ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2003年03月14日

「卍舞 大江戸浮世風呂譚」喜多嶋舞の体当たり演技が大評判!湯女に身を落とした女の壮絶な復讐劇を見よ。

(まんじまい おおえどうきよぶろたん) 1994年

掲載2003年03月14日

 先般、東京はお台場に「大江戸温泉物語」なる温泉テーマパークがオープンし、話題になっている。なんでも江戸の湯屋のイメージだという。なかなかに興味深い施設だ。
 もっともこの「卍舞」の舞台に大江戸浮世風呂は、テーマパークどころか、女の悲しみを流す場所。主人公のお蝶(喜多嶋舞)は、そこの人気ナンバーワン湯女である。しかし、その素性は、もともと武家娘で本名はお絹。
旗者の性悪息子・黒岩(本田博太郎)に、祝言直前に乱暴された上に、許嫁を惨殺されてしまったのだ。未来も最愛の人も失ったお絹は、黒岩への復讐を決意。湯女・お蝶として虎視眈々と機会を待っていた。そして、ついにそのチャンスが!
 復讐するのに、即、湯女という発想をするお蝶もすごいが、そこでチャンスがやってくるというのもまたすごい。主演の喜多嶋舞は、この作品で、まさに一皮むけたいい女として世の中に認知されたのである。
 共演は、本田博太郎、山内としおら「必殺」系や、浜田光夫、白竜らシネマ系、笑福亭鶴光、新藤恵美ら達者な面々のほかに、きれいどころも揃って、ムンムンする湯気の中に(?)セクシームードを盛り上げる。
 江戸で流行した「丹前風呂」とは何か。ぜひ、お蝶に教わってほしい。

掲載2003年03月07日

「卍舞2 妖艶三女濡れ絵巻」武田久美子ファンのみなさま、お待たせしました!舞う、斬る、濡れるの三拍子編。

(まんじまい2 ようえんさんじょぬれえまき) 1995年

掲載2003年03月07日

 世にグラビアアイドルは数多いが、まさにその元祖的美女といえば武田久美子だ。たいていのグラビアアイドルは、紙面からだんだんテレビ画面へと以降し、バラエティからドラマへと突き進んでいくのに対して、武田久美子はかたくなにマイペース。そろそろ出ないかな、というここ一番の時に主演作品や衝撃的な写真集で、ファンを喜ばせる。ツボを心得た女優なのである。
 この「卍舞2」は、女渡世人として旅を続けるお蝶(久美子)が主人公。もともと武家の娘だったのに、罠にはめられ、湯女にまで身を落としつつも、体を張って敵討ちをした過去のある女だ。そのお蝶は、旅の途中で、さびれた里に立ち寄る。人気のない里には、野盗が出没し、里人を恐怖に陥れていたのだ。
気っぷのいい居酒屋の女将(三原じゅん子)と浪人の美人妻・志保(麻倉未稀)と出会ったお蝶は、里を守るため、野盗と対決を決意。里に根強い恨みを持つ野盗と、セクハラ名主を敵に回して、お蝶は勝てるのか!?
 タイトル通り、久美子、三原、麻倉の三女がおとなの女の魅力をふりまく。三原の涙はなかなか。さらに久美子の入浴シーンはスロー回しの大サービス。文字通りの「濡れ絵巻」だ。白石ひとみ、ジョー山中、峰岸徹ら、わき役もいい味出してる。パート2とはいえ、続編ではなく、独立した展開の一本。

掲載2001年10月26日

『夫婦旅日記さらば浪人 』 「てなもんや」でもなく「必殺」でもない藤田まことに注目。ゲストに松田優作も!

(めおとたびにっきさらばろうにん) 

掲載2001年10月26日

人の心をしみじみ描きつつも、どこかとぼけたユーモアと、深い悲しみを作品に折り込んだ山本周五郎。その作風を踏襲しつつ、さらに娯楽性に富んだテレビシリーズとなったのが、この「夫婦旅日記さらば浪人」。
元越後長岡藩の剣術指南役だった三沢伊兵衛。剣の腕は一流だが、人がよく、ともだちをかばったばかりに浪人になってしまった。
仕方なく、のんきな妻たよと仕官の口を求めて、旅に出る。が、ついついお人好しの癖が出てしまい、事件に巻き込まれ、今一歩のところで仕官の口が逃げていく・・・・。
不器用だが正義感あふれる好人物・伊兵衛に藤田まこと。当時(‘76年)、すでに「必殺シリーズ」の中村主水役(‘73年初登場)で人気を得ていた藤田まことが、主水とはまたひと味違う男(腕があるのに出世できない伊兵衛は、数多く事件を解決しているのに相変わらず平?刑事の「はぐれ刑事」に似ている)のに注目したい。
夫を信じて応援するたよに中村玉緒。夫婦の絶妙なやりとりを演出するのは、森一生、工藤栄一、田中徳三ら名監督たち。勝新太郎も自らの希望でメガホンをとるなど、業界でも話題作となった。さらに毎回、市毛良枝、松平健などユニークなゲストがからむのも見どころ。27日、28日(午後4時〜)の第17話にはゲストに松田優作が登場。数少ない時代劇出演作なので、お見逃しなく。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。