ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2006年10月26日

『新選組血風録』「池田屋騒動」は本物の町屋を破壊し撮影。原作者も納得の名作ドラマが登場。

(しんせんぐみけっぷうろく) 1965年

掲載2006年10月26日

幕末。井伊大老暗殺、異人館の焼き討ち事件など、幕府の権威は地に落ち、尊皇攘夷派の活動は次第に活発化していた。中でも京都での動きは、幕府にとって頭痛の種。そこで老中・板倉周防守は、清河八郎の浪士隊結成の進言を受け入れ、隊士の募集を始める。メンバーの中には武州多摩の近藤勇(舟橋元)、土方歳三(栗塚旭)、沖田総司(島田順司)の姿もあった。しかし、京都に着くなり、隊は解散の危機に。やがて力をつけて近藤らは、「新選組」として、京都のみか全国に名前をとどろかせていく。
 モノクロの画面。土方の渋いナレーション。池田屋騒動の場面では、取り壊しの決まった京都の本物の町屋を破壊しながら撮影するなど、リアルな立ち回りも評判になった名作。当初は映像化に難色を示していた原作者・司馬遼太郎も納得した作品だった。
 主役である栗塚旭は、この作品で「土方といえばこの人」と人気を得る。後に同じ司馬作品「燃えよ剣」でも、土方役で主演。ただし、ご本人は、土方の低音・渋めのキャラクターとは違い、かなり明るい方なのだ。「血風録」の現場では二歳違いの島田と仲がよく、「徹夜あり休みなし」という過酷な撮影を励ましあいつつ、乗り越えたという。その栗塚さんは、現在もテレビ・映画で活躍中。京都在住で、撮影所にも健康のために自転車出勤することもしばしばだとか。

掲載2006年07月06日

「仕掛人・藤枝梅安 梅安針供養」小林桂樹のアダルトムード梅安。急逝した田村高廣演ずる彦次郎も活躍。

(しけけにん・ふじえだばいあん ばいあんはりくよう) 1983年

掲載2006年07月06日

表の顔は腕のいい鍼医だが、裏では金ずくで悪人を闇に葬る“仕掛人”である藤枝梅安(小林桂樹)。ある夜、梅安は、何者かに襲われ手傷を負った若い侍(岡本早生)を助ける。なんとか命は助かったものの、若侍は記憶を喪失していた。そんな折、梅安は、裏の仕事の元締めである音羽の半右衛門(中村又五郎)から、仕掛けの依頼を受ける。
「女だが、こいつは本当のワル」
と言われた相手は、旗本池田肥前守の奥方・増子(川口敦子)。調べてみると、若侍の着物の家紋は、その池田家のものだった。
 不思議な縁で梅安の裏の顔を知り、手伝おうと言い出す浪人・小杉十五郎(柴俊夫)に、梅安は、厳しい顔で言い放つ。
「仕掛けの世界は地獄ですよ」
 梅安には、上方の裏社会を仕切る白子屋一派との対立という大問題も勃発していた。
 気の毒な若侍に見せるやさしさ、愛人であるおもん(神崎愛)との逢瀬(小林梅安にラブシーンが!)など、梅安の人柄が立体的に描かれる。梅安の相棒・彦次郎に先ごろ亡くなった田村高廣が扮し、静かな中に非情な仕掛けの世界に生きる男のダークサイドを垣間見せるのもみどころのひとつ。芥川隆行の名調子、川口敦子のクールな悪女、「破れ傘刀舟」シリーズでおなじみの織田あきらの悪息子など、時代劇ファンには見逃せないメンバーが揃う。

掲載2006年06月22日

「白獅子仮面」シシクー!!で変身もこれで見納め!ちょっとだけ最終回の見所をご紹介

(しろじしかめん) 1973年

掲載2006年06月22日

江戸のを悪の本拠地にしようと企む火焔大魔王の陰謀をことごとく打ち砕いてきた、名奉行・大岡越前と、剣兵馬(三ツ木清隆)。実は兵馬は、二丁の十手をカチリとあわせ、「獅子孔!!」と叫んで、正義の剣士「白獅子仮面」に変身するのであった。主演の三ツ木清隆は、この番組に専念するために「ウルトラマンタロウ」の警備隊員役を途中降板。その意欲が随所に現れている。
 最終回「輝け!白獅子の星」
地下深いアジトで、白獅子仮面に倒された妖怪軍団の亡骸を眺める火焔大魔王。
「大岡越前め…」
その目は怒りに燃えて、いよいよ最終決戦のときだと悟る。そして、目の前の手下たちに「今こそ、悪の力を合わせ、悪の世界を築くのじゃ」すると、なんと死んだはずの妖怪軍団員が次々蘇る。おおかみ仮面、一つ目、コウモリ男、河童…。総力を結集した妖怪軍団は、兵馬に打撃を与え、奉行を拉致する。
どうする、白獅子仮面!?
ゾンビになって蘇った妖怪オールスター。どこかお茶目な造型でファンを喜ばしていた彼らが再び登場するのはうれしいところ。白獅子仮面も、プロレスのような技を駆使して戦う。火焔大魔王の必殺技とは?
白獅子仮面の熱血ラストファイト、お見逃しなく。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。