ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2018年02月16日

「NINJA THE MONSTER」
ディーン・フジオカが姫を守ってもののけと戦う!
激しいアクションと特撮、忍者の秘めた色気と男気に酔う

(にんじゃ ざ もんすたー) 出演者:ディーン・フジオカ/森川葵/和田聰宏/中島崇博/峰蘭太郎 ほか 2015

掲載2018年02月16日

 長野藩を救うため、幸姫(森川葵)は、老中の側室になることを決意し、江戸に向かう。護衛には「忍者禁止令」により忍びの者であることを隠した伝蔵(ディーン・フジオカ)もいた。ところが山中を進む一行は恐ろしいもののけに襲撃される。次々斃れる護衛の侍たち。姫が江戸に到着しなければ藩はつぶされる。伝蔵は姫を守り切れるのか?

 脚本は「超高速!参勤交代」の土橋章宏、監督は京都時代劇の現場を描いた「太秦ライムライト」の落合賢。ディーンは「いつかともに仕事を」と約束した落合監督との仕事に感激したという。海外市場を意識し、カナダの国際映画祭にも出品された。共演には「妻は、くノ一」などでも活躍した和田聰宏、京都の時代劇にこの人ありと知られるベテラン峰蘭太郎。ディーンは、初めてセリフを言うのが、映画が始まって約8分もたってからという無口な忍び。「あなたには人の血が流れているのですか」と伝蔵を批判していた姫だが、彼の誠実さと苦難の人生を知り、「江戸につかなければいいのに...」と思うようになる。繊細な演技で高評価の森川の大きな瞳が美しい。ディーン伝蔵はうっすらと生えたヒゲ、長い髪、毛皮などワイルドないでたち。得意の中国武術やキックボクシングを活かし、刀をカンフーのように操って激しく戦う。月光に照らされた横顔に秘めた色気と男気が漂う。

掲載2017年12月15日

「日本誕生」
三船がヤマトタケルノミコトとスサノオノミコト二役!
ヤマタノオロチとも激闘する東宝1000本製作記念大作

(にほんたんじょう) 出演者:三船敏郎/司葉子/香川京子/鶴田浩二/原節子/宝田明/榎本健一/田中絹代/杉村春子 ほか 1959年

掲載2017年12月15日

 勇猛果敢な性格を父である天皇(中村鴈治郎)や重臣たちに警戒された若き皇子・小椎命のちの日本武尊・ヤマトタケルノミコト(三船敏郎)は、「西の国に熊曽という兄弟がいることを聞いたことがあるであろう」と熊曽討伐を命じられる。彼を危険な目にあわせる命令の裏には天皇の跡目を血族にと狙う大伴氏(東野英治郎)らの策謀があったのだった。日本武尊は、女のふりをして熊曽に近づき、これを討つ。巫女の弟橘姫(司葉子)と恋に落ちた日本武尊だが、苦難の道は続く。手柄をたてて帰った彼に今度は東国出征の命令がくだったのだ。

 1959年、東宝製作1000本記念の大スペクタクル作品。監督は稲垣浩、音楽は伊福部昭、特技監督・円谷英二。滝に打たれ、「勇気で勝って見せる!!」と雄たけびを上げる三船は、ヤマタノオロチと闘う須佐之男命(スサノオノミコト)の二役で大奮闘。敵方に鶴田浩二も登場し、激闘を見せる。巨大なヤマタノオロチも八つの首を持ちあげ、すさまじい迫力。さすが世界が認めた東宝の特撮。また、女優陣の美しさはため息が出るほど。「女の命は恋です」と泣き崩れる美夜受姫(香川京子)、高天原で楽し気に踊る天宇受売命(乙羽信子)、そしてなんといっても白く光り輝く天照大神の原節子!天岩戸をぐいっと引き上げるのが朝汐太郎というのも時代を感じさせる。日本武尊の死後、悪人たちがどうなるか。その特撮シーンも見物。

