ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2001年11月09日

「俄(にわか)=浪華遊侠伝」 司馬遼太郎の原作を、山田太一脚本、木下恵介監督でおくる浪華の痛快任侠伝

(にわか=なにわゆうきょうでん) 1970 −全13話−

掲載2001年11月09日

幕末の大阪。父親に逃げられ、貧困のどん底の母や妹を救うために、商家の丁稚からこどもながらに「無宿者」として生きる決意をした明石家万吉。殴られても蹴られても、「どつけ!どつかんかい!」と立ち上がっては銭を稼ぎ、やがては日本一の侠客に成り上がった万吉の波瀾万丈の生涯を、骨太に描く。
原作は司馬遼太郎。生粋の大阪人だけに、土地柄、人情、言葉など庶民の暮らしをリアルに描き、庶民の目から見た幕末史、維新史ともなっている。そこここにあふれる独特のユーモアも味わい深い。
その原作を脚本にしたのが山田太一。さらに監督が木下恵介。豪華スタッフが揃ったぜいたくな番組となった。
主役の万吉に林隆三、こどもの頃から万吉に目をかける芸者・小左?に藤村志保、「さあ、はった、はった。はって悪いは親父の頭」と口上も調子良いこども博打の?元に白木みのるなど、配役もユニーク。
万吉は、かなり悲惨な目にもあうが、生来の度胸とド根性と明るさで乗り越えていく。侠客の話なのに見る者を元気にしてしまうパワーがすごい。明治維新を経て、時代も大きく変わるが庶民はタフだ。江戸の武士中心の時代劇とはひと味違う清々しい関西の時代劇。地上波では再放送の機会が少なかったお宝作品のひとつ。一度見るとハマります!

掲載2001年08月10日

日本怪談名作劇場 お盆シーズン。ひんやり気分をどうぞ。

(にほんかいだんめいさくげきじょう) 1970

掲載2001年08月10日

 猛暑続きで水不足。寝苦しい夜には、特にお勧めなのが、怪談。背筋ぞくぞく、涼しさ満点のひとときをお届けする。
 今週のラインナップは、11日が「怪談夜泣き沼」駆け落ちした男を裏切り、やくざと深い仲になった旅役者の女(新藤恵美)男を殺して、やがて怨霊につきまとわれ...。怨霊も怖いが、新藤恵美の鬼気せまる演技も怖い。
 13日は、おなじみの「怪談牡丹燈籠」恋人と引き裂かれ、別の男との婚礼の夜に自害した娘・お露が毎夜、恋人のところへ尋ねてくる。物悲しい怪談。佳那晃子が思い詰めた目で、夜な夜な...。怖すぎる。
 14日の「怪談死神」は、異色作。死神に恩を売って、医者になった大工。死神のおかげで次々病人を完治させ、地位と金を手に入れるが...。中村鴈次郎の名演技に注目。
 15日「怪談鰍沢」鰍沢で毒殺された男の死霊が現れる。清水章吾、ピーターらが出演。
 16日「怪談奥州安達ヶ原」応仁の乱の頃。
盗賊に襲われた母娘が、やがて鬼女と化して、盗賊に復讐をとげる。藤巻潤、梅津栄ら、曲者俳優が登場。
 17日「怪談高野聖」魔物が出ると言われる峠にさしかかった修行僧が、人を動物に変えてしまう魔性の女に出会う。泉鏡花の名作に市川左団次、田中真理(一部男性ファンには懐かしいはず)が挑む。
 蚊取り線香、花火、怪談。帰省先でみんなで楽しむのも、一奥かも。

掲載2001年03月06日

弐十手物語

(にじってものがたり) 1984年

掲載2001年03月06日

 南町奉行所の暴れん坊、飯伍と、鶴の物まねが得意な変人、鶴次郎。この凸凹コンビが江戸市中を騒がす難事件に挑む痛快時代劇シリーズ。小池一夫原作の人気時代劇画の面白さを、名伯楽工藤栄一の演出が引き立てる。さらに名高達郎、泉谷しげるの意外、かつ絶妙の配役に、名奉行、萬屋錦之介の粋な裁き、子分に野口五郎、渡辺謙とはこれまた贅沢。鶴次郎の“ツルー!!”のキメポーズが忘れられなくなるはず。
 名高、泉谷のコンビは、斬って解決ではなく、大岡越前(錦之介)に教えられる。世の中の不条理に納得できない鶴次郎が
“ツルー!!”とモノマネするシーンがいい。
 時代劇には珍しい泉谷しげるは、カツラも初めてだったというがその熱演ぶりには拍手。ただいま新婚の野口五郎もカツラは初めて。「カックラキン大放送」あたりでやってそうだけど、あっちはバラエティーだし。本物のカツラは中が金属で、役者に合わせた特注品。慣れないと頭痛くなるんだよね。その五郎、ボンボンのくせに結構腕がたつという設定で、本人のキャラとは違っていて面白かった。病からカムバックしたばかりの錦之介にもファンは大喜びした。もちろんペリーもね。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。