ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2000年10月17日

剣客商売

(けんかくしょうばい) 1998年

掲載2000年10月17日

 また見たい!との熱い要望に応えて、藤田まこと、渡部篤郎主演の第1、2シリーズを放送開始。孫ほどの若妻と悠々と暮らす老剣客、秋山小兵衛、剣一筋の堅物息子、大治郎。庶民から老中、田沼意次まで様々な人と事件に出会う剣客親子を描く。池波正太郎原作の江戸情緒や味覚、人間描写、殺陣の緊張感が生きた快作。夜12時の再放送もうれしい。
 泰平の世で剣によって生きるのは、“商売”と語る小兵衛と、その“商売”が下手な大治郎。その対比と息子の成長ぶりが面白い。実際に大治郎役の渡部篤郎は、だんだん殺陣に光るものを見せるようになってきた。とくに、眉墨の金ちゃん、妖怪小雨坊など奇怪な相手との対決は見もの。また、小兵衛の妻、おはるを演じる小林綾子の愛らしさ、いきつけの料亭「不二楼」の女将、梶芽衣子のこなれた演技、もっとも難しい役、時の老中、田沼意次の娘で女剣士の三冬役の大路恵美ら女優陣にも注目。

掲載2000年09月14日

鞍馬天狗

(くらまてんぐ) 1981年

掲載2000年09月14日

 幕末の京都。新撰組相手に颯爽と戦う黒覆面の男。ヒーロー中のヒーローに長身の二枚目、草刈正雄が挑戦。トレードマークの短筒もバリバリのSWリボルバー。ほとんどスパイ映画のカッコよさ。彼を慕う杉作少年を当時のアイドル、伊藤つかさ、宿敵、近藤勇に財津一郎、土方歳三に細川俊之などユニークな配役、後藤利次の音楽など斬新な天狗作品。 天狗と言えば、代表的な嵐寛寿郎はじめ、歴代の天狗が覆面はしても顔は覆わなかったのに、草刈版では、本人の提案で目だけを出した文字通りの覆面姿。敵に囲まれても、アラカンのようにバッタバッタと斬り倒すというよりは
“いづれも浅手。死ぬことはない”
とキザなセリフとともに去っていくのが、草刈版の特徴だ。キャストでは、ほかに桂小五郎に岡田裕介、元盗賊の吉兵衛に西村晃など。杉作が実は女の子だったという設定が、最終回に生きてくるのだが、その辺は見てのお楽しみ。

掲載2000年08月29日

軍兵衛目安箱

(ぐんべえめやすばこ) 

掲載2000年08月29日

 八代将軍吉宗の頃、庶民の訴えを聞くために設置された目安箱。そのなかから見捨てられた訴状に目をとめ、密かに事件を解決しようとした老中がいた…。主演は片岡千恵蔵。67歳にしてテレビ時代劇初登場の記念碑的番組。晩年の深みある存在感と、推理に立ち回りに大活躍する姿がカッコいい!渡辺篤史、倉丘伸太郎、亀石征一郎ら、若手の配役も充実。
千恵蔵は、27年歌舞伎界から映画界に進出。9月にこのチャンネルで特集する鞍馬天狗で一世を風靡した嵐寛寿郎とは、終生のライバルと呼ばれた。映画では「瞼の母」、「赤西蠣太」、「国士無双」、「判官シリーズ」、「血槍富士」、「大菩薩峠」、「十三人の刺客」など、時代劇の傑作に出演。テレビではこの「軍兵衛目安箱」や、「大岡越前」のご隠居・大岡忠高役(大岡越前の父)が印象深かった。83年に千恵蔵が亡くなると、「大岡越前」の番組のなかでもご隠居が亡くなったことに。ほかの俳優では替われない存在感だったってことだな、納得。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。