ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年04月19日

「佐武と市捕物控」若き三浦友和と、ちょんまげ拒否?の梅宮辰夫lの共演作。石森章太郎ファンも納得。

(さぶといちとりものひかえ) 

掲載2002年04月19日

 下っ引きの若者・佐武(三浦友和)は、元岡っ引きの親分佐平次(伴淳三郎)の娘みどり(名取裕子)に片思い。だが、まだ半人前でとても嫁どころではない。一方、松の市(梅宮辰夫)は、表稼業はあんまだが、実はどこか影のある居合抜きの名人。ふたりが江戸の怪事件に立ち向かう。
 原作は石森章太郎の人気劇画。第一話(24日)では変態殺人鬼との死闘、第二話(25日)では、野川由美子のあやしい女っぷりが見物、第三話(26日)は原田大二郎の悪医者に注目(大二郎は善人より悪役の時の方がテンションが高い)、第四話(21,26日)では、ついにみどりと佐武が祝言?長編ならではの二転三転のストーリーから、目が離せない。ペリーとしては、この番組は友和、辰夫の異色コンビという点でも注目したい。正統派二枚目俳優として売出した友和だが、意外に時代劇の主役は少ないのである。最近では話題の大河ドラマ「利家とまつ」に利家の兄役で出ているが、なんとその妻つねも名取裕子。「佐武」から二十年の時を経て、再び裕子夫婦とは。縁というか、呪縛というか。また、辰夫パパも、時代劇出演は多くない。必殺シリーズの「必殺商売人」では髪結いの殺し屋だった。しかし、この松の市といい、必殺といい、いつもヅラなしの自毛出演。ひょっとして、ちょんまげ拒否主義か?結構似合うと思うけど。

掲載2001年11月02日

「生誕100年阪東妻三郎祭り」 ロシアで発見された幻の一本も含む名作を一挙放送。田村高慶の独占インタビューも!

(せいたん100ねんばんどうつまさぶろうまつり) 

掲載2001年11月02日

阪東妻三郎。本名・田村傳吉。1901年東京生まれ。1916年に片岡仁左衛門の弟子になり、後にマキノ映画に入社。数々の時代劇に主演し、「剣戟王」の名で親しまれる。スピード感あふれる立ち回りは天下一品で、「チャンバラは阪妻から始まった」と言われるほど。およそ、200本の映画に主演。1953年没。高廣、正和、亮ら「田村4兄弟」の父にして、戦前からの大スター。スチールだけでみても、イイ男だ。今回はその生誕100年を記念して、代表作を一挙放送してしまおうという大型企画。
さらに、うれしいニュースもあり。なんと、ロシアで阪妻主演の「鍔鳴浪人」のフィルムが発見されたのだ。実に公開から60年を経て、テレビ初公開。多くの主演作が戦災で消失している阪妻の作品が異国で発見されるとは、これもまた、生誕100年、映画の神様のお祝いなのかも。
今回は「鍔鳴浪人」のほか、“日本映画史上最高のチャンバラシーン”として語り継がれる代表作「雄呂血」(25年)、痛快な盗賊を演じた「江戸怪賊伝・影法師」(25年)、林不忘原作でふた役を演じた「魔像」(52年)、ご存じ隻眼隻手の剣豪「丹下左膳」(52年)など、一度は見たい作品が続く。田村高廣が父を語る独占インタビューもあり。息子が語る、剣戟王の素顔とは?お楽しみに。

掲載2001年06月09日

地獄の辰捕物控

(じごくのたつとりものひかえ) 1972年

掲載2001年06月09日

岡っ引きの親分というと、たいていは品行方正、愛妻家でまじめなイメージ(この元祖はかの「銭形平次」かも?)だが、この地獄の辰はちょっと違う。
なんてったって、名前に「地獄」がつく岡っ引き。今でこそ、「堀川町の親分」などと言われるが、世間の裏街道を歩き、地獄を見てきたからこそのニックネームだ。その風貌も着流しに雪駄履き、頭もボサボサっとして、目つきも鋭い。しかし、だからこそ、悪の道を探りやすく、事件探索には腕っぷしがモノをいうのである。
原作は「木枯らし紋次郎」という素晴らしいアウトローヒーローを生み出した笹沢左保。物語では、ただでさえ辛い境遇の辰に、「新妻失踪」という重たい荷物を背負わせる。新婚3日目の晩、突然、姿を消した恋女房お玉(大原麗子)はいったいどこへ…。
主演の辰には、北大路欣也。欣也は、近年は、テレビ3代目の「銭形平次」としてシブメの演技を見せたり、父・市川右太衛門の跡をついだ「旗本退屈男」であでやかな姿を見せている(今月は東京明治座で退屈男を公演中)が、この当時(72年)は、まだまだ若手のアクション系。正義感はあるが、捜査は脅迫スレスレ。体当たり岡っ引きを熱演している。暴れん坊欣也の魅力を再認識させてくれる作品。共演が田中邦衛、五十嵐じゅん(淳子)というのも通にはうれしい。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。