ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2007年06月15日

『忠臣蔵−いのち燃ゆるとき− 前後編』超豪華キャストが揃った明治座公演 石井ふく子の演出で「命」が描かれる

(ちゅうしんぐら-いのちもゆるとき-) 2007年

掲載2007年06月15日

明治座会長・三田政吉氏の追善興行として、劇場ゆかりの名優たちが集結した舞台劇。今も人気を誇るテレビシリーズ「水戸黄門」第一部を手がけたことでも知られるベテラン宮川一郎の脚本、石井ふく子の演出で、四十七士の忠義はもとより、その家族の思い、吉良方の人々の願いも描き、「命」の重さを伝える。
 江戸で吉良方の動きを探る、堀部安兵衛(西郷輝彦)、前原伊助(松山政路)、杉野十平次(堤大二郎)、神崎予五郎(丹羽貞仁)らは、芝浜の波打ち際で、吉良上野介(林与一)の顔を確かめようと、待機していた。しかし、吉良方もたくみにその計略を阻止。焦る赤穂浪士たちは、大石内蔵助(松平健)の江戸入りをじりじりと待つ。大石の妻りく(三田佳子)は、夫と長男主税を心配しつつも、武家の女として、その思いを口に出せない。
 ある日、安兵衛の道場に美しい三輪(野村真美)が現れる。三輪は清水一学(松村雄基)とも親しい吉良方の女。一方、吉良邸には上野介にうりふたつの男が姿を見せていた…。
 赤穂浪士の装束を用意するひょう六(藤田まこと)と女房のお嶋(波乃久里子)が、笑わせながらもじんとさせる。忠義に生きたのは男だけではなく、かなわぬ恋、夫や子どもとの別れ、兄を見送る妹、石井演出らしい女たちのドラマに、劇場ですすり泣きが起こった。感動の舞台。

掲載2007年03月30日

『長七郎江戸日記スペシャル 怨霊見参!長七郎、弟と対決』老中暗殺の怨霊の正体は弟!?迷わず地獄へ落としていいのか、長七郎!

(ちょうしちろうえどにっき) 1985年

掲載2007年03月30日

冒頭、いきなり現れた異形の大男。不気味なその男は、老中を暗殺して去っていく。なんとその正体は、家光と将軍の座を争い、非業の死を遂げた長七郎の亡父・忠長の怨霊だという。次々、老中が襲われ、瓦版でも怨霊の話で大騒ぎ。長七郎の仲間である、辰三郎(火野正平)、五郎太(篠塚勝)も、怨霊と遭遇して危機一髪の目に遭う。
 そんな折、長七郎は、旅の母娘、あや(馬淵晴子)とちか(斉藤慶子)から、怨霊の正体が、自分の腹違いの弟にあたる平九郎(中幸次)ではないかと知らされる。苦悩する長七郎。怨霊を追う同心、さらに柳生宗冬(丹波哲郎)の策略も重なって事態は深刻に。平九郎を操る影の存在もちらつき、「なぜ、まっとうな夢を見なかった平九郎」と、長七郎は悲しい決断を下すのであった。
 決めセリフ「俺の名前は引導代わりだ!迷わず地獄へ落ちるがよい」も、弟に言えるのか。そんな気持ちも知らず、「腕が長い分、柳生とでも一対一なら勝てる」と自信満々の平九郎。中幸次は、能面をつけた大男を熱演。どこか華麗な雰囲気なのも長七郎の弟らしい。
 のんきな瓦版屋の牛吉(高品格)が、「長さんも(瓦版の文の)腕を上げましたね。昔は直訴状か果たし状だった」などとぼけた味を出すシーンなど、ファミリー的な和気あいあい場面も見逃せないスペシャルバージョン。

掲載2007年03月01日

『丹下左膳』「木枯し紋次郎」チームが集結!こだわりのオープニング、曲も斬新

(たんげさぜん) 1974年

掲載2007年03月01日

隻眼隻手の凄腕の浪人・丹下左膳(高橋幸治)の生き方と闘いを描くシリーズ。
第一部「乾雲坤竜の巻」で、左膳は、藩主の命で秘蔵の名刀を奪うことになる。その名刀とは、二刀で一対、離れると互いを呼び合い、必ず血の雨を降らすという大の乾雲、小の坤竜だった。「試合に勝ったものに二刀と娘・弥生を授ける」と、とんでもない提案をした小野塚道場の主。当然、恋人で剣り腕からしても本命の栄三郎(浜畑賢吉)が勝つと思っていた弥生だが、そこに左膳が乱入。乾雲が奪われる。二刀を狙う相馬藩の月輪一門までもが現れ、争奪戦は大混乱。さらに藩主には暗い企みが…。
第二部「こけ猿の壷」は、おなじみ「百万両の隠し場所」が記されているという「こけ猿を壷」を巡っての闘い。
合言葉は「姓は丹下、名は左膳!!」大河ドラマの信長役などで活躍した高橋幸治は、左膳のダークな部分もよく出している。蟹江敬三、尾藤イサオ、鮎川いずみら、あくの強い顔ぶれも時代劇ファンを喜ばせる。監修として市川崑(1、9、10話を監督)、美術に西岡善信、制作CALと「木枯し紋次郎」のチームが参加し、モノクロのアート感覚あふれるオープニング、♪誰のものでもない、自分だけのものが〜と歌う小室等の主題歌など、独特のムードを作り出している。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。