ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2005年09月22日

「どくろ銭」大衆文学の人気作品を北大路欣也で。土屋嘉男の怪人ぶりもチェック。

(どくろせん) 1984年

掲載2005年09月22日

とつぜん家に飛び込んできた妙な男(江幡高志)から、「荷物を届けてほしい」と頼まれた娘お小夜(岡田奈々)。しかし、届けた先には奇怪な事件が待っていた。偶然、彼女と知り合った浪人・神奈平四郎(北大路欣也)は、宇喜多家の財宝のありかを示すという四枚の“どくろ銭”の存在を知る。そこにはいつも不気味な頭巾をかぶった男の存在が…。
 財宝探しに不気味な殺し屋、黒猫にお姫様など、昔から伝奇時代劇に欠かせない要素がたっぷり。原作者は、大正末期から昭和初期に活躍した大衆文学作家・角田喜久雄で、人気作品らしく、何度も映像化されている。この主人公は、北大路欣也の父・市川右太衛門もかつて演じたことがあった。
 今回は脚本が「水戸黄門」でおなじみの“葉村彰子”となっているだけに、藤岡琢也、根本律子、西沢利明、さらにはナレーターの芥川隆行など、ナショナル劇場の常連のキャストが揃っている。中でも「小夜、そなたも湯に入るがよい」などと声をかける檜姫(根本律子)と、「銭柄の頭巾」をかぶって鎖鎌を振り回す怪人・土屋嘉男の存在感はなかなか。また、女の悲しみを表現する新藤恵美は、制作された84年当時から、貫禄十分だ。
 監督は、「仮面の忍者・赤影」シリーズでも知られる倉田準二。音楽は渡辺岳夫。

掲載2005年07月14日

「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」公私共にしっかり女房・松嶋菜々子。なんと名古屋ではまたまたゆかりの歌が!?

(としいえとまつ かがひゃくまんごくものがたり) 2002年

掲載2005年07月14日

加賀百万石の祖として今も地元では慕われるお殿様・前田利家(唐沢寿明)と妻・まつ(松嶋菜々子)。天下をとろうと動く戦国のカリスマ的リーダー織田信長(反町隆史)の下で、家臣たちは出世争いを繰り広げるが、戦っているのは夫ばかりではなかった。知恵もののサルこと秀吉(香川照之)の妻おね(酒井法子)らとは親友同士ながら、妻(美女ぞろい)同士もビシビシッと視線がぶつかりあうときも…。
 このドラマの少し前に反町夫人となった松嶋菜々子。そのしっかり女房ぶりはドラマでも発揮され、「何から何まで私にお任せくださりませ!!」と名文句を生んだ。また、竹野内豊が利家の弟で、悲劇的な最期をとげるのも名場面。黙々と仏像を彫る姿はなかなかに哀愁が漂っていた。
 ところで、もともと前田家が治めていた尾張荒子近辺には、今年、「あおなみ線」という新鉄道がオープン。名古屋の地元ラジオ局が発掘した、フォークソング調のご当地ソング「あおなみ旅情」というのが密かなブームになっているらしい。もちろん、その歌詞の中にも「利家とまつ」関連の言葉が! 名古屋でも利家とまつは大人気! ちなみに作曲したのは地元の歯医者さん、熱唱しているのは、地元在住の元スクールメイツの奥様だとか。ぜひ、この歌をまつ本人にも聞かせたいものである。

掲載2005年03月03日

「伝七捕物帳」 伝説の「ヨヨヨイ」一本締め名親分。免許皆伝・梅之助の本物志向が光る!

(でんしちとりものちょう) 1973年

掲載2005年03月03日

テレビ時代劇には数多くの名岡引が登場したが、中村梅之助の「伝七」は、もっともリクエストの多い人気作。
 江戸は黒門町の伝七親分(梅之助)は、町の人たちの強い味方として慕われている。弱いものいじめと見れば、たとえ相手がりっぱなお武家でも体当たり。刀を抜かれても、「静かにしろい! そんななまくら刀でこの伝七を斬ることはできねえぜ」と、啖呵一発。
 伝七は、特別に許された紫の房の十手と、万力鎖がトレードマーク。撮影当初、十手は、立ち回り用のレプリカが間に合わず、重い本身を使用。また、万力鎖については、梅之助は当時、五人しかいなかった正木流の免許皆伝。本物でした!殺陣師がケガをするほどの威力のある万力鎖のさばき具合も、見所のひとつ。
 また、伝七の人気の秘密は、なんといっても、事件解決後、子分と指をそろえて、「ヨヨヨイ、ヨヨヨイ、ヨヨヨイヨイ、めでてえな!」と、明るく見せる恒例の「指締め」。これは当たり役「遠山の金さん」の「これにて一件落着」に負けない、こどもたちにも親しまれる決めセリフをと考えられたもの。そういわれてみれば、子ども時代、さんざんマネした方も多いはず。親分たちの狙いは的中したわけ。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。