ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年09月20日

「地獄の左門十手無頼帖」天知茂が地獄の潜入捜査!鬼気せまる立ち回りの連発。長編シリーズ4本連日放送。

(じごくのさもんじってぶらいちょう) 1982年

掲載2002年09月20日

 南町与力の神山左門、人呼んで「地獄の左門」は、生糸問屋の水死事件に疑問を抱く。やがて浮上した悪徳商人と老中の結託。真相を暴こうとした左門は、金山発掘のための離島に追われ、さらなる危機が...。共演は、片桐竜次、成田三樹夫、草野大悟ら「曲者系」に大御所片岡千恵蔵と、贅沢な面々が揃う。
 ニックネームが「地獄」とはただならぬ主人公だが、それを演じているのが、天知茂というならば納得がいくのである。それほど、天知茂の眉間のしわには、緊迫感が漂うのだった。ちなみに天知茂は、「大岡越前」の第1〜3シリーズまで、やはりキレ者与力その名も「神山左門」役で出演。さすがに「大岡越前」では地獄の捜査はできなかった左門だが、ほのぼのしたホームドラマ的な番組の中で、出て来るたびに暗いムードの漂う左門の存在は、かなり異色だった。
 「地獄の左門シリーズ」は、左門が無宿人に扮して潜入捜査をする第二作「将軍暗殺」や多数の水死人にまじって他殺された男を発見する「女菩薩供養」、与力を辞した左門が火盗改めに協力する「声を盗まれた娘」が連日放送。悪と戦う左門の鬼気せまる立ち回りは、天知茂ならではの迫力。とにかくにらまれたら怖い主人公だ。

掲載2002年08月09日

「三匹が斬る!」祭り あの三匹がついに登場!気楽に旅して、悪人退治。こんな人生、うらやましい?

(さんびきがきる!まつり) 1987

掲載2002年08月09日

 ついにあの三匹がやってくる!
浪人なのにどこか品のいい「殿様」こと高橋英樹、末は千石の大物にと野心満々の「千石」こと役所広司、いつも珍商売で人を煙に巻く「たこ」こと春風亭小朝の三人組。諸国を気楽に旅する三人と、なぞの女(杉田かおる)が、宿場で出会う悪を斬る。
 なんといってもこの三人の特徴はカラッと明るいところ。弱いものいじめをする悪人にギラギラ怒って、屋敷に乗り込み、バッタバッタとやっつけて、仕上げに殿様がパーッと懐紙をバラまくと、すべてがスカッと終っている。どんな大事件でも翌週はすっかり忘れるのが読み切り時代劇の鉄則だが、この三匹は、その日のうちにすっきり気分を切り換えて、また冗談を言いつつ、出発進行。その痛快感はすごい。87年のスタート以来、人気長寿シリーズになったのもうなづける。
 しかし、時代劇スターの高橋英樹はともかく、初心者の小朝はかなり殺陣に苦心したらしい。刀ではなく、両刃の特殊な槍を使うのも苦労のタネ。その鬱憤を晴らすため?か、よく聞いていると小朝のアドリブらしきギャグがかなりある。それに動じない英樹&広司もなかなかのギャグセンスありってことか。
 小林亜星のズンチャカズンチャカ小気味いいテーマ曲も、一度聞いたらやめられない。
痛快時代劇の王道ともいいたい名シリーズ。

掲載2002年08月02日

「仕掛人・梅安 梅安蟻地獄」 もうひとりの藤枝梅安・小林桂樹!渋い配役でじっくり味わいたい長編ラインナップ。

(しかけにん・こばやしけいじゅ) 1982年

掲載2002年08月02日

今も人気の高い池波正太郎の「仕掛人藤枝梅安」シリーズ。テレビでは、緒形拳や渡辺謙がその役者として有名だが、実はもうひとり、小林桂樹もがんばっているのである。
今回はBS・CS初登場の長編7本「梅安蟻地獄」「梅安流れ星」「梅安迷い箸」「梅安晦日蕎麦」「梅安針供養」「梅安岐れ道」「梅安乱れ雲」を連続放送。どれも原作のテイストをしっかり守りつつ、微妙に設定が異なるところも。どこがどうアレンジされているか。池波原作ファンは、その違いをチェックしてみるのも楽しいかも。
「梅安蟻地獄」は、斬られた岡っ引きを医者のもとへ運んだ梅安が、人違いされて命を狙われる。難を逃れた梅安は、殺しの元締め音羽の半右衛門に“仕掛人”としての仕事を依頼される・・・。梅安の裏の仕事の仲間・楊枝職人の彦次郎に田村高廣、半右衛門に中村又五郎、池波正太郎お気に入りのふたりのニクい配役。その上、梅安がこれまた渋めの小林桂樹だから、番組全体がおとなの雰囲気なのは当然ともいえる。どれも見応えがあるが、ペリーのお薦めは梅安・彦次郎が無頼浪人集団と対決する「梅安岐れ道」。極悪非道の輩に梅安がどう戦いを挑むか。夏のひととき。じっくり見たい長編が続く。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。