ペリーのちょんまげ ペリーのちょんまげ

掲載2000年08月07日

鬼平犯科帳

(おにへいはんかちょう) 

掲載2000年08月07日

“一度観たら病みつき”、“あの回をもう一度”と若い世代からもリクエスト多数、新たなファンも増えているこのシリーズ。今週は火付盗賊改方長官(ひつけとうぞくあらためかた)、長谷川平蔵(中村吉右衛門)の妻・久栄(多岐川裕美)の過去の男があくどい手を使う「むかしの男」。渋さが光る密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)登場編の「敵(かたき)」など、見逃せないエピソードが続く。妻の過去など承知の上と男を蹴散らし、同時に妻の心中を思いやる。鬼平の男気に拍手喝采。共演者、スタッフのインタビュー特別番組も楽しめる。
 前述した密偵・大滝の五郎蔵を演じる綿引勝彦は“こわい顔”がウリの実力派俳優で、少し前にその“顔”を生かしたゲームのコマーシャルで子供たちのあいだで有名になった。そんな“綿引五郎蔵”は元は盗賊の頭だが、鬼平の配慮で密偵となり他の密偵たちからも信頼されている、という設定。大柄で低い声の綿引は、まさに“五郎蔵”にぴったり、ハマリ役なのだ。とくに今週放送の「敵」のラストシーンが忘れられない。
詳しくは放送をご覧いただくとして、池波正太郎の原作では、五郎蔵と同じ密偵のおまさ(梶芽衣子)が夫婦になるのだが、テレビシリーズでは、ついにその展開はなし。おまさは紅一点の密偵として鬼平に秘めた想いを抱きつつ、尾行、張り込みに命がけでのぞむ。
ペリーとしては、“綿引五郎蔵&梶おまさ”の夫婦密偵をぜひ観てみたかった。渋い綿引と陰のある梶、結構サマになる大人のカップルになったとも思えるのだが…。残念。

掲載2000年08月07日

荒木又右衛門

(あらきまたえもん) 1982年

掲載2000年08月07日

時代劇ならではの痛快さ、真剣勝負の緊迫感。これぞ、まさにチャンバラヒーローという作品の、颯爽の登場だ。妻の弟を惨殺したのが無二の親友だと知った、剣の達人、又右衛門。友情と義理人情に悩みながらも、職を辞し、家名を捨てて敵討ちの助太刀を決意する。やがて舞台は伊賀上野の鍵屋の辻。決闘の時刻が迫る…。主演は平次親分で親しまれた大川橋蔵。町人役とはひと味ちがった橋蔵の魅力があふれる。共演は高橋恵子、志垣太郎、田村高廣ほか。講談でも有名な決闘シーンでの熱演に注目してほしい。
今作で又右衛門を演じる大川橋蔵はどんな役でもキリッとした二枚目。82年のこの作品は数少ないテレビ長編である(このニ年後に五十代半ばで他界)。「荒木又右衛門」はテレビではほかに坂東好太郎(60年)、原田芳雄(73年)、高橋英樹(93年)が演じている。ということは、又右衛門は十年に一度はテレビ化される人気キャラクターなのだ。人気の秘密はわかりやすいストーリー展開と決闘の豪快さ、友情と義理人情に悩む男の生き方に共感を呼ぶためか。いずれにしても“大チャンバラ”として長く愛される物語だ。このチャンネルでほかの三作を放送する機会があったら見比べてみるのも一興かも。

掲載2000年07月24日

鬼平犯科帳

(おにへいはんかちょう) 

掲載2000年07月24日

平成時代劇の最高傑作のひとつ、ご存じ中村吉右衛門の鬼平連続放送中! 今週は、ガッツ石松が人のいい盗賊を好演した「明神の次郎吉」、坂東八十助の善悪二役「さむらい松五郎」、老盗・米倉斉加年との交流が胸にしみる「兇賊」など充実した作品集。とくに女性にオススメしたいのが「狐火」の回。火盗の女密偵が過去の男と再会する。盗賊である男と鬼平の間でゆれる女。女を思いやる鬼平の男気はやっぱりかっこい! 出演者、スタッフへのインタビュー満載のミニ番組もお楽しみに。
さて、今なにかと話題の梨園(歌舞伎界)のいい男が、多数ゲスト出演しているこの番組。「さむらい松五郎」の八十助、第一シリーズ「あきれた奴」で熱血同心だった中村橋之助は第四シリーズでも、名作としてファンも多い「盗賊婚礼」の二枚目盗賊を熱演。同第四シリーズ「俄か雨」では、中村歌昇が情けないが、どこか憎めない同心を好演した。シブ好みのペリーは中村又五郎が上品で一本筋の通ったお頭を演じた、「討ち入り市兵衛」(これまた第四シリーズ)をイチオシしたい。又五郎、絶品!!

掲載2000年07月19日

鬼平犯科帳

(おにへいはんかちょう) 

掲載2000年07月19日

 「鬼になる」。中村吉右衛門の顔アップとこの言葉でババーンと登場した本格派。なんたって放送開始11年目にして主題歌がケータイ着メロになる人気ぶり。「1度見たらハマった」若い世代からの声にもお応えし、77日間連続放送!幕開けの本日は、記念すべきシリーズ第一作「暗剣白梅香」。妖しげな香りを残す、暗殺者(近藤正臣)と鬼平の死闘。意外な結末…。女郎役の西川峰子もいい。この他、田村高廣、島田正吾、石橋蓮司ら豪華ゲスト出演作、同心・密偵・スタッフの裏話ミニ番組ともにご堪能あれ。
ちなみに各シリーズポスターのキャッチコピーは「職業、鬼」(第二シリーズ)、「鬼はいらぬか」(第三シリーズ)、「仏をつくる鬼でございます」(第五シリーズ)など。第四シリーズはすべて英語表示という斬新なもの。第一シリーズでは、芦田伸介が老盗賊の悲哀を出した「一本眉」(芦田伸介の眉毛はメイクで本当につながってる!)やフランキー堺が鬼平に盗みの極意を伝授するコミカルな「盗法秘伝」など、今は亡き名優との共演作もお見逃しなく。

ペリー荻野プロフィール
ペリー荻野

1962年愛知県生まれ。大学在学中よりラジオのパーソナリティ兼原稿書きを始める。 「週刊ポスト」「月刊サーカス」「中日新聞」「時事通信」などでテレビコラム、「ナンクロ」「時代劇マガジン」では時代劇コラムを連載中。さらに史上初の時代劇主題歌CD「ちょんまげ天国」シリーズ全三作(ソニーミュージックダイレクト)をプロデュース。時代劇ブームの仕掛け人となる。

映像のほか、舞台の時代劇も毎月チェック。時代劇を愛する女子で結成した「チョンマゲ愛好女子部」の活動を展開しつつ、劇評・書評もてがける。中身は"ペリーテイスト"を効かせた、笑える内容。ほかに、著書「チョンマゲ天国」(ベネッセ)、「コモチのキモチ」(ベネッセ)、「みんなのテレビ時代劇」(共著・アスペクト)。「ペリーが来りてほら貝を吹く」(朝日ソノラマ)。ちょんまげ八百八町」(玄光社MOOK)「ナゴヤ帝国の逆襲」(洋泉社)「チョンマゲ江戸むらさ記」(辰己出版)当チャンネルのインタビュアーとしても活躍中。