ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2012年01月20日

『竜馬がゆく(主演:市川染五郎)』
市川染五郎の爽やかな竜馬&豪華キャスト
暗殺シーンの不気味さもじわじわと印象的

(りょうまがゆく) 出演者:市川染五郎/内山理名/井川遥/若村麻由美/室井滋/沢村一樹/的場浩司/前田愛/原田龍二 ほか 2004年

掲載2012年01月20日

「だーれも死なん、だーれも殺さん、どんな人間も笑うて暮らせる。わしゃ、そういう日本国を作りたいがじゃ!」
 土佐の下級武士の家に生まれ、若い日には江戸で剣術修行をした坂本竜馬(市川染五郎)は、幕末の風雲の中で、藩のしがらみにとらわれず、新しい国を作ろうと奔走する。司馬遼太郎の不朽の名作に豪華なキャストが集結した。女優陣では、竜馬を母親代わりに育てる姉乙女に室井滋、妻おりょうに内山理名、初恋の女性お田鶴に井川遥、お登勢に若村麻由美。男優では武市半平太に沢村一樹、桂小五郎に原田龍二、西郷吉之助に高嶋政宏、勝海舟に柄本明、高杉晋作に葛山信吾、剣の師千葉定吉に藤田まことなどなど。「池田屋で死に、蛤御門で死に…」と死んでいった志士を思い、藩のためでなく国のために生きよと桂小五郎に語る竜馬の熱さが胸に迫る。
松平春嶽に松本幸四郎、長崎の女商人大浦お慶に松たか子、武市半平太の妻富子に松本紀保と高麗屋一家が出演するのも話題のひとつ。ペリーは撮影当時、松本紀保にインタビューした際、「半平太を愛し、信じた富子の心情を少ないセリフでどう伝えるか、気持ちをこめたい」と語っていたのが心に残る。静かだが強い心を持つ富子のシーンは泣かせる。
 暗殺シーンは独特の音楽で不気味さを強調。暗殺者は時代劇に欠かせないあの俳優!注目。

掲載2010年08月13日

『浪人八景 雪太郎風流剣』
杉良太郎がコミカル浪人に初挑戦。
殺陣も迫力!山手樹一郎原作の幻の名作

(ろうにんはっけい ゆきたろうふうりゅうけん) 1982年

掲載2010年08月13日

杉良太郎の魅力のひとつは、「喧嘩屋右近」などでも見せる、どこかとぼけたコミカルな演技だが、その浪人版の「元祖」ともいえそうなのが、この作品。原作は、山手樹一郎、82年の地上波放送以来、どこにも放送されていなかった「幻」の名作だ。
わけあって、姫路藩を脱藩した比良雪太郎(杉良太郎)は、気ままな浪人となって江戸へと旅していた。その途中、からんできたゴマのハエ?の吉松(湯原昌幸)と浪人・三井鐘太郎(夏木陽介)と道連れになる。箱根の関所でわけあり風の美女(山口いづみ)に「夫婦のふりをしてくれ」と頼まれた雪太郎は、その願いを聞いてやるが、彼女は謎の一団に追われていた。その裏には、郡山藩のお家騒動が。郡山藩には、雪太郎が大切に思う露姫(MIE)が嫁ぐことになっていた。
当時、杉自身が「十手持ちや旅がらすの役が多かった自分にとって新境地」と語っているように、湯原・夏木とのやりとりなどは、からっと楽しく笑わせる。一方で、「念願の山手樹一郎作品で全力投球したい。今までにない杉良太郎を」と殺陣には力を入れ、郡山藩士に襲われる場面では、本物の日本刀で、根回り30センチもの孟宗竹を一刀両断してみせる迫力。本格的ワイド時代劇には初出演のMIEが可憐なお姫様に、歌手の渚まゆみが艶っぽい女将になっているところも面白い。

掲載2010年07月30日

『竜馬におまかせ!』
竜馬が新撰組と江戸城でジャズセッション!
三谷幸喜脚本・浜田雅功主演の超幕末ドラマ?

(りょうまにおまかせ!) 1996年

掲載2010年07月30日

大河ドラマ「龍馬伝」が人気を集め、またまた幕末、龍馬に感心が高まる昨今、多くのファンが放送を希望した、いわば伝説の作品が、この「竜馬におまかせ!」である。
その伝説その1は、人気脚本家・三谷幸喜の連続時代劇作品であること。「幕末好き」を公言する脚本家は、後に大河ドラマ「新選組!」を執筆することになるが、このドラマですでに新撰組を描いていた。
伝説その2は、キャスティング。主人公の竜馬にダウンタウンの浜田雅功。土佐出身の人物なのに、なぜか浜田竜馬はいつもの関西弁。それを清河八郎(西村雅彦)に「なんで」と突っ込まれたりする。彼らをリードする勝海舟が内藤剛志、千葉道場の主・定吉に伊東四朗、重太郎の別所哲也、さなに緒川たまき、岡田以蔵に反町隆史。浜田の相棒・松本人志が、ちらっとカメオ出演しているのも話題になった。
伝説その3はハチャメチャストーリー。異国を打ち払うことなど無謀だと、将軍にわからせるために、勝、竜馬が仕組んだのは、なんと江戸城でのジャズセッション! こんな音楽がある国と戦っても勝てないと諭そうとするが…。最終回、歴史の渦に巻き込まれた竜馬らの最期がしっかり描かれる、と思ったら、またまた大逆転? 三谷マジックを存分に楽しめる「フィクション」時代劇。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。