ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2000年07月24日

続・木枯し紋次郎

(ぞく・こがらしもんじろう) 1972−1973年

掲載2000年07月24日

“あっしにはかかわりねえこって”と、人に無関心ながら、どこかで人の情を信じたい哀しさを秘めた男、紋次郎。高度成長期の70年代、圧倒的に支持された傑作は、人とのつながりが希薄な世紀末にもズブリと長楊枝を突き刺す。18日の最終回、19日からの特選シリーズもお見逃しなく。特別番組「中村敦夫の紋次郎5分劇場」は当時の裏話続出の貴重版。
そのなかでも触れられているが、「続・木枯し紋次郎」は中村敦夫本人のほか、土屋啓之介、森一生ら手練が監督して話題になった。19日からの特選シリーズでは、市川崑と中村敦夫監督作品を厳選。第一話「川留めの水は濁った」、第二話「地蔵峠の雨に消える」など、おなじみ個性的なタイトルの作品の数々。このタイトルもカッコよかった。もうひとつ、紋次郎の世界に欠かせないものといえば悪女。大原麗子、太地喜和子ら魅力的な悪女が楽しめるのもこの番組ならでは。

掲載2000年07月19日

次郎長三国志

(じろちょうさんごくし) 

掲載2000年07月19日

清水港の暴れん坊・長五郎がやがて日本一の親分になるまでの物語。主演に鶴田浩二、愛妻、お蝶に佐久間良子、森の石松に長門裕之、桶屋の仁吉に山城新伍ら元気な面々。次郎長一家そろって牢に入れられ、さあ一大事! ヤクザが主人公ながら、家族愛や友情に厚く、ことの善悪をきっちり考える生き方は、新鮮でさえある。家族で楽しめる痛快な一本。
次郎長といえば、昔は男の子のあこがれ。カッコイイ男の象徴だった。人柄で慕われる男が絶滅の危機に瀕している現在、見直されていい人かもしれない。数多い次郎長作品のなかでも、鶴田“次郎長”のイメージは「まじめ人間」色が色濃い。その分、名古屋弁まるだしの山城新伍や、おっちょこちょいの長門裕之のナンパぶりが際立って面白い。マキノ雅弘監督・脚本で第四部まで作られたこのシリーズ。オススメは、やはり第四部、愛妻、お蝶病死の場面、とにかく素直に泣ける。次郎長一家と一緒に男泣き(女の子もね)してほしいウルウル・シーンだ。

掲載2000年07月10日

さそり伝奇

(さそりでんき) 1983年

掲載2000年07月10日

 婚礼の晩、花嫁を惨殺するという凶悪犯・さそり。一味を追う捕物小町こと女岡っ引きは父の敵と間違って、初恋の男を捕らえてしまう。その男こそ、秘宝が隠された幻の地「将棋谷」の頭領となる運命を背負った元義賊・雨太郎だった。雨太郎の命を執拗に狙うさそり。ふたりの間の秘密と誘拐された将棋谷の娘の運命は…。雨太郎に松方弘樹、さそりに綿引勝彦、捕物小町に神崎愛。ほかに花沢徳衛、赤塚真人ら芸達者と、可憐な竹井みどりや、お色気シーンたっぷりの風祭ゆきもファンにはうれしい長編。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。