掲載2017年10月20日

「のぼうの城」
2万VS 500!でくのぼうが奇策で天下人に挑む
野村萬斎ならではの名シーンも見逃せない

掲載2017年10月20日

天下統一を目指す豊臣秀吉(市村正親)は北条攻めを開始。次々城を落とすが、降伏しない「忍城」攻めを石田三成(上地雄輔)に命じる。周囲を湖に囲まれ、"浮き城"ともいわれる忍城には、城主(西村雅彦)の徒弟で、城代家老(平泉成)の息子が領民から"のぼう様"と慕われる変人の成田長親(野村萬斎)がいた。長親と仲がいい武将の正木丹波守(佐藤浩市)、柴崎和泉守(山口智充)らも圧倒的な敵軍の勢力を前に降伏する覚悟をした矢先、交渉にきた長束正家(平岳大)の威張り切った態度に長親は突如、「戦いまする」と言い放つ!実戦で手柄をあげたい三成は大谷吉継(山田孝之)の心配をよそに忍城を「水攻めで落とす」と作戦を強行する。2万もの敵軍にたった500の兵力で挑む長親は、農民たちとも協力し、とんでもない奇策に出るが...。

 榮倉奈々のチャーミングな姫、佐藤浩市の「やっちまうか」と無骨だが情に厚い武将っぷりもカッコいい。また、人生経験豊富な村の長老(前田吟)やのぼうを心配する村の子ちどり(芦田愛菜)など、達者な面々がのぼうを助ける。和田竜のベストセラーを原作に犬童一心×樋口真嗣監督が東京ドーム20個分のオープンセットで壮大な史実を再現。水の上での長親の命がけの秘策は、野村萬斎ならではの名シーンとなっている。安住紳一郎の語りとエレファントカシマシの主題歌もキレがいい。

掲載2017年10月06日

「人形佐七捕物帳(主演:林与一)」
モテモテ林与一親分が名推理を繰り広げる
横溝正史原作らしい妖しい事件に親分、どう挑む!?

(にんぎょうさしちとりものちょう(しゅえん:はやしよいち)) 出演者:林与一/光本幸子/高松しげお/久野四郎/中村竹弥/田崎潤/山田喜芳/江戸家猫八(三代目)ほか 1971年

掲載2017年10月06日

神田お玉が池の岡っ引きの親分佐七(林与一)は、粋でいなせな江戸っ子気質。男前で多くの町娘にもきゃーきゃー言われ、ついたあだ名が「人形佐七」。しかし、一度事件ともなれば、名推理を働かせ、一尺五寸の十手に鉤縄をつけて悪と戦う。実にいい男なのだった。そんな佐七を助けるのは、子分の巾着の辰五郎(久野四郎)、うらなりの豆六(高松しげお)、佐七の実力を認める八丁堀の神崎与五郎(佐原健二)と、このしろの吉兵衛(中村竹弥)も強い味方だ。が、なんと言っても強力なのは、恋女房のおくめ(光本幸子)。モテモテの亭主にしっかりくっついて、カラッと応援しているおくめも、いい女なのである。

 原作は金田一耕助シリーズで知られる横溝正史。林与一の起用は原作者自らの提案だった。作者は複雑な人間関係や因習から起こる悲惨な事件を探偵が推理するというスタイルを時代劇にも発揮する。たとえば「ほおずき大尽」という話は、還暦の赤い着物を脱がず「ほおずき大尽」と言われながら、異常な行動をする老人が...妖しく奇怪ムードを盛り上げる。各話ゲストには浜美枝、フランキー堺、宝田明、東千代之介、三橋達也などが豪華な顔ぶれが揃う。林与一の縁者の長谷川一夫も登場する。林は長谷川主演の大河ドラマ「赤穂浪士」でブレイクした二枚目で、このドラマの後に必殺シリーズ第一弾「必殺仕掛人」にも出演する。

