ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2006年04月13日

「白獅子仮面」アニキの熱唱も高らかに!異色時代劇変身ヒーローの十手が光る。

(しろじしかめん) 1973年

掲載2006年04月13日

「マジンガーZ」などアニメ主題歌の大家・水木一郎アニキの歌う♪シシクーッ!!な主題歌も高らかに、颯爽と登場したヒーロー、白獅子仮面。タイトルにマンガが使われて、制作当時から、どこかレトロムード漂っていたのも、マニア心をくすぐる異色作だ。
 その正体は、名奉行大岡越前配下の若き陰与力・剣兵馬(三ツ木清隆)だった。目をぴかーっと光らせる狼男を追う町奉行所の面々。兵馬は、単独で探索するうちに洞窟の崩落に巻き込まれて、瀕死の状態に。そのとき、白い獅子の声が…。狼男一味は、越前の妹に術をかけ、越前抹殺を図る。間に合うのか、白獅子仮面!
 狼男、傘お化けなど、どこか愛嬌のある古来の妖怪が凶悪集団になって襲いかかるシーンが、妖怪ファンの心をつかんだこの作品。私は個人的に越前の妹役になっていた瞳順子が気にかかる。名前の通り、くりくりとした瞳と気の強そうな口ぶりで、多くの時代劇に出演。「江戸の疾風」シリーズでは、老練同心小林桂樹の娘として、「父上、私はこう思います」など、女性独特の感覚から事件解決に意外なヒントを出したりした。奇怪な事件探索に情熱を注ぐ兵馬も、お奉行の妹には頭が上がらない。ヒロインが登場しにくい分野だけに、瞳順子の清楚にして気丈な存在は光って見える。

掲載2006年04月06日

『座頭市物語』第23話「心中あいや節」 松平健のデビュー作がオンエア!師匠勝新太郎が見込んだマツケンの演技は?

(ざとういちものがたり) 1975年

掲載2006年04月06日

ご存知、盲目の侠客座頭市が、旅の途中、さまざまな事件に巻き込まれ、鮮やかな仕込み杖の立ち回りを見せる人気シリーズ。
 今回はその勝に見込まれた大型新人・松平健のデビュー作「心中あいや節」がオンエアされる。
 そもそも石原裕次郎にあこがれて、アポなしで裕次郎宅を訪問した若き日の松平健。(ということは、石原軍団に加入していた可能性のあったわけだ)が、あいにくの不在と、自分の演技の基礎を磨くため、劇団で修行を積む。その公演を偶然見ていた裕次郎の親友・勝新太郎が、「あの目がいい。京都に来い」と引っ張っていかれたのが運命の始まりであった。
 しかし、京都に行ったものの仕事がすぐに決まるわけでもなく、ひたすら勝の傍らにいる毎日。私は、当時の松平健御用達の宿に宿泊したことがある。太秦の撮影所のすぐご近所、新人俳優が今も多く宿泊するその宿は、名物おばちゃんに切り盛りされていて、とっても家庭的。朝食時など、「しっかり食べないと芝居ができないよ!」などと励ましの声も聞こえたりする。もちろん、今も宿をあげて熱烈松平健ファンである。
 突如、決まったという「座頭市」デビュー。浅丘ルリ子という最高の相手役は、師匠の心づくしに違いない。「暴れん坊将軍」など明るい役の多い松平健の哀愁漂う若者ぶりに注目。

掲載2005年12月22日

「清左衛門残日録」隠居したもののまだまた元気!名優・仲代達矢が藤沢周平世界に挑む

(せいざえもんざんじつろく) 1993年

掲載2005年12月22日

「日残りて昏るるに未だ遠し」
 日本海に近い小藩で長年、用人という重職を務めてきた清左衛門(仲代達矢)は、家督を長男に譲り、悠々自適の日々、かと思ったら、なかなかそうはいかなかった。仕事がない寂しさと、思うように動かない体、ちょっと気になる女将みさ(かたせ梨乃)の存在、さらに藩の中では暗殺?までうわさされる内紛が勃発しているらしい。若者たちからも頼りにされる清左衛門の心安らぐ日々とは?
 藤沢周平の原作をていねいに描き、仕事人間である男性にも、おとなの恋に酔いしれる女性にも人気となった作品。私は先日、本作に主演した仲代達矢ご本人にインタビューしてきた。ちょうど60代にさしかかったときにこの役に出会ったことが「とてもうれしかった。老齢にさしかかった清左衛門の気持ちがよくわかったし、役にとびつきましたよ。僕としては珍しいくらい“普通の人”だし、色気もある人だしね」と語っておられた。
 清左衛門の親友で現役町奉行である佐伯熊太(財津一郎)との友情もいい味。さきごろ再婚して話題になった南果歩が可愛らしい嫁として物語に明るさをともしている。また、清左衛門とみさの恋の行方は? 原作とは微妙に違う展開もあるので、お見逃しなく。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。