生きようとする跡取り斬九郎の対比が面白い。息子が罪人の介錯をして稼いだ金で
“今宵は八百善(お気に入りの高級料亭ね)に…”
とイソイソ出かけようとする母、岸田今日子の怪演も爆発。
“おのれ九郎!!”
と、薙刀を振り回す母をダマしたつもりが、結局は母の思うつぼにはハマる斬九郎とのやり取りは何度見ても笑える。また、岸田今日子と渡辺謙の間にはさまれて、いつもオロオロする岡っ引き佐次役の塩見三省もいい味を出している。

掲載2000年11月30日

国定忠治

(くにさだちゅうじ) 1954年

掲載2000年11月30日

 上州国定村の馬子・忠治は、悪政と凶作に腹を立て、やくざの道に入る。運も手伝って親分格になるが、自分勝手な理由から他の親分を斬ってしまう。さらには、百姓の味方をしたつもりが裏切られ、追い詰められる忠治…。
 辰巳柳太郎が舞台での当たり役を人間くさく熱演。島田正吾はじめ新国劇の役者が総出演の大活劇。やくざの裏表、人の弱さにも迫る新鮮さがある。
「国定忠治」といえば、
“赤城の山も今宵限り…”
のキメゼリフが有名だが、この作品にはその場面はない。そのかわりに“そうだべ、そうだべ”
“ばかたれめ”
を連発し、勝手に人を斬ったり、友人の妻である初恋の女に乱暴をはたらく横暴なヤクザぶりを見せつけている。辰巳柳太郎は、田舎の暴れん坊をハイテンションで演じていて、シブさが光る島田との対比がいい。一時は百姓から、生き神様とまで言われながら最後は無視されるヤクザの哀しさなど、見どころの多い作品。

掲載2000年10月31日

剣客商売2

(けんかくしょうばい2) 1999年

掲載2000年10月31日

 飄々と生きる父と剣一筋の堅物息子。ふたりの剣客の活躍を描く池波正太郎の人気シリーズもいよいよ後半。行きずりの女(森口瑶子が好演)のために命を捨てた若侍と出会う「暗殺」、息子大治郎を想う老中田沼意次の娘、女剣客三冬(大路恵美)の「三冬の縁談」など、見どころの多い話が続く。主演は藤田まこと、息子に渡部篤郎。田沼意次役の平幹二朗もいい。
 池波の原作では大治郎と三冬は結ばれ、子どもも生まれるのだが、テレビのほうはどちらも奥手で気持ちを言い出せないまま。われわれ視聴者や世慣れた父、小兵衛がやきもきするほどなのであった。権力者の娘だからと理不尽は仕打ちを受けたり、卑劣な手を使う男たちに敢然と立ち向かう三冬には、ペリーも自分を見るようで応援したくなる。しだいに女らしい面も見せる三冬だが、料理はダメ、気が利かないなど、その人間味の描き方はさすがに池波作品。梶芽衣子、三浦浩一ら“鬼平組”の出番もうれしい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。