ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2007年12月26日

『天下騒乱 徳川三代の陰謀』
西田敏行がシリアスな土井利勝に!
荒木又衛門(村上弘明)の苦悩と決断とは

(てんかそうらん とくがわさんだいのいんぼう) 2006年

掲載2007年12月26日

病に倒れた大御所家康(山崎努)は、病床に将軍秀忠(山下真司)と老中・土井利勝(西田敏行)を呼び、衝撃の告白をする。
「利勝は家康の隠し子だ…」
 その言葉を受けた利勝は、徳川の天下を守るためなら鬼になると決意する。
 三代将軍には家光(池内博之)が就いたが、彼には「母から疎まれている」という屈折があった。彼を心から心配するのは春日局(片平なぎさ)と柳生十兵衛(中村獅童)だった。
 そんな折、河合又五郎が大名家の家臣を斬り出奔。旗本衆の庇護を受けて逃亡する。この敵討ちは「外様大名」と「旗本衆」の天下を揺るがす大事件になりかねない。鬼の利勝は、決着をつけるため、荒木又右衛門(村上弘明)に「命をくれ」と切り出す。
 有名な決闘が、実は利勝による陰謀だったという新解釈で展開。西田敏行が一切笑いなし、シリアスな顔を見せる。愛妻家の又右衛門が仇討ちに巻き込まれる苦悩、彼を救いたい十兵衛(丹下左膳に続き、獅童にとって再び隻眼の剣士役)の葛藤など、男の生き方が描かれて行く。私は現場を取材したが、女装などしてふざける家光と十兵衛を「何をしておる!!」と一喝する家光の母(かたせ梨乃様)は大迫力。家光を守ろうとする春日局(なぎさ様)との火花がスタジオに飛んでるようだった。女のバトルもすごい。

掲載2007年12月21日

『大忠臣蔵』
民放初の大河ドラマにして制作費10億円!
貫禄の三船大石、渡哲也の堀部安兵衛も活躍

(だいちゅうしんぐら) 1971年

掲載2007年12月21日

「元禄14年は日食とともに明けた。それは不吉を予感させた…」
 印象的なナレーションで始まった物語は、浅野内匠頭(先代・尾上菊五郎)は勅使接待の大役を仰せつかるが、その指導役である吉良上野介(市川中車)から、たびたび嫌がらせを受けることに。その背景には「吉良殿、せいぜいいじめておやりさい」と不気味に微笑む柳沢吉保(神山繁)の思惑があった。
 やがて殿中で刃傷事件を起こした内匠頭は即日切腹。悲報は赤穂に届き、家老・大石内蔵助(三船敏郎)は大きな決断を迫られる。
 忠臣蔵の世界を一年にわたってていねいに描いた民放初の「大河ドラマ」として話題になったほか、71年の放送当時の金額で制作費が10億円!富田勲の荘厳な音楽も印象深い。
 大石がこれまで以上に剣豪(殺陣は黒澤映画作品で知られる久世竜)で、次々送り込まれる刺客と戦ったり、柳沢の密偵おらん(上月晃)らスパイとの情報戦も緻密の描かれるのも大きな特徴。血気さかんな堀部安兵衛を渡哲也、人間味あふれる義父・堀部弥兵衛を有島一郎、熱血漢の不破数右衛門を新克利、殿の最期に男泣きする片岡源五右衛門に江原真二郎、大石りくに司葉子、阿久利に佐久間良子と豪華キャストが揃う。赤穂藩士でありながら、曲者ぶりを発揮する大野九郎兵衛の伊藤雄之助もファンは見逃せないはず。

掲載2007年12月06日

『忠臣蔵』北大路欣也の大石内蔵助の正統派忠臣蔵。
平幹二朗の憎憎しい吉良上野介にも注目

(ちゅうしんぐら) 1996年

掲載2007年12月06日

勅使接待役となった若き赤穂藩主・浅野内匠頭(緒形直人)は、貢物が少ないかったことから、ご指南役の吉良上野介(平幹二朗)から嫌がらせを受ける。屏風の絵から料理にまで難癖をつけられ、たった一晩で200の畳替えをも強いられ、耐えに耐えた内匠頭だったが、勅使接待の当日、ついに殿中松の廊下で、吉良に対して刃傷に及ぶ。
 芸能生活40周年の節目に大役を演じた北大路欣也は、この作品の依頼を早速父・市川右太衛門に報告。「色気のある内蔵助」を目指し、内蔵助が色町で遊ぶシーンを写した当時の番組のポスターを大変気に入り、今も大切にしている。また、大石りく役の梶芽衣子も、女優になる際、父から「女優になるからには大石りくが演じられるような存在に」と言われたという。それだけに思い入れもたっぷり。ふたりのシーンには、言葉はなくてもわかりあうおとなの夫婦の情感がにじむ。
 また、「田舎侍が」と嫌悪感をあらわにする憎憎しい吉良役の平幹二朗、気品あふれる瑶泉院の麻乃佳世、血気盛んな堀部安兵衛の世良公則、実直な寺坂吉右衛門の寺尾聡、商人の男気を見せる丹波哲郎はじめ、渡辺謙、音無美紀子など、総勢130人の豪華キャストの競演も話題に。大石らの動きを読み、策を練る家老・石橋蓮司の厳しい演技もお見逃しなく。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。