掲載2016年08月19日

「人形佐七捕物帳 凶悪のけものを追え!」
金田一シリーズの横溝正史原作の若き岡っ引きの事件簿
殺人!爆発!島抜け!堤大二郎が猟奇的な事件の謎を追う

(にんぎょうさしちとりものちょう きょうあくのけものをおえ) 出演者:堤大二郎/里見浩太朗/佳那晃子/立花理佐/伊東達広/高松しげお/西山浩司/伊藤敏八 ほか 1992

掲載2016年08月19日

 人形町に暮らす佐七(堤大二郎)は、父伝蔵の後を継いだ岡っ引き。ある日、神田・小川町界隈を下っ引きの辰五郎(西山浩司)と深夜の見廻り中、不審な大男を見つけ、問いただそうとした途端、男はナタを投げて逃走した。翌日、北町奉行所筆頭同心の山崎甚五郎(伊東達広)から知らせを受けた佐七は、佃島の漁師の家が火事になり、焼け跡からナタのようなもので惨殺されたふたりの死体が出たことを知る。無残な殺し方は、昨夜の不審な男と結びつく。その後、凶悪な盗賊くらやみの十蔵(伊藤敏八)の島抜けが発覚。佐七の父を恨む十蔵は、「のどから手が出るほど金が欲しい」悪旗本と手を組んで、巧妙なワナを仕掛けてくる。原作は奇怪な事件を追う名探偵・金田一耕助シリーズでおなじみの横溝正史。その独特の世界観、猟奇性は時代小説にもよく出ている。

若い佐七と辰五郎のコンビはとにかくよく走る! 堤大二郎は崖から落ちたり、爆発に巻き込まれたりとアクションもたっぷり。クライマックスでは「生きるか死ぬか五分と五分」の勝負に出る。ふたりをライバル視する茂平次親分(井上昭文)と下っ引き(高松しげお)、いきつけの居酒屋の父(高品格)とおてんば娘おいと(立花理佐)のおっちょこちょいな面白さがドラマを明るくする。そして、貫録でドラマを引き締めるのが北町奉行の里見浩太朗。伊藤敏八、今井健二の怪演も見逃せない捕物帳。

掲載2014年07月25日

「忍者狩り」
外様大名に雇われた浪人たちが幕府忍者と激突!
"闇の蔵人"成田三樹夫、お色気忍び畑中葉子にも注目

(にんじゃがり ) 出演者:松方弘樹/森田健作/あべ静江/畑中葉子/ガッツ石松/佐藤允/成田三樹夫/江原真二郎 ほか 

掲載2014年07月25日

徳川政権もようやく安泰かと思われ始めた三代将軍家光の時代。だが、豊臣恩顧の外様大名にとっては、小さな出来事が、藩取り潰しの口実にされる厳しい環境であった。そんな中、外様大名の中でも、武勇で知られる伊予松山藩蒲生家の藩主忠和が病死。将軍家より下ったお墨付きで、無事に若様・新松に家督相続の運びとなるはずだったが、幕府の忍者がお墨付きを奪い、相続を阻止しようという動きが見えた。この危機を救うため、藩の城代(江原真二郎)は、腕利きの浪人を雇った。しかし、恐ろしい首領“闇の蔵人”(成田三樹夫)ら幕府方に次々と動きが見破られ、蒲生方の和田倉五郎左衛門(松方弘樹)は、浪人の中に隠れ忍びがいるのではと考えるが…。

 かつて父近衛十四郎が演じた役を挑戦する松方はじめ、浪人メンバーは、森田健作、ガッツ石松、佐藤允ら個性派が集合。名もなき強者たちが、幼い若様のために壮絶な戦いを繰り広げる。男気あふれるストーリーは、時代劇の王道ともいえるものだが、中でも無骨な佐藤允が、若様と心を通わせ、命を捨てて守ろうとする姿には感動。また、新松の意外な出生の秘密もからみ、腰元(あべ静江)ら女たちの戦いも続く。近年、再び注目されている畑中葉子が、謎めいた尼僧姿で登場。お色気忍びとして非情の戦いを見せるのも見逃せない。演出は「水戸黄門」で知られる山内鉄也監督。

