ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2004年02月13日

「修羅之介斬魔剣 妖魔伝説」京本政樹が妖しい魅力の美剣士に。本格的殺陣とSFX、三浦理恵子のお色気も爆発!

(しゅらのすけざんまけん ようまでんせつ) 1996年

掲載2004年02月13日

 江戸の初期。比類なき剣の使い手・榊修羅之介(京本政樹)は、大藩の姫・真夕(今村理恵)を決死の思いで救い出す。その一件には、藩の秘宝が関わっていた。その秘宝こそ、豊臣家によって滅ぼされた北条家にまつわる銀竜剣。実はその剣には、対になる鳳凰剣があり、それを手にしたのは、あの伊達政宗(中村敦夫)。政宗は、幕府転覆というとんでもない野望を持っていた。一方、銀竜剣は、くノ一忍群こと出雲の阿国一派の手に渡り、伊達一派に、邪険士群を操る怪僧・天海(隆大介)も登場して、大乱戦。果たして、修羅之介は、姫を守りきれるのか…。
 女剣士・嶋村かおり、出雲阿国に故・戸川京子をはじめ、三浦理恵子も体当たり演技を繰り広げる。また、修羅之介に挑む男たちは、プロレスの高野拳磁やこの作品のために来日したというアマ相撲世界チャンピオンのエマニュエル・ヤープロー(体重280キロ!)ら、とてつもない面々。彼らを相手にする修羅之介の華麗な剣は、SFXしかないでしょう。撮影当時、私は京本さんご本人に話を聞いたが、とにかく新しい時代劇のため、常にアイデアを考えている人であった。それだけにこの作品への思いは熱く、主題歌も冴木涼介名で自ら作詞&歌唱を担当している。中村敦夫、隆大介の不気味演技も満載。伝奇時代劇好きには、たまらい長編。

掲載2004年01月16日

「銭形平次」「ラストサムライ」でも注目。斬られ回数2万回。"日本一の斬られ役"福本清三見参!

(ぜにがたへいじ) 

掲載2004年01月16日

23日のゲストは、話題の映画「ラストサムライ」で、トム・クルーズを影のように見つめる侍役でも好演した福本清三。
名前だけではわからない方もその顔を見れば、「おお」と気がつくはず。東映の時代劇でこの顔が見られない日はなというくらい多くの番組に出演。(本チャンネルでも7日の「吉宗評判記・暴れん坊将軍」に登場)そのほとんどが斬られ役で、いままでに斬られた回数が実に二万回という、日本一と呼ぶにふさわしい実績の持ち主なのだ。
 昭和18年兵庫県に生まれ福本さんは、中学校卒業後、ひょんなきっかけで東映の撮影所に入る。田舎では映画もほとんど見たことがなかったが、当時は映画全盛期。入ったその日に「自分でメイクしてこい」と言われ、眉毛が左右めちゃくちゃになったと笑う。
 私は、京都で二回取材させていただいたことがあるが、それはそれはシャイな方で、写真撮影のときも、私が「ありがとうございます」と言うと、福本さんも「ありがとうございます」とお互いずーっと頭をさげっこしているという状況だった。こんな人柄が、「銭形平次」の大川橋蔵、美空ひばり、中村錦之助らスターに可愛がられた理由だと思う。
「斬り方は教えられるけど、死に方は誰も教えてくれない」と、工夫を続けた福本さんは、今も撮影所で斬られ数の記録更新中だ。

掲載2004年01月09日

「助太刀屋助六」岡本喜八監督の元気あふれる佳作。真田広之の明るさと、鈴木京香のにおいたつ色気も。

(すけだちやすけろく) 2002年

掲載2004年01月09日

 田舎の宿場を飛び出した若者・助六(真田広之)は、ひょんなことから仇討ちに巻き込まれ、思わず助太刀。感謝はされるわ、商売にもなるわと勝手に思い込んで、以来、頼まれてもいないのに「おいらに任せな!」と、助太刀を申し出て、世渡りをしている。基本的におっちょこちょいなやつである。
 七年ぶりに故郷へ帰ってみると、何やら不穏な空気が。幼なじみの太郎(村田雄浩)に聞けば、元八州廻りの役人・片倉梅太郎(仲代達矢)をめぐる仇討ちがありそうだという。誰が悪者で誰が善人か、本来考えるべきことは置いといて、太郎に反対されるのも聞かず、突っ走る助六。その梅太郎が実は、助六の知らない父親なのであった。そんな助六を追っ掛ける幼なじみの娘(鈴木京香)。梅太郎に勝ち目はない。果たしてどうする…。
 子役時代から活躍した真田広之は「たそがれ清兵衛」の抑えた演技が高く評価されたが、この作品では、のびのびと暴れていて気持ちいい。彼に振り回され、困惑する村田、かなり熟した娘・鈴木京香のにおいたつ色気もなかなか。さらにとぼけた岸田今日子、独特なムードの岸部一徳、時代劇には新鮮な風間トオル、寡黙ながらも存在感たっぷりの仲代と適役揃い。岡本監督らしいユーモアと悲しさとカラッとした明るさが光る。活劇の楽しさを堪能できる佳作。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。