ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2011年02月04日

『敦煌』
制作費45億円。日本映画史に残る壮大さ!
井上靖の代表作を現地ロケと豪華キャストで

(とんこう) 佐藤純彌

掲載2011年02月04日

宋の国の官僚試験に落ちた青年行徳(佐藤浩市)は、新しい国・西夏にあこがれ、仲間とシルクロードに旅に出た。灼熱の過酷な道程、彼らは、西夏軍の兵隊狩りに遭い、捕虜として兵士にされてしまう。その部隊の隊長・朱王礼(西田敏行)は、根っからの武人だが、学のある行徳に一目起き、行徳も王礼の生き方に惹かれていく。あるとき、行徳は、西夏軍に滅ぼされたウイグル族の王女ツルピア(中川安奈)と出会う。ふたりは激しい恋に落ちるが、行徳は西夏文字を学ぶために派遣される。一年の約束を守れず、三年後帰国した行徳は、ツルピアが西夏王(渡瀬恒彦)の妻にされそうになっていることを知る。しかし、誇り高いツルピアが選んだ道は…。好人物の役が多い西田敏行が、ここでは無骨ながら一本筋を通す武人を熱演。りりしくカッコいい!
公開当時は日中平和友好条約締結十周年。当初、20億円の予算が45億円必要になったという。作者井上靖は、この作品について「大変幸福な作品」と評している。
佐藤、西田、渡瀬はじめ、田村高広、三田佳子など、豪華な顔ぶれが揃い、現地ロケも敢行。演出家として知られる蜷川幸雄も出演。
ヒロイン・ツルピア役は、日本はもとより、アメリカやフランスからも公募して決定された。イメージソングをケビン・コスナーが担当していることにも注目。

掲載2010年12月31日

『茶々 天涯の貴妃』
茶々・和央ようかがりりしい女武者に!
寺島しのぶの小督(江)、富田靖子の初も熱演

(ちゃちゃ てんがいのおんな) 2007年

掲載2010年12月31日

浅井長政と信長の妹・市(原田美枝子)の間に生まれた三姉妹、茶々・初・小督は、父を滅ぼした信長(松方弘樹)に引き取られる。父のしゃれこうべで酒を飲めと市に迫る信長に、怒った茶々は、母に替わってその酒を飲み干し、信長に「いずれ天下をうかがう女帝になる」と予言された。その信長も本能寺で亡くなり、母の再婚相手柴田勝家とともにつかの間の家族となった三姉妹だったが、今度は豊臣秀吉(渡部篤郎)に攻められ、養父と母を失う。妹は政略結婚させられ、茶々は、憎いはずの秀吉の子を産む。秀吉も世を去り、豊臣秀頼の母となった茶々(和央ようか)は、徳川家康(中村獅童)と、真っ向から衝突する。
歴史に翻弄された三姉妹というより、与えられた運命の中で、誇り高く、自分の生き方を貫く女として描かれる。見どころは、自ら甲冑を着て、馬にまたがり、颯爽と家康の前に現れる茶々。長身で都会的イメージから、熱狂的に支持された宝塚の元男役トップスターだけに、その身のこなしは実に鮮やか。その茶々を「気に入らないなら殺せば」と平然と秀吉に言う北政所(余貴美子)は少し化け猫風で怖い。私は撮影現場を取材したが、和央ようかのストイックな役作りは現場でも評判に。大坂城のセットに茶々ときんきら趣味の秀吉が立ち、町を眺めるシーンは、CGで広大な市街が描かれた。制作費10億円の大作。

掲載2010年12月24日

『忠臣蔵 風の巻・雲の巻』
仲代大石内蔵助の渋い演技でリクエスト多数
渡辺謙、吉岡秀隆、中村吉右衛門も登場。

(ちゅうしんぐら かぜのまき・くものまき) 1991年

掲載2010年12月24日

勅使接待の大役を務める播州赤穂の浅野内匠頭(中井貴一)は、指南役の高家筆頭吉良上野介(大滝秀治)から、理不尽な仕打ちを受けていた。その背景には、柳沢出羽守(江原真二郎)の画策があったのだった。家臣に支えられ、耐えてきた内匠頭だったが、殿中松の廊下で「田舎侍」とののしられ、ついに刀に手をかけた。刃傷事件で大騒ぎとなる中、内匠頭は、即日切腹。その知らせが赤穂の筆頭家老大石内蔵助(仲代達矢)のもとに届く。
昼行灯といわれた大石が、やがて同志47人で吉良邸に討ち入り、見事主君の仇討ちを果たすまでを二部構成で描く。注目すべきは、豪華なキャスト。瑤泉院に古手川祐子、大石りくに山本陽子、赤穂義士の片岡源五右衛門に高橋悦史、堀部弥兵衛に花沢徳衛、堀部安兵衛に地井武男、大高源五に益岡徹など。中でも、討ち入りの夜、不在の兄の羽織を相手に酒を飲む赤垣源蔵の渡辺謙、まだ十代ながら決死の覚悟で参加する矢頭右衛門七の吉岡秀隆の熱演は印象的。内匠頭を応援する脇坂淡路守の北大路欣也、討ち入りを果たした面々に「さてこそ赤穂のご浪士か!」と声をかける幕府大目付に中村吉右衛門も登場。フジテレビの時代劇を支えた面々大集合で、リクエストも多い「忠臣蔵」。大滝吉良の「くふ、くふふ」という意地悪笑いも見逃せない。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。