ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2006年09月22日

『夢と承知で 鼠小僧大江戸青春絵図』正義の大泥棒風間杜夫VS凶賊萩原流行!マシンガン?極秘テロ活動?江戸の大事件

(ゆめとしょうちで) 1988

掲載2006年09月22日

悪いやつには一泡吹かせることで庶民に大人気の大泥棒・鼠小僧次郎吉(風間杜夫)は、あるとき、派手な着流しの若者と知り合う。彼は後に名奉行と慕われる遠山金四郎(松村雄基)だった。そんなとき、上方を荒らしまわった凶悪な盗賊団・葵小僧一味が江戸に潜入。盗人だった父を処刑されたことで徳川幕府に恨みを抱く葵小僧は、恐ろしいテロ計画をたてているのだった。
 屋根の上に大の字になり、「さっそくのお控えありがとうござんす」「今宵もチューと鳴いてみるかい」などと面白すぎるひとりごとをつぶやく鼠小僧。風間杜夫は近年、落語の高座でも活躍するだけに、そのセリフの調子は抜群。その彼を助けるために集合したのが、葵小僧を追って江戸にやってきた大塩平八郎(村田雄浩)、売れない浮世絵師・安藤広重(森川正太)、頼りないが人柄のいい渡辺華山(木場勝巳)ら。不気味なスマイルを浮かべるキザな葵小僧(萩原流行)もはまり役。それにしても、盗みを働くためにマシンガンや、手まり爆弾を使うって、ちょっと派手すぎ。葵小僧の頭の中にはさらに凶悪な計画が…。
 ブラック鼠VSパープル葵の死闘。そこまでして江戸の人々を守ろうとした鼠小僧だが、意外な結末が。物事をシビアに見つめる原作者笹沢佐保の魂が「夢と承知で」という言葉に秘められている。

掲載2006年08月10日

『夜桜お染』若村麻由美渾身の十七変化と立ち回り!片岡愛之助のアクションにも注目。

(よざくらおそめ) 2003〜2004年

掲載2006年08月10日

両国で踊りの師匠をしているお染(若村麻由美)は、美貌と度胸と芸を兼ね備えたいい女。六歳のときに、火事で両親を失い、兄とも生き別れになった過去を持つ。元江戸大神楽の芸人だったお染は、「夜桜お染」と呼ばれ、菊川座の看板で、今も一座とは親しい。あるとき、謎の一団に誘拐されたお染は、吉川帯刀(古谷一行)という謎めいた男から、自分の父親が吉川配下の隠密だったと知らされる。父を殺した下手人を探し、兄の行方を知りたいお染は、帯刀に協力することを決意する。
 お染は潜入捜査のため、武家妻女から、女壷振り、花魁など計十七変化を披露。どれもピタリと決めて見せるのは、さすがといえる。しかも、毎回、立ち回りがあり、得物も刀から手ぬぐいまで多種多様。さらにエンディングでは得意の日本舞踊、芸人としての芸まで見せ、大車輪の活躍ぶり。なお、芸は本当に特訓して、番組の制作発表記者会見でも披露し、拍手喝采を浴びたのである。
 もうひとつ、注目したいのが、盗賊?のようにしばしば現れる謎の男・片岡愛之助。熱狂的なファンを持つ彼が、黒装束で江戸の夜を飛び回る。ご本人にインタビューした際、屋根の上を走るのも、トンボを切るのも、自らの演技だと聞いて、驚いてしまった。映画「シベリア超特急」など味のある活躍を見せる愛之助のアクションにも注目したい。

掲載2005年03月24日

「雪之丞変化」いまや美の伝道師・美輪明宏主演!五社英雄の妖艶にして華麗な復讐劇を。

(ゆきのじょうへんげ) 1970年

掲載2005年03月24日

肥前長崎の豪商・松浦屋清左衛門は、二十年前、当時の長崎奉行(金田龍之介)の陰謀で、無実の罪に陥れられ、一家全員が死罪となっていた。一族で唯一生き残ったのが、清左衛門の隠し子であった雪太郎(美輪明宏)。生前、清左衛門が愛した芸妓の息子である彼は、非常な美貌の持ち主で、歌舞伎役者・中村菊之丞(市川小太夫)のもとで、女形・中村雪之丞として人気を得ていた。
 いつか父の仇を討とうと決心の固い雪之丞は、やがて、敵が娘の浪路(珠めぐみ)を大奥に参内させ、さらに大きな権力を得ようとたくらんでいることを知る。浪路と雪之丞、さらに彼を助ける義賊・闇太郎、そして大きな敵。華麗な舞台と闇にうごめく悪がしだいに絡み合っていく…。
 映画では長谷川一夫の代表作しても知られる「雪之丞変化」のテレビシリーズ。妖艶な女形とキリリとした義賊・闇太郎を二役で演じられる俳優といえば、もう、美輪明宏しかいません!現在は美の伝道師として、人生相談でも大人気の美輪雪之丞(70年当時)は、かなり妖しさが光る存在。ただし、独特の啖呵は、一度聞いたら耳に残るはず。
 柴英三郎、大野靖子ら名脚本家と、常に新しい映像にこだわる五社英雄の演出。美輪二役など奇想天外な設定も、彼らにかかると、無理がなくなってしまうから、さすがだ…。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。