ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2009年06月27日

『竜馬がゆく』
錦之介が企画・制作・主演した渾身シリーズ
正月12時間ドラマの人気を決定付けた竜馬

(りょうまがゆく) 1982年

掲載2009年06月27日

土佐の坂本竜馬(萬屋錦之介)は、江戸で剣を学び、のびのびと成長していた。時は幕末。文久元年、竜馬は土佐勤皇党に加わるも脱藩して、江戸に出る。幕臣で開国論者の勝海舟(若林豪)を斬ろうと邸を訪れるが、国の未来を読み取る勝の力に心酔して弟子入り。ともに神戸に海軍塾を開く。京で生涯の伴侶おりょう(大谷直子)に出会い、亀山社中、海援隊を作る竜馬。大政奉還を成し遂げ、開かれた日本を夢見るが…。
竜馬の波乱の一生を「ライフワークに」と企画・制作・主演をした萬屋錦之介が貫禄十分に演じる。面白いのは、新撰組相手に「本業は千葉仕込みの剣術使いじゃ!」と一歩もひかない剛毅な竜馬が、姉乙女(岸田今日子)には、さっぱり頭が上がらないこと。まめに手紙をやりとりし、ときに弱音まで見せるが、パワフルな姉に励まされ、意思を貫く。萬屋・岸田の顔合わせは、「破れ新九郎」、「銭形平次」などでもおなじみ。親しかった武智半平太(伊吹吾郎)が、「あとは竜馬いる」と言い残して最期を迎え、岡田以蔵(目黒祐樹)が「どいつもこいつも死にくされ」と悲劇的な生き方を熱演。西郷吉之助に中村富十郎、桂小五郎の竜崎勝、お登勢の淡島千景など、豪華キャストが揃ったのも、錦之介の力あってこそ。正月名物になった長時間時代劇の人気を決定付けた記念碑的作品でもある。

掲載2009年02月27日

『竜馬がゆく(大河ドラマ)』
大河ドラマで放送された貴重な一本。
犬パパでも人気の北大路欣也の男っぽい竜馬。

(りょうまがゆく) 1968年

掲載2009年02月27日

土佐の郷士の子として生まれた坂本竜馬(北大路欣也・当時23歳。メイクで眉毛極太)が、幕末の動乱期に、新しい日本を目指して全国を走り回り、豪快に活きた姿を描く。原作は司馬遼太郎。演出は和田勉。NHK大河ドラマ第六作として昭和43年4月21日に放送された第16話、現存する貴重な一本。ナレーションを名優・滝沢修が務めている。
 薩摩が大軍を率いて京にのぼるという情報が入り、土佐では藩士・郷士の間で動揺が起こる。「機は未だ熟せず。わしの言うちょることがわからんか!」というリーダー格の武智半平太(高橋英樹)の動きは鈍いと批判の声もあがる中、土佐に残るか、脱藩するか、竜馬も悩む。脱藩すれば一族みんなに迷惑がかかる。特に竜馬の母親代わりの姉乙女(水谷良重/現・八重子)は離縁されるかもしれないと説得される竜馬。しかし、乙女は、「どこにいても手紙だけは欠かさんようにしてつかあさい。あて先は坂本屋敷に」離縁するつもりと思い切った発言をして、竜馬を励ますのだった。
 この回は、水谷良重の熱演が光る。周囲が猛反対し、竜馬が路銀を工面できないよう妨害までする中、乙女だけは竜馬の心意気を理解し、応援する。「女子に手出しをする亭主に嫌気がさした」と笑いながら泣き出すシーンに思わず胸が熱くなる。名場面。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。