ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2007年11月15日

『よろずや平四郎活人剣』めざせ自立!旗本の四男・平四郎の奮闘
映画スター佐田啓二テレビ初出演も話題に。

(よろずやへいしろうかつじんけん) 2007年

掲載2007年11月15日

世間知らずで楽天家の旗本の四男坊・神名平四郎(中村俊介)は、自立を目指して仲間と道場を開こうと決意。ところが仲間のひとりで調子のいい明石(益岡徹)に資金を持ち逃げされてしまう。困った平四郎は仕方なく長屋で「よろずもめごと仲裁」を商売にして、剣の腕と達者な口でやっかいなもめごとに体当たりしていく。一方、目付の兄(内藤剛志)からは、幕府の重大事を密かに探索するよう命令が。かつて別れた恋人早苗(北川弘美)は、高利貸しであやしい人物の嫁になり、それも気になる。町の事件と幕府の一大事、男の友情や純粋な恋心まで。悩みつつ成長する平四郎のさわやかな姿が印象的なシリーズだ。
 私は「時代劇は七年ぶりだった」という主演の中村俊介ご本人にインタビューした際、「京都には音楽やゲームを持ち込まず、作品に集中した」「前向きで楽天家なところは自分に似ている」「人も物の一度好きになるとずっと大切にしたい方なので、昔の許婚を思い続ける気持ちはよくわかる」などと話を聞いた。現場では、道場開きを志す仲間の、益岡・山田純大が兄貴的存在で主役を盛りたて、いい雰囲気だったという。
 なお、平四郎を付け狙う刺客は、東映で40年斬られ役として活躍を続ける福本清三。人を活かす剣を遣う平四郎とどう決着をつけるか。迫力の対決シーンは見逃せない。

掲載2007年09月06日

『闇を斬れ』三国連太郎&原田大二郎の悪役親子と対決!天知茂の十八番「顔ベリベリ」シーンも。

(やみをきれ) 1981年

掲載2007年09月06日

徳川十代将軍家治の治世。政治の実権を握っていたのは、老中・田沼意次(三国連太郎)だった。ワイロ政治が横行し、さらに意次の息子・意知(原田大二郎)が若年寄になって、権力を欲しいままにする。彼らの悪政を阻止するため、奥州白河藩主・松平定信(沖雅也)の公用人・兼子八郎衛門(尾上松緑)は、密かに三人の男女と一匹の犬を招集する。
 田沼一派と対決することになったのは、長屋に住む剣の達人・鳥飼新次郎(天知茂)、火薬と仕込み槍を遣う按摩の安斉(山城新伍)、忍び込みなどを担当する金魚売りのテツ(三浦浩一)、表の顔は小唄の師匠だが、武田流の女忍者・渚(坂口良子)、そして隠密犬・火山だった。悪の証拠をつかむため、潜入、変装なんでもアリの四人と一匹。天井から毒薬をたらしたり、悪人の口に爆薬を入れた爆発させるなど朝飯前。「死んだはずの殿が生き返った」と驚く悪人たちを精巧に作った「ニセ顔」をベリベリとはがして、「今の世の中、真っ暗闇」と啖呵を切ることも。これこそ、天知茂の「明智小五郎」の得意技!
 夜10時台に放送されただけに、タイトルも「女体に響くオルゴール」など、アダルトムード。お色気シーンを山城新伍が担当するのは珍しくないが、原田大二郎が女好きの悪役というのは珍しい。純粋日本犬で天然記念物の甲斐犬・火山の活躍にも注目。

掲載2007年06月28日

『闇を斬る!大江戸犯科帳』大目付・里見浩太朗が闇奉行に!堅物町奉行・西郷輝彦はどう出る!?

(やみをきる!おおえどはんかちょう) 1993年

掲載2007年06月28日

幕末に近い文化・文政の時代。江戸には世の腐敗を見逃せないふたりの男がいた。
 ひとりは大目付・一色由良之助(里見浩太朗)。あとひとりは着た町奉行・小笠原能登守(西郷輝彦)である。三千石の旗本ながら庶民的で市井のものとも親しくつきあう由良之助に対して、法の遵守第一の堅物人間小笠原。キャラクターの違いは、当然、悪と戦う術も大きく違う。部下に指示を出し、きっちり捜査を心がける小笠原の横で、なんと、由良之助は自ら「闇奉行」となって、法では裁けぬ悪を成敗してしまうのである!
 闇奉行の活動を表立っては認められないものの、内心は命がけの単独活動を見守っている小笠原。一方、由良之助は、ふだんは年下の愛妻きよ(田中好子)とにこにこ暮らし、夜は華麗な闇奉行に。この対照的なふたりの姿が面白い。火野正平、今福将雄ら達者な共演者が脇を固めるのもうれしい。
 もちろん、このふたりは「江戸を斬る」シリーズでともに主役を務めたキャリアの持ち主。二大スターの共演が実現した作品だ。私は最近、西郷輝彦ご本人にインタビューする機会があった。こどものころからチャンバラと音楽が大好きで、「江戸を斬る」で時代劇の基本を徹底的に身に着けられたのは、後の俳優活動の大きな宝だったとか。
 何気なく鼻歌で「江戸を斬る」のテーマを口ずさんでいただいて、一同感激!であった。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。