ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2009年11月27日

『源義経』
義経尾上菊之助(現・菊五郎)23歳で登場!
壇ノ浦シーンでは、特殊技術も駆使

(みなもとのよしつね) 1966年

掲載2009年11月27日

永禄元年(1160)、義経の父・源義明は平清盛(辰己柳太郎)に破れて死去した。わずか二歳の義経は、少年時代、鞍馬山で修行をしながら、自分の生き方を模索する。長じて、兄源頼朝(芥川比呂志)が挙兵したとし知った義経は、武蔵坊弁慶(緒形拳)らと、参戦。見事な働きを見せる。そしてついに平氏を壇ノ浦で打ち破り、滅亡させるが、兄に追われ、奥州へと苦難の旅をすることになる。
原作は昭和26年から朝日新聞に連載された村上源三の作品で、原作者が脚本も担当。武満徹の勇壮な音楽も話題に。放送された昭和41年は、3C(カラーテレビ、自動車、クーラー)の時代と呼ばれ、高度成長期の日本に、23歳の菊之助が颯爽と大河ドラマの主役として登場し、注目された。
キャストでは、静御前に藤純子、常盤御前に山田五十鈴、藤原秀衡に滝沢修など豪華な顔ぶれ。映画「次郎長三国志」シリーズでも軽妙な味を出した田中春男の伊勢三郎も元気のいいところを見せている。また、当時、「高校三年生」など青春歌謡で人気急上昇の舟木一夫が平敦盛役に抜擢。人気歌手の大河ドラマ出演は前例がなく、反対意見もあったが、女性ファンの心をつかみ、舟木は「平敦盛」の曲も歌った。「壇ノ浦」合戦シーンでは、絵巻物、実景、俳優の演技など特殊合成を駆使した名場面となっている。

掲載2009年07月24日

『密命 寒月霞斬り』
佐伯泰英の大ベストセラーを映像化!
禁断の書物を巡り、密命を帯びた剣士が戦う。

(みつめい かんげつかすみぎり) 2008年

掲載2009年07月24日

累計発行部数2200万部という大ベストセラー作家・佐伯泰英。一年365日欠かさず執筆を続け、月に一冊ペースといわれるほどのスピードで新作発表し、ファンを魅了している。その記念すべき時代小説第一作が、「密命 寒月霞斬り」だ。
豊後相良藩は小藩ながら、蔵書六万冊にも及ぶ「相良文庫」で知られていた。しかし、その中に禁断のキリシタン本が紛れ込んでいるとの疑いが浮上。万が一、幕府に知られれば、藩は取り潰される危険が。藩主から真相究明の密命を受けたのは、ぼんやりとして頼りにされない金杉惣三郎(榎木孝明)だった。字が下手で「金釘」とあだ名される彼だが、実は剣の腕は一流。脱藩した彼は、火事場始末の人足として働きながら、真相を探る。その裏には、藩を内側から腐らせる陰謀が・・・?
主演の榎木孝明は、かつて原作者と同じマンションに住み、自ら企画書を送ってこの役を演じたというエピソードがある。佐伯先生ご本人が当チャンネルの取材で、「榎木さんとは犬の散歩のときによく会いました(笑)。彼は稽古熱心で礼儀正しい。その熱意に打たれました」と語っている。終盤、惣三郎の強力なライバルとして、松方弘樹が登場。子どもを誘拐する卑劣な悪も登場し、惣三郎決死の作戦が展開する。迫力の殺陣シーンをお見逃しなく。

掲載2008年12月12日

『燃えよ剣』
栗塚旭が土方歳三を演じる映画版!
土方の女性問題にも鋭く斬り込む?

(もえよけん) 1966年

掲載2008年12月12日

武州三多摩で喧嘩剣法に明け暮れる土方歳三(栗塚旭)は、実は女にも手が早かった。それも高貴な香りが漂う女性が好み。府中六所明神の夜祭で、理想にぴったりの美女・佐絵(小林哲子)に出会った歳三は、夜毎彼女の屋敷に忍びこみ、情事を重ねる。その結果、歳三は人を斬ることに。
 栗塚旭映画本格主演と話題になった本作は、テレビ版をさらにシビアにした内容で、土方歳三の人間像に鋭く斬り込む展開。特に女性に対しては、沖田総司(石倉英彦)にからかわれるほど。その一方で、清河八郎の呼びかけに応じて京にのぼり、新選組を結成してからの「鬼」の顔も見せる。
「なあ、トシ、お前がわかりましたと言うもんで、わしもついその気になったが、どういうことだ?」
 和崎俊哉演じる近藤勇は、もっさりと田舎武士の雰囲気を出してうまい。また、土方の宿敵として登場する七里剣之助の内田良平のニヒルな存在感。清河八郎の天津敏の堂々とした悪漢ぶりもみどころのひとつ。
 哀愁漂うギター音楽も心に残る。捨てたはずの女と京都で再会する土方。それは彼にとって、恋愛感情とは別物だった。未来の見えないこの男女の結末は。
 新選組の顛末まで一気に駆け抜けるこの映画の中に、栗塚旭の新たな魅力を発見できる。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。