ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2003年02月14日

「杉良太郎『新五捕物帳』祭り」流し目光線にもうメロメロ!だんだん“はだけていく”杉サマ進化にもご注目。

(すぎりょうたろう「しんごとりものちょう」まつり) 1977〜1982年

掲載2003年02月14日

 岡っ引きの新五は、ふだんは周囲のみんなから「新さん」と慕われる兄貴分。しかし、いったん悪に立ち向かう時、それがどんな権力相手でも、上司に止められても死に物狂いでぶつかっていく。熱い男だ。その背景には、悪人に父を殺され、孤児として育った、新五の辛い過去があった・・・・。
 77年から五年にわたり、20パーセント強という高視聴率をキープした杉良太郎の代表作。そのヒットの理由の第一は、やはり杉サマの魅力。事件がない時のお茶目な表情と、悪人を前にした野性味あふれる顔、ふと流してみせる目に漂う男の色気で、女性ファンをがっちりとらえた。
 さらに立ち回りも本格的で、「大東流合気道」を使う新五の設定の通り、杉サマは、悪人を投げるわ飛ばすわ。「ホントに投げてるよ!」と思わず言いたくなる、リアルな捕物場面の連続だ。
 時代劇スターの地位を確立し、余裕が出てきた杉サマがだんだん着流しの前をはだけ、おとなの貫禄を漂わせる「進化の過程」にもご注目。自らを「黒豹」と言い切る主題歌、「江戸の黒豹」も歌いこなせるのは、やっぱりこの人しかないでしょう。辰巳柳太郎、東八郎、范文雀ら、名優との共演も多いので、お見逃しなく。

掲載2003年01月24日

「銭形平次スペシャル7百鬼夜行」北大路平次親分の名推理!凶悪集団との知恵比べと、ホームドラマ的捕物帳の王道。

(ぜにがたへいじすぺしゃる なな ひゃっきやこう) 1994年

掲載2003年01月24日

 ご存じ、神田明神下の名親分にして愛妻家・銭形平次が、江戸の凶悪事件に挑むスペシャル版。
 長髪にボロを着て、死人の仮面をつけるというアンビリーバボーな集団が、飾職人とそば屋の主人を連れ去り、拷問の末に殺害。陰惨な事件の裏には、五年前、三千両を盗んだ百鬼組がいるらしい。頭目が捕らえられたのに行方がわからない三千両を巡り、平次(北大路欣也)、八五郎(三波豊和)、三の輪の万七(伊東四朗)、奉行所与力の並木藤兵衛(中村梅之助)、同心・保科源次郎(三浦浩一)らおなじみの面々が、凶悪集団と戦う。
 映画では長谷川一夫、テレビでは長く大川橋蔵(本チャンネルで放送中!)と受け継がれてきた「銭形平次」を、最も男っぽく演じているのが、北大路欣也版。十手を「カッ」とばかりに口にくわえて銭を投げる欣也は、これぞ、庶民派ヒーローという感じだ。
 よく見ると、橋蔵とは微妙にメイク方法も違っている。アイラインをくっきりと「切れ長」にこだわった橋蔵に対して、太い眉毛でタフさを出した欣也。なお、普段は浅葱色のパッチに白足袋が平次のトレードマークだが、いざ、悪人と戦う時には黒っぽいパッチに黒足袋姿になるのにお気づきだろうか。
 平次が黒パッチを身につける時。それが大捕物の合図なのだ。

掲載2002年10月04日

「次郎長三国志 次郎長売出す」監督マキノ雅弘に助監督が岡本喜八。威勢のいい連中が繰り広げる人気シリーズ!

(じろちょうさんごくし じろちょううりだす) 1952年

掲載2002年10月04日

「清水次郎長」は、最も人気の高い時代劇キャラクターのひとり。おなじみのエピソードを、名監督マキノ雅弘がシリーズ9本で存分に描いたヒット作を10週連続で放送する。
 清水の米屋の息子・長五郎こと清水の次郎長(小堀明男)は、家業を嫌ってのヤクザ渡世。その男気にほれこんだのが、子分の桶屋の鬼吉(田崎潤)、関東五郎(森健二)、大政(河津清三郎)ら。一作目「次郎長売出す」では、義兄弟・和田島の太左衛門と津向の文吉の喧嘩を次郎長が見事仲裁できるか?が見物の一本。
 されに二作目「次郎長初旅」編では、森の石松(森繁久彌)が登場。博打好きのダメ男・沼津の佐太郎と女房の夫婦愛がしみじみ描かれる。一方で、肝心の次郎長一行も、博打で着物まではぎとれれる体たらく。それでも、裸で街道を駆けだす若き日の次郎長一家にはカラリとした明るさがある。
 このシリーズのお楽しみは、なんといっても森繁石松。今ではすっかり芸能界の重鎮扱いだが、おっちょこちょいで憎めない石松を巧みに見せる。もうひとり、原作を読んでどうしてもこの役を、ろ自ら志願したという田崎潤。晩年は「連想ゲーム」で大声おじさんとして有名だったが、役者としての存在感を改めて感ずる。他にもとぼけた味の田中春男、人気浪曲師広沢虎造の演技もなかなか。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。