ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2000年10月06日

人形佐七捕物帳

(にんぎょうさしちとりものちょう) 1979年

掲載2000年10月06日

神田お玉が池の名親分。佐七の活躍を描く。金田一耕助シリーズの横溝正史の原作らしく、事件の奇怪さ推理の面白さもたっぷり。原作で「人形のようにいい男」だったのが、この番組では「人形焼屋の亭主」だから、人形佐七というのもユニーク。松方弘樹が、粋で人情に厚い江戸っ子を熱演。川谷拓三、真屋順子ら共演陣も親分をもり立てる。
松方弘樹は1965年にNHKでも「人形佐七」を演じ好評だった。当時は原作どおりの“人形のようにいい男”だったが、松方佐七も14年の時を経て、民放に再登場したときには、妻子持ちの貫禄。名作だけにテレビだけでも林与一、若手では堤大二郎などが演じている役だが、この松方バージョンは、とくに江戸の下町っぽさを意識した映像。現代の映像を交えたオープニングも当時は新鮮だった。今見ると、70年代のファッション、風俗が懐かしいかも。

掲載2000年08月15日

日本名作怪談劇場「怪談夜泣き沼」

(にほんめいさくかいだんげきじょう かいだんよなきぬま) 1979年

掲載2000年08月15日

 日本の怪談を作らせたら天下一品、中川信夫が演出に参加した「日本名作怪談劇場」シリーズ。「夜泣き沼」は男と駆け落ちして旅役者になった女がヤクザと深い仲になり、男を殺害。やがて、怨霊が…。川地民夫、新藤恵美は怖い組み合わせ!男女のおどろおどろしい欲と堕落の様を見せる。夜中にふと背中がぞくぞくする、静かな恐怖をどうぞ。
現在のテレビ東京が、まだ東京12チャンネルだった時代に制作した「日本名作怪談」シリーズは、今も語り継がれるテレビ怪談の傑作揃い。「夜泣き沼」のほか、佳那晃子が悲しかった「牡丹燈篭」、清水章吾、ピーターの「怪談鰍沢・恨みで塗られた死化粧」、市川左団次と、一部ファンにはたまらない田中真理の「怪談高野聖・白夜に浮かぶ魔性の女」など、有名な話を斬新なキャスティングで見せてくれる。ペリー的にとくにオススメなのは中村雁治郎の「怪談死神・闇夜に笑う冥土の案内人」。こちらも必見!

掲載2000年08月07日

弐十手物語

(にじってものがたり) 1984年

掲載2000年08月07日

南町の狼こと、暴走同心(名高達郎)と、鶴のマネが得意な変な同心(泉谷しげる)。やんちゃ岡っ引き(渡辺謙)や捕物マニアの若旦那(野口五郎)、豪放なお奉行(萬屋錦之介)が江戸の難事件に挑む。人気劇画原作のスピーディーな展開と名高&泉谷の個性派コンビがなかなか泣かせる。錦之介の貫禄と若き渡辺謙もイケてる。掘り出し物的価値大の作品。  
原作モノを見るにつけ、その成否を決めるのはキャスティングに拠るところが大きいと痛感させられる。本作はそのあたりがうまくいった好例だ。主演の名高達郎は、異色ドラマ「ハングマン」などで二枚目かアクションスターか、どちらの路線でいくのか迷ったように見えたのだが、不器用な暴れん坊に扮したこの役はイイ。泉谷しげるも独特の持ち味を生かし、ハマッている。時代劇初心者の野口五郎の若旦那が、結構ウデも立つというのは意外であった。江戸城のお堀のカモを死なせて、死罪になりかかった子供を救うため、“このカモは生きておる”と、お裁きを下す錦之介の存在感は、傑作「長崎犯科帳」を彷彿とさせる。錦之介好きにはこたえられませんな。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。