掲載2014年04月25日

「長脇差忠臣蔵」
幕末を舞台に、雷蔵がやくざ世界の敵討ち!
宇津井健、勝新太郎、島田正吾三人親分にも注目

(ながどすちゅうしんぐら) 出演者:市川雷蔵/本郷功次郎/勝新太郎/宇津井健/小林勝彦/大瀬康一/丹羽又三郎/林成年/島田正吾 1962

掲載2014年04月25日

時は幕末。遠州掛川の次郎吉親分(宇津井健)は、将軍上洛のため、街道沿いの家屋を取り壊すというお達しに泣く町民のため、工事中止を直談判しようと城に乗り込むが、浜松城主・本多備前守(名和宏)により、殺害されてしまう。掛川一家は仇討をすると騒ぎになるが、一家の喜三郎(市川雷蔵)の諭しによって、一家は解散。ふがいない連中だと世間からそしられる掛川一家は悔し涙にくれるのであった。しかし、それは表向き。喜三郎は、密かに仇討の機会を狙っていた。喜三郎を怪しむ浜松城側では、城代家老の息子伊織(天知茂)が、掛川一家を探索。やがて、幕末の風雲に乗じて、掛川一家は、悲願達成のために集合する!

 ご存知「忠臣蔵」のやくざ版と一言で言ってしまうわけにはいかない。なにしろ、ここ一番で出てくる清水の次郎長を島田正吾、大前田英五郎を勝新太郎が演じているのである。喜三郎は、大前田縁の者と称して旅をする。そこに本物の英五郎が…そうです!大石内蔵助東下りのあの名場面!もちろん、宇津井健が演じた次郎吉親分のあったかな人柄も特筆に値する。後年、ドラマ「ごくせん」で孫娘(仲間由紀恵)を優しく見守った現代の任侠道の親分は、ここに原点があったのかも。

揃いの白い衣装で勢ぞろいした掛川一家のカッコいいこと。見せ場がたくさんあって時代劇ファン、雷蔵ファンにはたまらない一本。

掲載2014年04月04日

「中山七里」
原作・長谷川伸。市川雷蔵×中村玉緒の股旅悲恋
「隠密剣士」の大瀬康一も味のある存在感。

(なかやましちり) 出演者:市川雷蔵/中村玉緒/大瀬康一/柳永二郎/杉田康/富田仲次郎/沢村宗之助/近江輝子 ほか 1962

掲載2014年04月04日

総州屋安五郎(柳永二郎)の若い衆政吉(市川雷蔵)は、深川の名物男といわれる人気者。やくざな日々から足を洗って、恋人おしま(中村玉緒)と所帯を持とうと約束した直後、おしまは安五郎に乱暴され、自ら命を絶つ。安五郎を殺し、旅に出た政吉は、木曽でおしまと瓜二つのおなか(中村玉緒二役)と出会う。借金のために拉致されたおなかを救おうと戦う政吉。しかし、おなかには許嫁の徳之助(大瀬康一)がいたのだ…。

 長谷川伸の股旅悲恋物語を、「眠狂四郎」シリーズでも雷蔵と組む池広一夫監督が演出。山中の宿場での乱闘シーンは、きりりとした雷蔵の魅力をたっぷりと見せつける。また、夫となる勝新太郎よりも、親友の雷蔵との共演が多かったという中村玉緒は、可憐だが芯の強い女を好演している。徳之助役の大瀬康一は、テレビシリーズ「隠密剣士」で大人気となる俳優。ここでは、政吉に複雑な思いを抱く男の役で味のある存在感を見せている。

 また、「デビュー当時は、雷蔵さんに似ているとよく言われた」と語り、雷蔵との共演も多い橋幸夫が主題歌「中山七里」を歌っているのもポイント。公開当時のキャッチフレーズは「飛騨めがけて三度笠、恋もからむよ旅合羽」「しみ渡る雷蔵の魅力!しびれさす橋の唄声!悪を斬って痛快無比」だった。「しびれさす」という表現が素晴らしい。

掲載2013年06月14日

「浪花の華~緒方洪庵事件帳~」
偉大な蘭方医緒方洪庵のへたれな青春
大坂の裏側で活躍する謎の集団にも注目!

