ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2002年10月11日

「長七郎江戸日記スペシャル」里見浩太朗の十八番といえばコレ!野川由美子&下川辰平インタビューもお見逃しなく

(ちょうしちろうえどにっきすぺしゃる) 1984年

掲載2002年10月11日

 二代将軍が愛した息子・駿河大納言忠長を父に持つ松平長七郎。将軍の座を巡って争いに巻き込まれた父は、自害して果てる。争いの末に将軍になった家光は、罪の意識もあってか長七郎に「大名に」と声をかけるが、長七郎が選んだのは、気軽な町家暮らしだった。瓦版屋の手伝いなどしているうちに、数々の事件と遭遇する長七郎。イザとなれば、葵のご紋のゴージャス着物で颯爽と悪人のもとに現れ、身分を明かしてビビらせて、最後には見事に成敗!里見浩太朗の十八番だ。
 お殿様の世直しだけでなく、江戸庶民の喜怒哀楽を盛り込んで、浮世離れした長七郎と交流もあたたかく描いた人気シリーズ。84年から88年までに10本のスペシャル版が作られた。12・13日放送の「長い七郎立つ!江戸城の対決」は、家光の嫡子と名乗る少年(白龍光洋)と、その命を狙う柳生(丹波哲郎)の陰謀。お家騒動が大嫌いな長七郎は、少年を救おうと立ち上がる。大衆演劇で人気を集めた白龍の達者な演技にも注目したい。
 また、「このお方は...」と悪人に長七朗の身分を解説しに馳せ参じる下川辰平、瓦版屋の女将おれん役の野川由美子のインタビューも要チェック。私は以前、野川由美子がテレビで「下駄で走ったら誰にも負けないよ!」と語っていたのが忘れられない。今度はどんな話が飛び出すのか?お見逃しなく。

掲載2002年08月23日

「付き馬屋おえん事件帳Ⅰ・Ⅱ」「けじめ、つけさせてもらいます!」男たちを従えた山本陽子の“裏稼業の裏稼業”

(つきうまやおえんじけんちょうⅠ・Ⅱ) 1990年

掲載2002年08月23日

「付き馬屋」とは、遊廓での遊興費を取り立てる稼業。吉原で料理屋「喜の字屋」を営む女主人・おえん(山本陽子)の裏稼業は、実は付き馬屋だった。しかし、付き馬屋をするうちに、借金を踏み倒すだけでなく、もっと極悪非道の「闇」を知るおえん。「許しちゃおけない」と悪人のところへ乗り込むと、「けじめ、つけさせてもらいますよ!」と啖呵一発。悪を成敗してしまうのであった...。
 つまり、おえんには、裏稼業のさらにまた裏の顔があるのである。弱い立場の吉原の女たちを守るため、娘に嫌がられても付き馬屋をやめないおえん。そんなおえんを密かに守り、「裏の裏」でもいっしょに悪を倒すのが、「喜の字屋」の板前やお運びをする男たち(山城新伍、宅麻伸、小西博之、黒田隆哉、丹野由之)だ。おえんが鈴と紐のついたかぎ針をヒューンと投げれば、悪の親玉の首にがっちりからみつく。女怨念の恐ろしさを知れー、怖い顔の山本陽子ににらまれたら、極悪人もひとたまりもないのであった。
 一方、料理屋の女将として表の顔を見せるおえんと、ミーハーな女ともだち(入江若葉、芦川よしみ)キャーキャーおしゃべりする場面や、おえんに気がある吉原見回りの同心(中山仁)とのやりとりは、結構笑える。数少ない、おとなの女が主人公の事件もの。続編ができたり、舞台化される人気作になったのも納得だ。

掲載2002年08月16日

「豊臣秀吉天下を獲る!」主役の中村勘九郎はじめ、竹中直人、市川左團次、市川新之助らが大暴れの豪華版!

(とよとみひでよしてんかをとる!) 1995年

掲載2002年08月16日

  さて、豊臣秀吉といえば、いまさら説明の必要もないほど、繰り返し映像化されてきたキャラクターのひとり。草履取りから始めて、知恵と度胸と気配りでとんとん出世していく様は、戦国時代ならではの面白さ。そして、居並ぶライバルを押し退けて、ついに天下を獲り、さらには異国への出兵まで図る・・・。一方、美人にはついフラフラしたり、母や嫁には弱かったり、人間味プンプンの男。このあたりが、秀吉の魅力なのかもしれないが、こういう泥臭い男を演じてピカイチの勘九郎は、秀吉の表も裏も、光と影もしっかり見せてくれて、とてもいい味を出している。
  また、キャストが豪華なのも、このシリーズの特徴。徳川家康の竹中直人は、見事なタヌキ親父っぷりだし、明智光秀の近藤正臣は悲劇の男を美的にアピール、秀吉の母が若いころは美穂純で歳をとったら、中村玉緒ってのはちょっと意外すぎたか・・・。さらに秀吉の子供時代を勘九郎の息子・勘太郎が演ずるなど、興味深いキャスティング。中でも、意外に頑張っていたのが、織田信長の宅麻伸で、本能寺の変では、大暴れを見せる。他にも市川新之助、市川左團次、白竜など男優陣、風吹ジュン、黒木瞳ら女優陣も熱演。南こうせつの切々とした主題歌も聞き逃せない。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。