ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2000年08月29日

怪傑黒頭巾

(かいけつくろずきん) 1981年

掲載2000年08月29日

幕末の動乱。庶民のピンチに愛馬ハクセツを駆って、颯爽と登場する、天下のヒーロー、怪傑黒頭巾! 戦前から少年少女に親しまれた正義の味方を、若山富三郎がキリッと見せる。乱れた世に乗じた強盗浪人、悪徳役人との対決。長屋の人情。痛快時代劇のすべてがあるといってもいい番組だ。どこからともなく現れる黒頭巾は後に登場するたくさんのヒーローたちの手本にもなった。主演の若山富三郎は珍しくひとり三役に挑む。二宮さよ子、加藤嘉、岸田森ほか共演者もクセ者そろいで、お楽しみ。
若山富三郎は、テレビ時代劇では昭和48年の「唖侍・鬼一法眼」(チャンネルに放送を希望するリクエストが多数寄せられているらしいぞ)や、昭和50年の「賞金稼ぎ」(ライフルは撃つわ、ショットガンはぶっ放すわ、おまけに馬にまたがりやってくる様はまんま西部劇)、映画では「子連れ狼・子貸し腕貸しつかまつる」などに主演。明朗な時代劇より、ワイルド系のイメージが強い。その意味では「怪傑黒頭巾」は、すごく明るい感じ。現代劇での、貫禄を生かした味のある役と見比べるのも一興かも。ペリー的には、弟の勝新太郎との共演作もじっくり見たいところだ。

掲載2000年07月12日

傘次郎・新子捕物日記夫婦十手

(かさじろう・しんことりものにっきめおとじって) 1982年

掲載2000年07月12日

北町奉行同心・板垣傘次郎の恋女房新子は実は""女河童""の異名を持つ、元女盗賊。世の中の裏と表がくっついたおしどり夫婦が、協力して難事件に挑む、好評シリーズ第2弾。江戸の材木問屋連続殺人事件のなぞとは!?活躍ぶりが認められた新子はお上から十手をあずかり、晴れて本当の""夫婦十手""となる。傘次郎に渡瀬恒彦、新子に原田美枝子。共演に梅宮辰夫、江藤潤ほか。小池一夫・小島剛夕原作らしいストーリーの面白さとテンポのよさが楽しめる長編。原田美枝子の可愛い女房ぶりにも注目。
 ちなみにこのシリーズ第1弾では、新子は「河童の刺青をしたなぞの女」として登場。原田美枝子に河童の刺青…それだけでも見ものと言える作品であった。河童の新子が銭湯で傘次郎の十手を盗んだことが夫婦のなれそめというのもユニーク。また、75年に「影同心」で無精ヒゲむさむさのダメ同心、裏では許せない悪を退治する男を熱演した渡瀬恒彦も、久々の八丁堀のだんな役を好演している。

掲載2000年07月10日

荒野の用心棒

(こうやのようじんぼう) 1973年

掲載2000年07月10日

 「地平線を赤く染めて用心棒がやってくる。いずれ劣らぬ曲者四人。血しぶきあげる挑戦状!」のうたい文句も高らかに荒野にヌッと現れる馬三頭。馬上にはライフルの名人の夏木陽介、ダイナマイトの竜雷太、とてつもない剣豪の渡哲也。マネージャー役の坂上二郎。暴れる悪には暴れる正義。気分は西部劇。豪快な男たちが悪と小理屈を吹き飛ばす痛快作。
 ちなみにライフルは「新式もとこめ銃」、ダイナマイトは「爆雷」。秋月左馬介(夏木)は「鉄砲のだんな」と呼ばれ、「あたしゃエゲレス語もオランダ語も多少わかるんですがね」というすっぽんの三吉(坂上)は洋傘をさして登場。三人の豪傑プラス坂上二郎の組み合わせは、時代劇好きの人にはたまらない、ご存じ三船敏郎の人気作「荒野の素浪人」の続編。このシリーズには理屈はいらない。奇想天外なストーリーをお楽しみあれ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。