(なにわのはな おがたこうあんじけんちょう ) 出演者:窪田正孝/栗山千明/蟹江敬三/萬田久子/杉浦太陽/池内博之/宮内敦士/梶原善 ほか  2009

掲載2013年06月14日

緒方洪庵といえば、幕末の蘭学者にして「適塾」で多くの人材を育てた教育者としても知られる偉人だが、もとは学問好きの武家の三男坊。緒方章(窪田正孝)は、知識欲旺盛な本の虫だが、剣の腕はからきし。大坂の中天游(蟹江敬三)の塾に入門して、ひたすら勉学に励む日々だ。しかし、禁書のまつわる事件に巻き込まれ、危機一髪というところを謎の男装美女に助けられる。彼女こそ、大坂の町を陰で守り続ける「在天別流」の左近(栗山千明)だった。いつのまにか彼女に惹かれる章だったが、とても言葉には出せず、さらには異国の文字で書かれた手紙やら、伝染病疱瘡やら、揚句には塾生同士命のやりとり!?と事件が続く。

この作品の面白さは、幕末を京都や江戸でなく商人の町大坂を舞台に描いていること。「時代劇を見たこともなかった」主役の窪田は、親友の杉浦太陽らとのびのびとへたれ青年を演じ、クライマックス、師匠や周囲の人々との別れでしみじみとさせる。また、「男装は似合うと思っていた」栗山は、華麗な太刀さばきで独特のムードを作り上げた。出色なのは「人を育てるのには時がかかるんや」という蟹江天游先生のあたたかさと「亭主がかどわかされたのに女房がだまっておられますか!!」と在天別流をもビビらせる天游先生の妻(萬田久子)。心がほっこりとする青春時代劇。片岡愛之助の語りもいい味を添えている。

掲載2013年03月29日

「鳴門秘帖」
長谷川一夫VS市川雷蔵!そして秘帖の行方は
衣笠貞之助監督がダイナミックに描く伝奇譚

(なるとひちょう) 1957

掲載2013年03月29日

 徳川十代将軍・家治の治世。京都と連携して謀反を起こそうとしている外様大名の動きを探るため、公儀隠密の法月弦之丞(長谷川一夫)を阿波藩に派遣する。しかし、夕雲無双流の遣い手である弦之丞は、彼と対決を望む戌亥竜太郎(市川雷蔵)、さらに彼を父の仇と狙う武家娘・猪谷よね(山本富士子)に追われていた。そんな中、潜入した阿波の山寺で、同じ幕府隠密で、阿波藩の山牢に幽閉されているという甲賀世阿弥の娘お綱(淡島千景)と出会い、世阿弥救出の策を練る。だが、山絵図を盗んで剣山に登り、危険が迫ったお綱を助けようとした弦之丞は、ケガがもとで目が見えなくなってしまう。幕府転覆の秘密を握る秘帖の行方とともに、波乱万丈の物語が繰り広げられる。

 原作は吉川英治の人気小説。次々狙われピンチに陥る弦之丞。秘帖を持ったよねがたどり着いた山中のあずまやに偶然悪人たちが休憩しにきて、よねは危機一髪!?などなど、これでもかというくらいに観客をドキドキさせる展開が続くのは、映画全盛期の娯楽作品らしい。天下の二枚目・長谷川一夫は、虚無僧姿でも、天蓋をとった瞬間、光り輝くばかりの男ぶり。眉毛を濃いめに仕上げた雷蔵も、若き剣客らしい力強さを見せている。山本の凛とした武家娘姿と、淡島の活動的な隠密の娘も対照的で面白い。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。