ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2010年06月25日

『素浪人 花山大吉(主演:松方弘樹)』
松方弘樹が父の当たり役に挑む!
焼津の半次は、田原俊彦がノリノリで。

(すろうにん はなやまだいきち) 1995年

掲載2010年06月25日

「素浪人花山大吉」といえば、昭和40年代に近衛十四郎と品川隆二の名コンビで連続ドラマとして放送され、大人気となった名作時代劇。ここでは、松方弘樹が父の当たり役に挑戦。相方の焼津の半次には、田原俊彦が抜擢され、ノリのいいところを見せる。
舞台は甲州路。瓢々とひとり旅を行く花山大吉(松方)が、ふとしたことで若い渡世人の半次と道連れになる。剣の腕は確かだが、万事アバウトな大吉と、曲がったことが大嫌いの几帳面男半次は、性格が正反対なのになぜかウマがあう。そんな二人は、旅籠で泊り客が殺されるという事件に遭遇。半次は、現場で震えていた少女お花(高倉彩)を助けたが、父を殺されたお花はショックで口がきけない。仕方なく甲府へ連れて行こうとするが、殺し屋集団に襲われた。お花が持っていた竹ざおで応戦すると、なんと、竹の中から金の延べ棒が! 甲府についた一行は、そこに謎めいた親分・甲斐虎の存在を知る。大吉たちに関わってくるお涼(伊藤かずえ)にもなにかいわくがありげ。誰が善で誰が悪か。甲府には不穏な空気が…。
松方は、父とは違う色気があり、独自の大吉になっている。また、半次の田原は、「俊ちゃん」的な明るく軽い存在感を出している。
笑いの中にもシビアな展開と豪快な立ち回りも見物のひとつ。

掲載2010年05月28日

『笹沢左保「峠」シリーズ』
「木枯し紋次郎」ケガで急遽制作された四本
主演俳優・スタッフともに男気あふれる快作

(ささざわさほとうげしりーず) 1972年

掲載2010年05月28日

1972年、当時人気急上昇中の「木枯し紋次郎」の主演俳優・中村敦夫が立ち回りシーンで負傷。ご本人によれば「ビーンと筋肉が切れる音がした」というすさまじさで、緊急入院。全治半年以上と診断され、番組の継続も、本人再登板もできるかと危ぶまれた。が、そこで立ち上がったのが、元大映で名作を数多く手がけてきた映画人たち。その中心となったのが、現在、中村吉右衛門の「鬼平」シリーズなどの美術を手がける映像京都の代表・西岡善信と森一生ら監督陣。「紋次郎」の原作者・笹沢佐保の短編をオムニバスで四本制作し、中村敦夫の回復を待つという作戦に出たのであった。
舞台となるのは、「峠」その第一作は、高橋悦史主演の「中山峠に地獄を見た」、第二作は川津祐介主演の「狂女が唄う信州路」、第三作は天知茂主演の「暮坂峠への疾走」、そして第四作となったのが、松橋登(目がきれい!)主演の「鬼首峠に棄てた鈴」だ。
汚いやり方で恩ある親分を陥れた敵の渡世人文吉(田口計)を追う伊三郎(松橋)。彼の手首には、姉からもらった鈴がついていた。文吉につく凄腕の用心棒と戦うため、伊三郎は決死の策を練る。「生きていて他にすることもありやせん」という伊三郎の言葉に、渡世人の孤独がにじむ。

掲載2010年05月21日

『仕掛人・藤枝梅安 梅安晦日蕎麦』
梅安が変装して、敵地に乗り込む!
相棒彦次郎(田村高廣)の吹き矢もさえる。

(しかけにん・ふじえだばいあん ばいあんみそかそば) 1983年

掲載2010年05月21日

なじみの茶屋井筒で飲んでいた梅安(小林桂樹)のところに、知り合いの剣客・小杉十五郎(柴俊夫)が、深手を負った老婆を運び込む。息子の仇討ちを果たせず、返り討ちにあった老婆は、このことを息子の許婚しま(佳那晃子)に告げてくれと息を引き取る。そのしまは女郎で、金にうるさいと評判だった。一方、梅安の仕掛人仲間の彦次郎(田村高廣)は、義理のある筋から、井坂右京(伊吹剛)の仕掛けを依頼され、見張っていた。そこにしまが現れる。肺を病んだ右京に貯めた金を差し出すしまの姿を見て、彦次郎は、この仕掛けに「裏」があることを悟り、梅安と相談をする。悪行を繰り返す仙石家大目付嶋田大学(田口計)の仕掛けをするため、梅安は、思い切った変装で、彼に近づくが…。
「晦日蕎麦」というタイトルだが、撮影されたのは九月。真夏並みの気温の中、厚着で演技するのは大変だが、それより大変だったのは、二人が食べる「ハゼ」。季節はずれで四匹しか手に入らず、撮影3日目にはさすがにいたみはじめたが、なんとか撮影に使用。おいしそうに箸を伸ばすのは、一苦労だったという。また、昭和3年、京都太秦生まれの田村高廣は、下総生まれの東男彦次郎を演じるにあたり、職人らしい、自由な雰囲気を出すことを心がけたと語っている。時に身軽に、時に鋭く動く彦次郎は、梅安の貴重な相棒だ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。