ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2007年08月23日

『将軍家光忍び旅』明朗時代劇キャラの代表選手・三田村邦彦!影武者にあの人物をすえての世直し旅。

(しょうぐんいえみつしのびたび) 1990〜91年

掲載2007年08月23日

将軍家光(三田村邦彦)は、江戸から京都への道中を抜け出し、浪人徳山竹之進となって、「世の中を広く知りたい」と宣言する。これにあわてたのは、上様に近い大久保彦左衛門(神山繁)と春日局(三ツ矢歌子)。仕方なく、一心太助(三波豊和)らの手を借りて、家光の影武者を探すが、まったく適任者が現れない。「こんなあたしでよかったら」などと女形のへんな役者まで面接にくる始末だった。ところが、その女形が男姿になると、「イケるかも?」そして見事採用になったのが、新吉(コロッケ)だった。どこを見て判断したのやら…。しかし、彼らの旅には「道中で家光を消す」と、怖い顔で言い放つ都築安房守(中条きよし)の魔の手が。柳生十兵衛(勝野洋)、春日局の侍女(高島礼子)、「竹之進さまぁ〜」とつきまとう女スリ(萬田久子)も巻き込んで、家光の世直し旅が始まる。
 必殺シリーズの三田村VS中条という構図ではあるが、三田村邦彦は、明るい時代劇キャラの顔が一気に定着。葵の御紋が入った横笛を吹きながら、牛若丸のような羽衣を被って、敵の前に登場するなど、華やかさ(どこにそんな衣装を持ち歩いているのかなど、突っ込みどころも含みつつ)を振りまき、悪人たちを退治した。なお、三田村は♪あ〜男は〜と主題歌「男のふるさと」も熱唱。ナレーション熊倉一雄の名調子もお楽しみに。

掲載2007年06月07日

『さむらい探偵事件簿』江戸の探偵・高橋英樹がふんどしで疾走!?

(さむらいたんていじけんぼ) 1996年

掲載2007年06月07日

腕利きの同心だった本間五月(高橋英樹)は、上役に逆らい失業。よろず請け負いの探偵業を始めるが、仕事がない上に、遊び人で女好きだから、金とは縁がない。そんなとき、美人浮世絵師・山風堂涼花(萬田久子)から、「私の贋の春画探し」を依頼される。探索を進めるうち、どうも涼花の話に裏がありそうだと知った五月は、あやしい浪人(西岡徳馬)と別れた妻(神保美喜)と関わりを持つ。彼らは、本間の元同僚でお調子者の新城半兵衛(石橋蓮司)と岡っ引きの文六(有薗芳記)が追う事件にも関係がありそうだった。
「本間ちゃーん、お金があるときに来てねー」と飛び跳ねてる遊女(洞口依子)はミニスカートにアクセサリーがじゃらじゃら。
「この痛さは…愛だ!!」と、半平衛は、何かにつけて文六の頭を十手でポカポカ。(撮影では文六のカツラの傷みが激しく床山さん泣かせだったらしい)さらに肝心の五月はふんどし姿で銭湯を脱走して町を走り回る、などなど第一回監督の村川透はじめ、監督も俳優陣もリアルを突き抜けて、徹底的に遊んだ超ユニーク作品。当時、高橋英樹は「江戸の『探偵物語』に」と意気込んでいた。
 事件解決後、五月は涼花の家の前に浮かぶ小舟で生活することに。持ち込まれる珍事件を五月はどう解決するのか。宇崎竜堂のパワフルな主題歌もいい感じに仕上がっている。

掲載2007年05月10日

『仕掛人・藤枝梅安 梅安乱れ雲』大坂の元締め・白子屋菊右衛門との決戦!小林桂樹の円熟梅安の生き様が描かれる。

(しかけにん・ふじえだばいあん ばいあんみだれぐも) 1982年

掲載2007年05月10日

仕掛人稼業を続ける鍼医・藤枝梅安(小林)は、江戸の元締め・音羽屋半右衛門(中村又五郎)から、大坂の暗黒街を牛耳る白子屋菊右衛門(島田正吾)の仕掛を依頼された。腕のたつ浪人・小杉十五郎(柴俊夫)を裏社会に引き入れようとする菊右衛門と、それを阻止しようとする梅安の深い対立に、決着をつけるときが来たのであった。菊右衛門をおびき寄せるために、江戸で囲っていた妾のお八重(風間舞子)を誘拐した半右衛門だが、菊右衛門も簡単には引っかかってこない。菊右衛門の身辺には、サディスティックな浪人(真田健一郎)、なぞの美剣士(藤堂新二)も護衛についていた。互いを探りあい、抹殺の機会を狙う緊迫した時間が過ぎていく…。
 梅安は、なじみの女おもん(神崎愛)に「いつかは自分の思うさまに生きなければ」と諭す。ただごとではないと悟った女の悲しい表情。また、裏の仕事の相棒、彦次郎(田村高廣)も「梅安さんは死ぬ気だ」と感じ取る。
 ときに変装なども披露した小林梅安だが、今回は派手な演出はなく、闇の男たちの生き様を描くことが中心。江戸の役人を抱きこみ、一喝する島田正吾の貫禄はさすが。ポーカーフェイスながら、周到に相手の急所をつく半右衛門の又五郎もいい味を出す。「仕掛人の寿命は5年」と悟りきった梅安を渋く演じきる小林桂樹に注目を。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。