ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2004年06月25日

「新五捕物帳」五日分を二時間で完了!?驚異のスーパー時代劇スター・杉良太郎の秘密がココにある!

(しんごとりものちょう) 1977年

掲載2004年06月25日

岡っ引きの新五(杉)は、悪には強く、弱い者にはとことんやさしい性格。ご法度を承知で善良なキリシタンを守ろうと大暴れしてしまうほどの熱い男である。そんな熱血と居合術を取り入れた激しいアクションシーンもあって、「新五」は、杉さまブームを巻き起こす。平均視聴率は20パーセントを超え、主題歌「江戸の黒豹」も大人気であった。
 しかし、もっとも驚くべきことは、ただでさえハードな連続時代劇を、驚異的な速さで撮影していたこと。通常レギュラー時代劇は、一本を4日から5日で撮影するが、この「新五」は一日半。有名な映画監督が「五日はかかる」と言った激しい立ち回りをたった二時間で完了していたのである!
 ちなみに「新五」が、77年から82年まで196回休まず放送される間に、杉良太郎は毎年三ヶ月ほどの舞台出演をこなし、79年には「遠山の金さん」に主演、80年には「君は人のために死ねるか」の名言で有名になった刑事ドラマ「大捜査線」に一年間主演。すごすぎだよ、杉さま!
 その背景には、思い切りのよさと集中力、一度つけられた殺陣は即完璧という天分、そして「速い役者は売れる」という強い信念があった。近年中に、そのスピードの秘密のすべてを解説した杉良太郎本が出版予定。その中にはいったい何が・・・。興味深い。

掲載2004年06月18日

「真田太平記」戦国に引き裂かれた兄と弟!颯爽・幸村の草刈正雄と苦悩の信之・渡瀬恒彦の物語。

(さなだたいへいき) 1985〜86年

掲載2004年06月18日

池波正太郎の原作を、金子成人が脚色。題字も池波作品と、力のこもった長編。当時、NHKで水曜日に一年間放送された大型時代劇だ。
天正10年(1582年)、織田信長によって武田軍は壊滅。勇壮で知られた真田家も孤立し、危機を迎えた。なんとか真田の興隆を図ろうと動く父・昌幸(丹波哲郎)は、徳川に反逆。しかし、嫡男・信之(渡瀬恒彦)は、真田の命脈を守るために、親子の縁を絶ち、周囲から非難されながらも、父とは逆の道を選んでいた。
 一方、血気盛んな弟・幸村(草刈正雄)は、信長、秀吉の死後、どんどん幅を利かせる徳川に従う気はなし。一度は山中に引っ込むが、豊臣勢から頼られ、ついに兄とは正反対の立場で戦場に立つことになるのか・・・。
 暴れん坊のイメージの渡瀬が苦悩の武将になり、爽やか系の草刈が大暴れ武将になるというイメージの違いが面白い。
 また、もうひとつの見どころは、忍者の活躍。真田勢とは縁の深い、戦国の影に生きた忍者たちの壮絶な戦いが、当時最先端のCGを駆使して描かれる。
 滅んでいくしかない運命を背負った人々の熱い生き方に泣けるシーンも多数。遙くらら、中村橋之助、夏八木勲、榎木孝明、中村梅之助らの熱演に注目したい。

掲載2004年04月23日

「里見八犬伝」懐かしアイドル薬師丸と八犬士の大暴れ。妖怪・夏木マリ&目黒祐樹の怪演にも注目!

(さとみはっけんでん) 1983年

掲載2004年04月23日

 その昔、里見家には、静(薬師丸ひろ子)という美しい姫君がいた。が、平和な月日は束の間、かつて里見家に滅ぼされた蟇田一族が、悪霊「御霊様」の力で妖怪集団として蘇り、里見家を襲う。ひとり難を逃れた静姫は、犬山道節(千葉真一)、犬村大角(寺田農)ら「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の八つの文字が刻まれた霊玉を持つ犬士とともに、戦うことを決意。しかし、心の中には、犬江新兵衛(真田広之)への思いが・・・。
 ご存じ「南房里見八犬伝」をベースに、妖怪たちと千葉真一以下アクション八犬士との大勝負。監督・深作欣二は、特殊メイクやミニチュアワークなど日本伝統の特撮技術を駆使して、伝奇ロマンの世界を見せる。森で狙われ、洞窟は崩れといったピンチの連続でも、静と新兵衛の恋物語にこだわったのは、やはり脚本の鎌田敏夫風味というところ。ふたりの幸せを願う犬山道節たちのラストは壮絶だ。壮絶といえば、不老不死妖怪蟇田の首領・素藤(目黒祐樹)とその母・玉梓(夏木マリ)のメイクもすさまじい。監督のこだわりから、妖怪メイクに凝りに凝り、二時間以上かけて恐ろしい顔を作ったため、主役の薬師丸は撮影以外ではふたりに近づくことがなかったという。テレビドラマ「奥様は魔女」でもリアル魔女になりきっていた夏木マリと目黒の妖怪ぶりにもぜひ、注目を。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。