ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2011年10月28日

『丹下左膳(主演:中村獅童)』
中村獅童左膳が走る!ほえる!斬る!
百万両の壺の行方とチョビ安の運命は。

(たんげさぜん) 2004年

掲載2011年10月28日

乱暴者だが、どこか憎めない隻眼隻手の浪人・丹下左膳(中村獅童)は、浅草駒方の小唄の師匠お藤(ともさかりえ)の家に居候。居候の割には態度がでかい左膳のもとには、おかしな事件が持ち込まれることもしばしば。あるとき、お藤の舎弟与吉(渡辺いっけい)が、古びた壺を持ち込んだ。実はその壺は、司馬道場の跡取り娘・萩乃(宮路真緒)と婚儀が決まったまじめ人間の柳生源三郎(RIKIYA)が国元の兄から贈られた品。この婚儀を阻止したい道場の師範代・峰丹波(松重豊)の謀略で、与吉が盗み出したのだった。ところが、その壺には柳生家の運命を左右する百万両の隠し場所が記されていた!? 左膳、柳生、峰、さらにもっと怪しげな連中も壺を追う。
 偶然、事件に巻き込まれたこどもチョビ安を救うため、左膳が走る!斬る! 当時、舞台から映画、ドラマと活躍の場を広げていた獅童が時代劇を志した若きプロデューサーと組んでぶっ放した痛快編。この役は、伯父の萬屋錦之介も演じており、「光栄だが身が引き締まる」と語っていた獅童だが、最近は伯父の持ち役に積極的に取り組んでいる。2011年は、伯父の当たり役のひとつ「一心太助」を歌舞伎で演じて好評を得た。
 気が強いが左膳にほれてる可愛いお藤をともさかりえが熱演、名君のはずなのにどこかとぼけた徳川吉宗の風間杜夫もいい味。

掲載2011年09月23日

『天下御免の頑固おやじ 大久保彦左衛門』
森繁彦左衛門&西郷太助&竹脇無我家光
大奥がらみの悪事に立ち向かう痛快長編

(てんかごめんのがんこおやじ おおくぼひこざえもん) 1982年

掲載2011年09月23日

「天下のご意見番」としてその名を知られる大久保彦左衛門(森繁久彌)だが、金には縁の無い暮らし。彼の子分を自称する魚屋の一心太助(西郷輝彦)が集金に来ても、払うことができず、大久保家の用人・笹尾喜内(松山英太郎)も困り顔。仕方なく、金を借りにいった武蔵屋(遠藤太津朗)のところには、金と権力を握りつつある勘定奉行の川勝丹波守(安部徹)が出入りしていた。川勝の屋敷は「金に糸目はつけない」という豪勢な普請中。川勝の養女は大奥で上様の寵愛を受けているというが、その裏には何かが…。
 頑固なだけでなく、とぼけた面白さは森繁彦左ならでは。たとえば、太助の帳面をチェックしながら「鯛、ひらめ、鯛?こんなものはわしは食しておらんぞ」「それはお隣ので」「なになに、ではうちは、いわし、さんま、サバ、…ははは、だが払えん」てな具合。挙句に「親の難儀は子の難儀」と太助に借金の供までさせ、女中のおなか(志穂美悦子)を「太助とお似合いじゃ」と仲人気取りになってしまう。その彦左が心から大切に思う上様、家光を、先般世を去った竹脇無我が誠実に演じているところも見物。このほか、病弱な家光の正室を山口いづみが演じているほか、三浦浩一、藤岡琢也、春川ますみ、里見浩太朗ら「水戸黄門」「大岡越前」などCALドラマのおなじみの面々が揃う。豪華な痛快編。

掲載2011年07月01日

『立花登 青春手控え』
藤沢周平原作の青春・人情・医療・事件帖
中井貴一を助ける篠田三郎が粋な顔を見せる

(たちばなのぼる せいしゅんてびかえ) 1982年

掲載2011年07月01日

医学を志し、町医者の叔父を頼って江戸に出てきた立花登(中井貴一)だが、金銭にうるさい叔父から半ば強制的に小伝馬町の牢医師を命じられる。叔父の娘ちえ(宮崎美子)からは「登」と呼び捨てにされ、用事まで言いつけられる登。しかも、牢にはさまざまな罪人がおり、中にはまじめな登をだまそうとする者も…。「善人長屋」の回では、目の不自由な娘(壇まゆみ)が心配だという殺人犯・吉兵衛(山谷初男)の言葉を信じ、長屋に出向いた登は、娘が狙われているらしいと知る。ベテラン山谷の鬼気迫る熱演は、心に残る。また「花一輪」の回では、押し込み強盗鶴吉(火野正平)が拷問を受けても仲間の名を明かさず、牢内で殺される。鶴吉の女房お英(風吹ジュン)は復讐を誓うが…。牢内での殺人という難題に向かう登の活躍は見逃せない。
 原作者の藤沢周平は、死罪も含め、ぎりぎりのところに生きる罪人たちの生き様を登に見せ付ける。傷つき、悩む登を支えるのは、岡っ引きの藤吉(地井武男)や小伝馬町世話同心の平塚(篠田三郎)。「鬼平」シリーズなど、まじめな役の印象が強く女性ファンの多い篠田が、ここでは美人女将(宮下順子)といい雰囲気で、自ら三味線で鼻歌など口にする粋な顔を見せるのも注目。彼らに細かく文句を言う同心のケーシー高峰の存在も、いかにも役人世界的で面白い。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。