ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2003年12月12日

「忠臣蔵」年末年始特別企画。里見浩太朗の大石内蔵助に風間杜夫の浅野内匠頭。吉良はあの人!!

(ちゅうしんぐら) 

掲載2003年12月12日

 年末年始は、なぜか時代劇をじっくり見たくなるもの。数ある作品の中で、大型テレビ作品として話題になったのが、本作。
 里見浩太朗の大石内蔵助は納得として、風間杜夫の浅野内匠頭はかなりの冒険。私を含め、あんまり悲劇が似合わないキャラクターというイメージだった。が、これが意外にぴったりきて、数々の無理難題にぐっと耐え、とうとう松の廊下で刃傷に至る瞬間のハイテンションな動きは、さすが「鎌田行進曲」の俳優だと、ちょっとうれしい。
 が、何よりこの作品での話題は「吉良上野介」が森繁久弥だったということ。ホームドラマの好々爺が天下の悪役である。すんなり受け入れられるのか?
 この役をぜひ、とご本人にお願いしにいったのは、なんと里見浩太朗その人だったという。ご本人に直接お聞きした話では、「出演中の舞台の楽屋にお邪魔して、先生このたびは、『忠臣蔵を』とお願いすると、『どの役?』と鋭く返されまして、緊張しました・・・」あの里見さんを緊張させるとは、さすがの貫禄。この作品は、この吉良が実現したからこそ、多くの支持を得たといえる。(初オンエアは、紅白歌合戦の真裏にもかかわらず、視聴率は15パーセントを超えた)堀内孝雄が切なく歌いあげる主題歌「憧れ遊び」とともに、男の忠義に泣ける一本。

掲載2003年12月05日

「討ち入り!「忠臣蔵」祭り」加山の内匠頭に伴淳の吉良。本格派から、喜劇パロディまで。スター勢揃いがうれしい。

(ちゅうしんぐらまつり) 

掲載2003年12月05日

 師走といえば、忠臣蔵!ということで、14日は「忠臣蔵」の名作が揃う。
 まず、「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」は、松本幸四郎(白鸚)主演。まず「花の巻」で、赤穂城主・浅野内匠頭(加山雄三)が、勅使指南役の吉良上野介(市川中車)に諸大名の目の前で田舎大名と呼ばれたことから、ついに刃傷にいたるまで。いじめにうぐぐぐと耐える加山。若大将とはまた違った表情だ。
 「雪の巻」では、赤穂浪士たちが本懐をどけるまで。永遠の美女、原節子、司葉子、新珠三千代、星由里子、池内淳子ら、女優陣も華を添える。また、吉良方の用心棒となった俵星玄藩役で三船敏郎が登場。堀部安兵衛(三橋達也)とすなわち対決か、という場面も。名殺陣師・久世竜の緊張感あふれるぶつかり合いに注目。
 もう一本。「珍説忠臣蔵」は、密輸はするわ、高利貸しはするわ、バイトで女の世話までやってのけるとんでもない吉良上野介(伴淳三郎)と、大石内蔵助(古川緑波)の運命やいかに?田端義夫、堺駿二、木戸新太郎、阿部九州男、清川虹子、横山エンタツ、花菱アチャコら、当時の人気者が総出演の明るい忠臣蔵。後に「連想ゲーム」で人気になる田崎潤もいつものパワフルな存在感を見せる。いかに日本人が「忠臣蔵」が好きかよくわかる。
充実のラインナップ。

掲載2003年11月28日

「大魔神怒る!」火あぶりシーンは本当に燃やす!モーゼも驚く、名監督・三隅研次の迫力特撮巨編。

(だいまじんいかる) 1966年

掲載2003年11月28日

 戦国時代。湖をはさんで隣り合わせの名越一族と千草一族は、本家と分家の間柄もあって、平和に暮らしていた。しかし、ある日、土地がやせて隣国の御子紫一族の弾正(神田隆)が、名越の領地に突然、攻め入り、占領してしまう。
 危機一髪で脱出した名越の殿様・十郎(本郷功次郎)は、千草の殿(内田朝雄)を惨殺し、湖の神ノ島に祀られた名越・千草の武神像を爆破。湖に捨てたばかりか、領民の前で千草の姫・早百合(藤村志保)らを火あぶりにしようとする。神に祈る早百合の目から、ひとすじの涙がこぼれ落ちる時、とてつもない奇跡が・・・。
 「大魔神」という名前と、やさしげなハニワ顔が一気に怖い顔に変化する過程を記憶している方も多いはず。がしかし、それだけでこの映画は語れないのである。私は以前、直接藤村志保さんに伺った話によると、三隅監督は、火あぶりのシーンでは本当に藤村さんの足元でボーボーと火を燃やし、リアルさにこだわったという。しかも、大魔神が湖から登場するシーンは、「モーゼの十戒」もびっくり!の大仕掛け。最新のCGなしでここまでできちゃう日本映画の底力を見た思いがする。セットや立ち回りももちろん本格的。一度見たら、必ず誰かに話たくなる作品。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。