ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2006年08月31日

『毛利元就』弱腰にもなれば、愚痴も言う!家族を愛し、戦国を生き抜いた元就の生涯。

(もうりもとなり) 1997年

掲載2006年08月31日

戦国時代初期の明応8年(1499)。安芸の毛利氏は、出雲の尼子経久(緒形拳)と山口の大内義興(細川俊之)の二大勢力に囲まれて、生き残りを模索していた。領主・毛利弘元(西郷輝彦)は、息子・興元(渡部篤郎)に家督を譲るが、興元もその嫡男も早世してしまう。続いて家督を継いだのは、幼少時・松寿丸と呼ばれていたころから、気性が強かった元就(中村 橋之助)であった。
 戦国乱世をいかに生き抜くか。隣国の動きに絶えず注意しつつ、家庭でも息子たちの成長に気を配る元就。有名な「三本の矢」の教訓も含め、時代劇初挑戦の内館牧子の脚本は、武将の人間性にスポットを当てている。
ユニークなのは、元就の周辺にいる女性たち。
つい弱腰になって愚痴を言う夫を支える美伊の方(富田靖子)、夫を亡くしながらも凛として生き抜く兄の正室雪の方(一路真輝)、情熱的な加芽(葉月里緒菜)、中でも、一応、母親代わりと言いながら、自分の美貌ばかりが気になる亡父の側室・杉の方(松坂慶子)は、成長した元就を見て、「りっぱになって、私はただいじめてただけになのに…ほほほ」などと、本音ポロポロ。さすがに女の世界を描くと強い内館ワールド。三本の矢もこんな女性たちにかかれば、ひとたまりもない? なお、松寿丸の少年期を近年、俳優としても活躍する森田剛が派手に熱演したのも話題だった。

掲載2006年08月03日

『魔境 殺生谷の秘密』腹ペコ浪人・三船敏郎の大活躍。ハイテンション財津一郎と金山の運命は?

(まきょう せっしょうだにのひみつ) 1983年

掲載2006年08月03日

旅を続ける浪人(三船敏郎)は、ふとしたことで老武士と孫の二人連れと知り合う。老武士・島田閑兵衛の話によれば、彼の息子・弥一郎は、幕府検察使をしていたが、無実の罪で切腹させられたという。弥一郎の死には、金山にまつわる不正がからんでいるらしい。巨悪がうごめく金山に向かう島田たちを思ううち、浪人は、妙な男・守助(財津一郎)と出会う。どうやら、守助は金山の秘密を知っていて、追われている様子。「だんな、てえした腕前だー」と、浪人の腕を見込んだ守助は、勝手に道連れになろうとする。
 浪人・三船敏郎が、島田老人と出会う場面。腹ペコで動くこともままならない浪人が、老武士の孫に握り飯を分けられて、ぐーぐー腹を鳴らしながら、「飯は、食った」とやせ我慢したりする。また、名前を尋ねられた浪人が、山に飛ぶカラスを見て名乗った名前は? 豪快ながら、人を食ったような浪人は、三船敏郎の十八番。ここでも、大いにその魅力を発揮する。
 また、金山に取り付かれ、破滅の道を突き進むふたりの男が登場。そのひとり守助は、やさしい娘(佳那晃子)がいながら、まっとうな道に戻ることはかなわない。あとひとりは、弥一郎の死の鍵となる男(峰岸徹)。黄金と妖艶な人妻(赤座美代子)に魅入られた男の正体とは。赤座美代子がすれっからした女を熱演する。上手い。

掲載2006年07月27日

『まぼろし城』巨大どくろに襲われる幕府隠密・月之介!美少女ジュディ・オングも大活躍。

(まぼろしじょう) 1968年

掲載2006年07月27日

第一話。物語は深夜、いきなり城に潜入する不気味なドクロ集団の動きから始まる。難なく城に潜入した彼らは、何かを探している様子。それは日本の山という山を調べ上げ、金銀銅鉱脈など、山の資源をすべて手に入れたも同然と言われる秘伝の二巻の山絵図だった。あわや悪人たちの手に絵図が…というところに立ちはだかったのが、幕府隠密・木暮月之介(林真一郎)。どくろ集団の頭領は、徳川幕府に恨みを抱く、小西寿安(ジェリー伊藤)だった。妖術を操る寿安は、月之介の前にき巨大などくろを出現させ、江戸城を壊滅させると宣言する。
 戦前、雑誌「少年倶楽部」に連載されて人気を博した少年活劇小説の実写版。スタッフは、「隠密剣士」でヒットを飛ばした面々だけに見せ所はよーく心得ている。
 驚いたのは、第一話、68年当時、ロケもかなり自由だったのか、本物の城(?)の敷地内で、延々どくろ団との戦いシーンが続くこと。現在ではなかなかできないぜいたくな撮影環境だった。独特の逆手斬りの立ち回りと、緊迫した場面でも「江戸土産に拙者の名前をお聞かせいたそうか」などととっても丁寧言葉が特徴の月之介の活躍と、彼に味方する飛騨の山棲族の娘・ジュディ・オングと中村晃子の愛らしさにも注目。
♪どこへ行くのと尋ねたら〜と、問答形式が印象的な主題歌も覚えて口ずさみたい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。