ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年07月27日

「サスケ」こどもたちを熱狂させた白土三平の名作アニメ。雷門ケン坊の声も懐かしい!

(さすけ) 1968年

掲載2002年07月27日

三十代以上の人なら、必ず「影響を受けた忍者」がいるものだ。以前、このチャンネルで特集された市川雷蔵の「忍びの者」という人も、「仮面の忍者赤影」という人も、「花のぴゅんぴゅん丸」という人や、ひょっとすると「カムイ伝」という人もいると思う。
私の場合は、「サスケ」だった。
第一に主人公が子供だったのが新鮮。その意味では「赤影」に出てくる「青影」も少年忍者なのだが、からっと明るい青影に対して、サスケにはとても深い影がある。家康による真田勢の残党狩りで母親を失った上に、父の忍者・大猿大介とともに流浪しなければならない運命を背負ったサスケには、悲壮感が漂う。厳しい忍術修行を続ければ、いつか明るい未来があるのか。それさえ見えない。
「光のあるところに影がある。まこと栄光の影に数知れぬ忍者の姿があった。だが、人よ名を問うなかれ、闇に生まれ、闇に消える。これが忍者のさだめなのだ・・・」というナレーションを聞くたびに、ちょっとおとなの世界さえ感じたのもでである。
一方で忍術を科学的に解説してみせたり、敵の心理を読む戦術はとてもおもしろかった。サスケ役・雷門ケン坊、父の大猿役の外山高士(時代劇の悪役でも活躍してる人)の声も懐かしい。これを見たら、こどものころのように、手裏剣を投げたくなるかも。

掲載2002年06月22日

「新書 忍びの者」 正統派・市川雷蔵に、クセ者俳優・伊藤雄之助、富士真奈美、安田道代がからむ!

(しんしょ しのびのもの) 1966年

掲載2002年06月22日

常に影に生きる宿命の忍者の世界をリアルに描き、人気を博した市川雷蔵の「忍びの者」シリーズ。これまで石川五右衛門、霧隠才蔵と、いわば“有名どころ”を主役としてきたが、この作品では、新たに「霞小次郎」という新キャラクターで登場した。
幼いことろ、目の前で三人の忍者に父を殺された小次郎は、流れ忍者に育てられ、自分も忍者になる。父の仇を狙いながら、仕事では武田信玄の忍びとして働くが、信玄は味方の忍者を犠牲にして逃走するような男だった。怒った小次郎は復讐を誓う。
親の仇・妖術使いの班の夜叉丸との死闘、信玄への復讐作戦とみどころは多い。忍びの者として油の乗った市川雷蔵のピンと張り詰めた表情も女性ファンにはたまらないはず。
が、実はこの作品。ワキ役がなかなかなのだ。まず、現在、貫禄ある美人女優として映画やドラマに活躍中の大楠道代(旧姓・安田)。当時はやっと二十歳。フレッシュさで注目の若手だった。また、後にテレビドラマ「細腕繁盛記」で牛乳ビン底メガネにひっつめ髪で、主役の新珠三千代をイビる小姑で人気となった富士真奈美。そして、なにより黒澤映画で「乗ってる馬より馬面」と言われた個性派・伊藤雄之助。雷蔵の正統演技に、独特のボソボソセリフで迫る雄之助。一度見たら忘れられない存在感をお楽しみに!

掲載2002年05月31日

「忍びの者祭り」黒装束からのぞく引き締まった素顔にぞっこん。市川雷蔵に惚れなおす傑作一挙放送!

(しのびのものまつり) 

掲載2002年05月31日

「忍者」作品には、二種類ある。ひとつは、とてつもない「忍法」を使うタイプ。呪文ひとつで嵐を呼び、屋上へ飛び上がり、煙とともに姿を消す。口笛で怪獣を呼んだりもする。ほとんどイリュージョン、特撮の世界だ。そして、もうひとつが「影」に生きることを宿命とした忍者の生き方、人間性をリアルに描いたもの。鍛練と精神力で敵地に潜入し、任務を果たす。しかし、敵に捕まれば、口を割らないため、自害するだけでなく、己の顔までも破壊して果てる・・・。「忍びの者」は、このタイプの元祖であり、最高傑作シリーズなのだ。主演は市川雷蔵。没後30年後の現在もなおファンを増やしつづける永遠のスター。だが、まさか雷蔵も必死に「影」に徹したこの作品が、このチャンネルで「祭り」にされるとは思ってなかったと思う。
物語の舞台は、戦国時代。伊賀忍者・百地三太夫(伊藤雄之助)配下の石川五右衛門(市川雷蔵)は、血と泥にまみれるすさまじい日々を送っていたが、愛する女(藤村志保)と出会い、静かな生き方を選ぶ。だが、三太夫の陰謀で信長暗殺を命じられ、安土城に潜入。なんとか毒を仕込むことに成功したが・・・。天井板の節穴からこっそり下をのぞく目線。黒装束からのぞく締まった素顔。市川雷蔵の影のある表情にまたまたファンが増えること間違いなし。社会派の名匠・山本薩夫監督らしい緊張感あふれる一本。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。